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現代神話のエルカヴァリア  作者: 白卯兎 健太
日本編
31/44

ミッション9「関空人質救出」

~ミッションエリア:関西国際空港、りんくうタウン駅~


 関空に到着。EUN派のテロリストが一般人を人質に立てこもっている。ホープのメンバーの一部がエルカヴァリアなどの兵器に搭乗し、俺たちは生身で施設内に侵入することになっている。

拳銃や煙幕弾に手榴弾を装備。現代の異世界ファンタジーでは、科学が発展して俺の世界と何ら変わらぬところまでやってきた。みんなが知ってる定番中世ファンタジーは剣と魔法だったからね。流石に剣はすたれたが魔法はまだ使える。まだ便利。広範囲の攻撃や補助魔法も使えるし。


ところで、連中の組織名は【日本統治管理委員会】とかいう、名前だけでもすでに胡散臭いテロ団体だ。連中はこれまでもこちらにウソ情報を流したり、それだけでなく、あろうことか京都や北海道で無差別テロを起こし、すべての責任をこちら(とBS)に擦り付けるという外道どもだ。

 かつて大阪を拠点としていた施設にはEUNとかかわっている証拠が見つかっているし、裏金で動いていたこともわかっている。

 やはり汚い奴らだ。当初、ただの一般市民団体と思っていたが、あんなテロの主犯格的組織の正体が、どうやらテロリストこいつらだったようだな。日本人のほかに、外国人が多く構成されているあたり……。

でもまあ、汚いと言ったら俺らも人のこと言えないけど……。


「よし、みんなは警戒待機してくれ、俺たちは裏側から潜入する」

《了解です》


 セシルがみんなに警戒待機するように指示を出す。俺はフォースだから、さらに詳細にデータが取れるように潜入組に回った。


「生身で戦闘を行うなんて初めてだからいろいろと緊張するよな……」

「肩の力を抜いて……大丈夫、俺たちが守るから」


 ああ、こういうやり取り、懐かしいな……。あの頃もセシルに……あれからもう2ヶ月か……早すぎるな。


 第一ターミナルビルは俺らと数十名の実力者、第2ターミナルは10人に分かれた。実力者というのは俺らホープ団員だけでなく、精鋭の特殊警察(スペシャリスト)、あるいは反EUNのグループの中で最も腕の立つ連中などで構成されている。反EUNのグループと西日本の警察は仲がキンキンに冷え切っていたので、仲裁役はなかなか面倒だったようだが。


 まずは人質の確保だ。BSならそんな余裕はないとあっさりと切り捨てられるだろう。

勿論、俺たちだってできないこともある。その時は残念ながら見捨てることも視野に入れなければならない。だが、この程度なら見捨てることはしない。きちんと相手の戦力等も把握して行動する。だがBSは救えるはずの人に救いの手すら伸ばさない連中だ。相手がチートならともかく、ただのノーマル一人なら魔法を使えば救えないことはないはず。


「(とりあえず相手がただの一般人でよかったな!)」

「(こんなことやってる時点でただの一般人じゃないでしょ……ただの暴徒だ)」

「(でもノーマルとはいえ、銃なんて凶器も持ってるから油断は禁物ね)」

「(銃ね……)」


 銃は相手が一人であれば、魔法を使うよりも殺傷能力が高い。この世界は中世時代までは魔法が主力だったが、銃が登場したことにより世界の流れは変わった。この世界は銃は【魔法の世界に新しい風を吹かせた革命の宝具】【ドワーフ独立の神器】と呼ばれている。だからノーマルのテロリストとはいえ、油断したら殺される。まあ、これについては元の世界と同じだな。


 さて、人質は第一ターミナルビルのどこかに監禁されている。連中に見つかれば人質を殺すと脅迫している。監視カメラが厄介だが、実は管制室への監視カメラのないルートがあるらしい。テロ対策、役に立ったな。

 りんくうタウン駅の近くにある公園の奥にそびえたつ大木……から左の三つ目の小さい植木。そこに木を登り、ある木の枝にボタンが隠されてある。メンバーにボタンを押してもらい、りんくうタウン駅ちかくの某アウトレットの隠し階段を下りた先にワープゾーンに入り、関空へ侵入する。


「へえ、こんなところに隠し階段があるなんて……しかしなんでトイレの用具入れの中にあるんだよ?」

『しかも男子トイレでしょ……入りたくなかったんだけど……』

「女子トイレの用具室にも隠し扉がありますよ――」

『何ンンでそれを先に教えないのよこのハゲー!!!』

「こらこらイヴリーンちゃん?ハゲーはやめてあげてよ……」


 どこぞの議員だ!ていうか、当たり前のように女性空港職員も入っていったし、女子トイレないとそりゃそう思うよな……。なんで女子トイレに入らなかったんですか?


 とりあえずワープする。空間が歪んで……なかった。ただ周りの景色が青白く光っただけだった。薄暗い通路に出た。


「魔物の気配がするな……」

『なんで魔物がいんのよこのハゲー!!!』

「もうやめてください。私の毛根ライフはもうゼロです!」

『うるさい!』

「分かったからもうやめてやれ!」


 ああ、おっさんが泣いちゃってるよ……。案内役なのに……。泣いたおっさんを慰めている警察のおっさん。この人もハゲだったな。


「と…とりあえず先に進もうか……」


 セシル君が苦笑している。そりゃ、これからって時にこんな茶番を見せられるとな……。


「よしイヴリーン、あとは任せたぜ!」

『え!?なんで私が!?セド、あんたが一番元気なんだから、あんたががんばりなさいな!』

「いやいや今日の魔物狩り、なかなかの威力だったぜ!」

「そう、こいつに任せればあっという間だ。おら、褒めてあげてんだからさっさと殲滅しろよ……」

『ムキー!!!天!かえん〇うしゃ!!!』

「ポケ〇ンか!」


 かえんほ〇しゃとか出せねーよ!人間じゃないけど人間だし!

 グダグダ言いながら、魔物を倒して先に進む。蝙蝠や蜘蛛の魔物が多いが、時々イタチのような魔物がいる。


「くっさ!」

「うお!?」

「臭………」

「オオイタチ……」


 オオイタチという魔物が匂い攻撃を浴びせられた。とにかく臭い!なんだこの生ごみの臭いは……


『風呂入りたい!』

「匂い落とせるのかな?」

「マスクつけておけばよかった……」

『あ、マスク……』

「マスクあるの?ありがと」


 ていうか、オオイタチがいるんだったら最初から言ってほしい。女性職員がマスクをくれた。咳払いして、涙もちょっと出しながらさっさと魔物(オオイタチを優先的に)倒す。


『ゴホゴホ、間もなくワープゾーンです。皆さん、準備……ゴホゴホッ……準備はよろしいでしょうか……?』

『だ、大丈夫なの……ゴホゴホ……』

「……どっちも大丈夫じゃない……」

「さっさと帰って風呂入ろうぜ……」

「……なんか気分悪くなりそう………」

「大丈夫?レオン?」

「みんな~準備整ったわね……早く乗り込むわよ……」


 もうみんな涙目になってるし、早くミッション終わらせたい!準備は整っているし、早速ワープ!!!








*********

~関西国際空港~


 いきなり管制室に到着!


「!?なんだおま……」


ドゴオオオオンン!


「ぐあ……!」

「くっせ!なんだこのにおい……ぐわああ!!」


 ワープで転移してからのいきなりの魔法攻撃がさく裂した。相手が匂いで集中力を切らしている今がチャンスだ。俺も臭いんだけど、なんかだんだん慣れてきた。慣れたくはなかったんだけどな……


『アハハハハ!どうでしょ!私たちの臭撃は!?……くっさい』

「何だか知らないけど、オオイタチのあれが効いてるね……俺らも臭いけど」

「あっという間に部屋中が臭くなった………」

「……なんだこのギャグ漫画のような……」

「みなさん……人質の居場所が判明しました」


 とりあえず、管制室にいる奴らをフルボッコに気絶させ、さっそく被害者の救出に向かう。ていうか、においでばれないのかな……?


 とりあえず、テロリストのユニフォームを拝借(強奪)させていただき、作戦実行!なんかロケ○ト団みたいな制服だな。



********

「……ン?なんか臭うな……?」

「くせ……何の臭いだ……?」


タタタタタ……


「お、交代の時間……くさ!何その臭い!」

「ちょっと散歩してたらなぜかいたオオイタチに……こう、ボフン!……とやられてしまって」


 え!?何そのいかにも簡単にばれそうな、アホみたいな理由!?


「ごほごほ……おいおい頼むぜ……」

「じゃあ、あとはよろ……う!?」


タタタタタ……オエエエエエ…


 あ、何も不審に思うことなく信じて去っていった……。あいつらアホだ……。しかもげろ吐きだしながら……。おい、ますます臭くなるだろ!


「みなさん、もうご安心ください。私たちが助けに……あれ?」

「「「「「「「『『『『………』』』』」」」」」」」チーン

「あれ?みんな気絶してね?」

「……オオイタチは人を気絶させるほどのにおいを出すからね……。俺らがぴんぴんしているのもヴァリアントの恩恵だろう」

「と、とりあえず安全確保、次に行きましょう」

「おいセド、お前アホか………。もうちょっとマシな言い訳あるんじゃないか?」

「細けえ事は気にすんなって!」

「……はあ、頭が痛い」


 セシル本当に頭が痛そうだ。

 ちなみにさっきの連中は、通路で気絶していた。泡を吐いてた奴がいたが、生で見るのは初めてかも……。

 次々とテロリストを悪臭で排除しながら人質を解放していく。


『(なんで私たちがこの悪臭に我慢しなきゃならないのよ~もう早く帰りたい!)』

「(がんばれイヴリーン。ほら、ここが最後のフロアだ)」

『ここが最後のフロアね……』


コトッコトッコトッ……


「交代の時間です」

「くっせ!なんだお前ら!この何かが腐ったような臭いは!?」

「実は空港内の客の荷物を検査したらオオイタチがおりまして………戯れていたらキッツい臭いを………」

「「『(レオン、お前もか!)』」」

「(ほら、人のこと言えねーじゃん!)」

『(あんたは何仲間がいたみたいに喜んでんのよ!)』


 やはりセドもレオンも言い訳が下手糞だな。こいつもバカならどうにかなりそうなんだけど……


「ちなみにオオイタチが脱走し、メンバーが犠牲になっております」

「なんだと!?クソ……何者かが伏兵としてオオイタチを荷物の中に入れていたに違いない」

「我々の計画は筒抜けだったのでしょうか?」

「ク……その可能性は高いか……」


 おい。なんだよこの茶番……


「(こいつらなんかやり取りを楽しんでない?)」

『(ていうか、なんであいつぴんぴんしてんのよ!あいつもヴァリアントなの!?)』

「……仕方ないな。こいつらを殺すか――」

「!!!」


バァン!


「うお!?」

『え!?なに!?何が起こったの!?』


 俺も一瞬何が起こったのかがわからなかったが、男が急に人質に向けて銃を撃とうとしたところ、セシルが銃を撃ち、男の銃に当たり銃が飛んで行った。セシルすげー!


「くう……やはり貴様らはホープと国家の犬どもだったのだな!」

「チっ……バレたか………」

『ええ、バレたらしいわよ!あんたのせいでね!』

「助けに来たようだがもう遅い!」

「!?あれは!?」


 男が制服を脱いだらなんと、体中に何かを巻いていた。間違いない、あれは爆弾だ。自爆テロで人質ごと爆破するつもりか。


「ククク……これをただの爆弾だと思うなよ……!これは【HDWB】。我々のEUNが開発した新兵器。まだ試作型とはいえ、この爆弾が爆発したら圧縮された風によってお前たちは木っ端みじんとなり、空港も崩壊させる力を持つ。下手に動いてみろ、お前たちはここで死ぬんだからなあ!」


 ちなみに頭部も起爆装置化している可能性が高い。撃ったら間違いなく俺たちも死ぬ。


「(はったりか……?)」

「おっと、何を話し合っている?一応言っておくが、決してハッタリなどではないぞ……ゴホゴホ」カチャ


バァン!


「うわ!?」

『ちょっと!いきなりなにすんのよ!』

「まだ銃を隠し持っていたのか……」

「お前たちを殺すのさ。お前たちは俺を攻撃できない。だが俺はお前たちを一方的に撃つことができる。そしてお前たちが一歩でもデッドラインを超えた瞬間、この空港は海に消える……。面白いゲームだろう?」

「全然面白くないし!」


バァンバァンバァン!


「ほら、逃げろ逃げろ!ははははは!スナイパーゲーム面っ白いな!」


――フッ


「おやぁ?」

『覚醒した!』

「ほう、天が覚醒するところを初めてみたぜ!」

「確かに………」

「そういえばそうだな……」


⦅みんな、どうする?あれがハッタリなら……そして頭部が起爆装置化してないなら最悪、あいつを打ち抜けばいいけど……⦆


 セシルが脳内で語りかけた。セシルのアビリティだ。


⦅あの男の言っていることはおそらく間違いないと思うわ……⦆

⦅あ~ん?なんでだ………?⦆

⦅あんたにだけは教えたくなかったけど……早く帰りたいから。あの爆弾に風の魔力がかなり凝縮されているのを感じるわ。かなり大きな力を……⦆

⦅じゃあ、あれはマジか……⦆

⦅隙を見て……いや、隙ありすぎるな……⦆

⦅あいつ、悪臭で集中力が切れているな……⦆

⦅でも魔法を使おうとしても私たちも集中力が切れると思うわよ~?⦆

⦅それならいい手があります⦆

⦅いい手?⦆


 反EUNのグループメンバーの女性が、警察官のおっさんを連れてガラス張りの近くに連れて行った。


「ん?」

「あいつ何やろうとしてんだ?」

⦅みんな、目を閉じて!⦆

⦅へ?お、おう……⦆

「食らえ、ソーラービ……ゴホゴホ!」


 技名言えてないし……


ピカッ!


「ぐおあああ!め…目が…目があああああ!!!」


 へ?何今の…目を閉じたけど、さっき明るかったんだけど。しかもあいつ、まるでゴミのような断末魔じゃねーか……。ただ言いたかっただけだろ……。


ビュン!


「食らえ!」


ドゴォ!バキッ!


「があ!」

「よし、手動起爆装置を回収したよ!」

「す…すげえ……!」


 アイツすごいな。一瞬であんなところまで……何をやったかは分からないが、男は身柄を取り押さえられる。


「くそおおおお!目が痛え!」

「おとなしくお縄に着け!」

「さあお前たち、早くその男を連行しろ!……グスン」


 あの警察、なんで泣いてるんだ?


「作戦終了!さあ、早く救出してさっさと帰ろう!」

「帰ろう帰ろう!」

『早く風呂!』





*********

~ホーパステリウム中部拠点~


 あれから、風呂にさっさと(臭いからと強制的に)入った後、報告を済ませた。俺は風呂入った後、眠気に負けてベッド行き。そのあとしばらく経って、北京近郊ではEUNに何かしらの動きが確認された。次の舞台はアジアの中心部だ。









********

~イヴペディア~

*頭部の起爆装置とは、その人間が死ぬことによって頭部に埋め込まれている起爆装置が起動し爆発する。なお、自分で起動させることはできないらしい。

*ソーラービ〇ム・・・おっさん(スキンヘッドも可)の頭部に光をためて、相手に向かって光を放つ禁断技。太陽が出ている状態だと、すぐに発動できる。威力は絶大だが、おっさんにも多少の精神的ダメージが入る反動技。

*HDWB・・・高密度風圧爆弾。爆発すると、ものすごい暴風で辺りが滅茶苦茶になるほどの火力がある。現時点では試作型。

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