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現代神話のエルカヴァリア  作者: 白卯兎 健太
日本編
28/44

不穏な夢

「……例の場所……」


 俺はまた夢に落ちたらしい。またいつもの空間にいた。

やがて例のごとく謎の光に包まれ過去の夢に行きつく。



*********


『『『――我らが主マスター……ただ今ここに……』』』


 ここはどこだ?何かの部屋。なんの部屋だろうか?何か見慣れない機械が奥に設置されている。それ以外にも物が周りに浮いている。

そしてこの部屋に3人の若い男女、奥のほうにも老人の姿が見えた。3人の若い男女は精霊族だろう。髪の色やその他の特徴からして森、水、光の精霊のようだ。彼らはマスターと呼んでいる老人に跪いている。


「うむ……。私は今、世界の行く末を見た。やはりこのままでは世界は滅ぼされかねん……」

『では我が主マスターが“あれ”を起動なさるのですか?』

「そうだ。“あれ”は本来存在してはならぬ物なのだ。“あれ”を起動させ、私の手で破壊させる」


 “あれ”ってなんだ?本来存在してはならぬもの?起動させて破壊するの?自爆か?今の話からおそらく“あれ”というものが世界を滅ぼす危険性があるのだろう。碌なものではないな。


『しかしマスター、“あれ”を起動させるということは大勢の人々を殺めるということです。それでも起動させますか?』

「愚か者によって世界で人類が滅ぼされるぐらいなら、初めから大勢の犠牲者を出しつつも私が“あれ”を破壊したほうが良いに決まっている。ならばためらう必要は全くない」

『では、戦争を?』

「やむを得まい。どのみち、第三次世界大戦は免れぬのだ。ただその時期が早まっただけだ。何も問題はない」


 問題大有りに決まってんだろ!あほかこのジジイ!……と突っ込んだが、この夢は第三次世界大戦がはじまる前か。


「お前たちの役割はわかっているな?」

『『『は!』』』

「行け!」

『『『御意(イエス マイ マスター)!』』』

「Rは残れ」

『!?……はい』


 随分と不穏なことを聞いた。これが大戦前なら間違いなくこいつらの計画は進んでいるに違いない。

 

 Rと呼ばれた森の精霊はまた再び老人の前に跪く。ほかの精霊族は部屋から退出していった。しかしRって……何の略なんだ?


「私が戦争を起こせば世界は二つに割れる。だが狂犬を使えば三つに割れるやもしれん」

『三つに分かれるのですか?狂犬を?』

「狂犬を反乱軍の盟主に立たせる。奴は有能ではあるが、あまりにも強引で敵を作りやすい性格だ。最初はついてくるものが多いだろうが、いずれ抜ける者が出てこよう。奴をトップとして立たせれば、より世界情勢は混乱となる」

『それでますます大勢の人が死ぬ……その駒として彼を飼っていたということでございますね?』

「ああ。狂犬を間もなく檻から開けよう。後は――」

『ええ、わかっております。是非とも私にお任せ下さい』

「行け!」

『御意(イエス マイ マスター)!』


 なんかすげーのを聞いちゃったよ……。なに?世界と人類を救うために戦争で大勢の人が殺されるのか?所謂“あれ”というものは大勢の犠牲者を出して封印が解けるみたいな感じなのか?“あれ”がやばいのは分かったけど……おそらく真神器。ほんと超古代人は何を考えてそんなものを作ったんだよ。

 それに狂犬って誰だ?反乱軍の盟主とはBSの盟主?ヘンリーか?


 と、俺の体が光り始めた。どうやら今回はここまでのようだ。


 どうでもいいけど、Rって子、どこかイヴリーンに似てたな。お姉さんなのかな?




*********



「………」

『あ、起きたわね天!おはよう!』

「おはようイヴリーン。……何日たった?」

『一日と4時間くらいよ』

「だいぶ早くなったな」


 相変わらず寝込んでしまうが、だいぶ寝込む時間が短くなってきたな。それでもまだ一日以上かかるのか……。


『ところで天。今日はどんな夢を見たの?』

「えーと……なんかやばい夢を見たよ」

『やばい夢?』

「なんか老人が人類を救うために“あれ”というものを起動させるというやつだったよ。それを起動させるためには大勢の人類を犠牲にしなくちゃいけないんだとか。で、起動した後、自爆させてこの世の脅威を完全になくすとか」

『!?……何よそれ……意味わかんないんだけど』


 イヴリーンが目を見開くぐらい、とても驚いている。確かにこんな話を急に聞かれたら本当に驚くよな。


「俺も意味が分からなかったよ。そもそもその“あれ”というやつがどういうやつかもわからんし……。おそらく真神器のことだと思うけど……」

『どうしてそこまでして“あれ”というやつを壊さないといけないのよ……。そのまま封印しておけばいいんじゃないの?』

「ずっと未来には封印を解くやつがいるらしい。そいつが“あれ”の封印を解いて人類を滅亡させる的なことを言ってた。……て言うか、あの爺さん、未来が見えるのか?」

『………もしかしてドウェイン事務総長のことじゃないかしら?』

「ドウェイン事務総長?でも声が全然違ったような」

『声が違うということはやはり加工を……』

「声に加工なんてしてたのか……。それじゃ、気づかないわけだ……」


 俺はドウェインの演説の動画を見たことがある。夢の中で出てきたドウェインは声が違ったし、顔は暗くて見えなかったから気づかなかった。しかしなぜ声を変える必要があるのか?俺たちの目を欺くためか?


『ドウェインは未来が見える超能力者として有名だわ。そして実際に彼がEUNの実権を握ってから世界は戦争で荒廃したのよ』


 なるほど、ならあいつはドウェインで間違いないだろう。

 ドウェイン・ブラッドフォード……この世界が荒れたすべての元凶といっても過言ではない。EUN市民は真実を隠されている(洗脳されている)ので彼を英雄的存在に祭り上げているが、真実を知っている俺たちはもはや憎しみの存在でしかない。ついでに俺が人間をやめさせるきっかけにもなってるし……。


「そういえばイヴリーンに似た女性の精霊族を見たんだが……。Rと呼ばれてたんだけど……イヴリーンのお姉さんかお母さんなのか?」

『……私は家族なんかいないわ。私が生まれた時から』


 地雷を踏んでしまった……。あまりこの世界で家族のことは聞かないほうがいいのかな?いつか無神経といわれて怒られそうだ。


「それはごめん……」

『気にしてないわ。家族がいないのはこの世界じゃどこでも珍しくないから』


 ずいぶんと暗い話になってしまった。夢を聞いた時にはワクワクしてたのに。やはりイヴリーンにも、ドウェインに対して何か思うことはあるようだ。それにイヴリーンの顔色が悪いな。


「大丈夫かイヴリーン?顔色が悪いようだが?」

『ううん、大丈夫よ。改めて戦争やドウェインのことについて考えてたのよ。別に私は天の夢が怖くなったわけじゃないからね!また夢を見たら私たちに聞かせてね!』

「それはいいけど無理すんなよ」

『大丈夫よ!』


 ならいいけど。しかし無理やり笑顔を見せたな。やはりイヴリーンにも何かあるんだろう。でも余計な詮索はしない。誰にだって秘密はあるだろうし、それで関係を拗らせたくないしな。


 勿論この話はみんなにも伝えた。やはり広島のほうも相当やばかったらしい。大阪で見捨てたように見せかけて、油断したところ広島や中国山地で返り討ちにする算段だったのか、味方機も何機が撃墜されており、幸い死亡者こそ出なかったものの、意識不明の重体など、重傷を負っている人も出始めた。でもこれで大半の日本は解放された。さらにホープへの志願者やスポンサーの企業も増えてきている。そろそろ軌道に乗ったということか。


 そして残すは福岡の拠点を落として日本は解放される。中華国では緊張状態は続いており、いつ戦争が始まるかもわからない状況。それに連中は中国地方で敗戦し、極東支部は日本を捨てる可能性が高まってきており、前ミッションよりはマシな難易度だろう。……と、いかんいかん、油断したらまたフルボッコにされてしまう。

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