表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
現代神話のエルカヴァリア  作者: 白卯兎 健太
日本編
27/44

ミッション7「中国山地レーダー施設破壊」後編

ミッションエリア:鳥取県中国山地EUNレーダー施設


 ミサイル砲台を撃破した俺らは、急いでレーダー施設へ向かう。既にほかのグループはレーダー施設へ攻撃しているようだ。しかし、敵側でも二つ名付きのエルクも2機いる模様。なんだ、まだ日本をあきらめてなかったのか。ひょっとして大阪のざる警備は俺たちを油断させるため?

 厄介な奴が二人いる。こうなったら俺が急いで奴らを倒すしかない。今の俺は、あの時よりだいぶましになったとはいえ、覚醒条件もわからなかったら、敵側にとってはそれほど大したほどのレベルではないということだろう。


 ようやく見えたレーダー施設。パラボラアンテナのようなものがいくつも見える。さらに中央には大きな棒状の施設。あれもレーダーなのだろうか?


『前よりもだいぶ見えやすくなったわね』

「うん、霧が晴れてきたな」

《天さん気を付けてください。予想以上に敵戦力がレーダー施設に集まってきているようです》

「大丈夫。覚醒すれば何とか……なる?」

『なんで疑問形なのよ?余裕でしょ!ほら余裕って言いなさい、さあ余裕……』

「分かったわかった」


 いやしかし、冗談抜きに余裕なんて言えない。ダメージが半分近くまで持ってかれているから。

 まもなくミッションエリアに到達する。


「よし、早速――」


ゴオオオオオオン!!!


「うおあ!?」

『きゃあああ!なになに!?!?』


 ミッションエリアに到達したとたんにいきなりグレネードが飛んできた。咄嗟に回避できず、バリアで防いだものの、手痛いダメージを食らってしまった。


ダメージチェック・・・69%


 HPで例えるなら残り3割で機体大破……つまり戦闘不能に陥り、撃破される。とりあえず敵機から離れたほうがいいだろう。近距離からグレネードはさすがに避けづらい。


『そ……天!ちょっとやばいんじゃあないの!?』

「やばい……どころじゃない気がするぞ……。まだこれから防衛システムにこいつら、そしてレーダーも破壊しないといけないのに……」


 広島を落とすには二手に分かれないといけない。しっかし、こっちもなかなか難易度が高いぞ……まだまだルーキーの俺じゃきつすぎる……。俺の顔に冷や汗が流れて、一瞬涼しくなるのを感じた。


――フッ


『やった!天が覚醒したわ!!!』


 一瞬で焦りは消え、冷静になった。イヴリーンも言ってたようにおそらく覚醒したのだろう。

 例のごとくFCSをOFFに、先ほど不意打ちをくらわしたやつを倒す。


 あの白いエルク……俺と同じあざみ野か……。

だがあちらはグレネードや、散弾銃ショットガンを積んでおり、武装的に高火力で押し切るタイプ。ミサイルは積んでなさそうだし、ああいうのは近距離に強いから、中~遠距離タイプの俺とは相性が悪い。

 さて、問題はあと一人。どこにエルクがいるのかわからない。確かもう一人はスナイパーを主軸として戦うらしい。おそらく俺と同じタイプか。フォースなのかどうかはわからないが、もしかしたら……。


 白い奴は【白い通り魔】渡辺 恭也……夜の某繁華街で実際に通り魔をやらかした犯罪者らしい。実際に多数の死者を出して死刑確定になったはずだが……何を考えてこいつを戦力に入れてるんだろうEUNは。

 こいつだけじゃなくほかの犯罪者やヤクザ、チンピラも入れてるから、EUN市民にとっては評判が悪いところもある。


「しかしなぜ、あざみ野を持ってるんだ?」

『BSで裏切り者でも出たんじゃないの?』

「なるほどね……」


 あざみ野シリーズはBSが五菱に発注、BS側(とホープ)向けに開発しているエルカヴァリアで、EUN側には購入できない。勿論その逆も同じ。基本的に設計や製造については企業に任せるが、一部の機体(専用機)は、設計などEUNやBSが関わることもあるのだとか。ちなみに名前は企業側が勝手に決めるが、希望があれば名前をつけることもできるのだとか。

 そういうわけで自軍が発注できる機体が敵側にいたら、そいつは裏切り者(あるいは裏切り者からもらった)ということになるんだろう。


『天、とりあえずあいつに死刑執行して差し上げなさい!』

「お、おう……」


 8歳のくせに過激なことをよくしゃべるイヴリーンさん。まあ、埼玉県某市の5歳児もなかなか過激な発言をするって有名だし、近頃の子供とはそういうものなのかな?いや、某5歳児は近頃じゃないか。


「ほう、お前が噂の新人か……」


 相手が急に話しかけてきた。


「ずいぶんと活躍しているようだが……それもここまでだな」

『天!あいつ口臭そうだから早く閉じてあげなさいよ!』

「口くさ……!?」

「イヴちゃん……ちょっと黙ってな?」


 8歳児とは思えないコメント。これが異世界か。それとも親の影響か?もしそうならろくな親じゃないな……。ついでに相手もショックを受けている。嗅がれてもないのに口臭そうなんて言われてるしな。まあ、あいつ殺人鬼らしいし、被害者からすれば「ざまあ」と思っているに違いない。しかしあいつは落ち着きのある口調だった。どんなサイコパス野郎かと思ったが普通過ぎる。そういうものなのか?まあ、ヒャッハー!!口調は俺の偏見かもしれないけど。


 と、いかんいかん。今は戦争中。作戦に集中しなければ。


 まずあいつの射程距離に決して入らないこと。入ったら、マシンガンと散弾銃ショットガンでハチの巣にされてしまう。ただでさえ、機体ダメージ量が大きいのに、そんなことされたら一瞬で終わってしまう。まあ、仮に体力満タンでも滅茶苦茶削られてすぐ爆発してしまうが……。とりあえず周りの建物や障害物などを利用して、相手の攻撃をかわす。1~2発程度では、それほど痛くもない。こういう障害物の多いミッションは俺の得意分野だ。隠れるのが得意だからな。


 だからと言って油断は禁物。こちらの機体ダメージは大きいが、相手は少ししかダメージがない。ほぼ無傷に近い状態である。しかももう一機、この作戦エリアのどこかに隠れている。さらに質の悪いスナイパー機。こちらが圧倒的に不利だ。


 FCSを例のごとくOFFに。相手の動きを読む……そこだ。


ダアーン!!!


 銃弾は障害物の間や隙間を通り抜け見事にあざみ野にヒット。相手はバリアをしておらず、まさかこんなところに攻撃するとは思っていなかっただろう。まあ、この変態的狙撃……我ながらきもいな。まるで動画に上がっているTASさんのようだ。


《馬鹿な!?あんなところから……TASかよ……》


 うわ……あいつも俺と同じ考えなのかよ……最悪だ……。俺の思考はあの犯罪者と同じだなんて……。少なくとも人の心は失いたくはないな。

 しかし相手は直撃し、致命傷を負ってしまい、さらにはパニックになったのか、動きが雑になる。

 よし、叩き潰すなら今だな。機体を敵機に近づけ、始末しようとするが……。


《おっと、ごめんよ》


 敵機はお坊ちゃまに背後をやられ、敵機は爆発した。いいところでとってきやがったなこいつ。


『ムウ……せっかくいいところだったのに』

「まあ、弾が節約になったとポジティブにとらえるしかないな……!?」ドン!


 スナイパーライフルがどこからか撃たれた。しかも脚部に当たってしまった……最悪。


《ククク……油断したようだな?》

『もう一人!?』

「脚をやられてしまった……まずいな」

《覚醒したんだから避けられないのか!?》

「覚醒して強化されるのは射撃能力だけ……回避能力はうまくなる程度にしかならないよ」

『しかもレーダー外からの攻撃よ!避けようがないじゃない!!!』

《そうだ。私はスナイパーだ。それにお前は手負いの状態……お前の勝ちはない……》


 確かにやばいなこの状況じゃ……。打たれた方向はわかったので障害物を利用して何とかやり過ごすしかない。


『どうするの天!絶体絶命のピンチだよ!』

「落ち着け、こういう時こそさあ深呼吸……」

『……ねえ天。あんたってなんで覚醒すると異常なほど冷静なの?ずっと前から疑問に思ってたことだけど』

「覚醒してるからこそ冷静なんだろ」

《あの……おふたりさん?あいつどうすんの?》

『「お前が行けよ」』

《ええ!?》


 俺とイヴリーンが言い合っている間にも相手からの攻撃は続いている。勿論障害物を盾にして何とか防いでいるが、脚部に負荷がかかる。歩行速度も低下しているし、走るとバランスを崩しそうだ。


《ハハハハハ!もう観念しろ!お前にはもう勝ち目はない……つまり!死ぬしかねえんだよぉ!!!》

『あいつの声まじムカつくわ……』

「奇遇だな、俺もそう思っていたところだ。しかし……どうしようか?」


 アイツの口調のほうがサイコっぽい。

 それよりも空中戦を仕掛けるか?だが一騎打ちの場合、深いダメージを追っている俺のほうが不利だ。一撃でやられかねない。


「というわけでお坊ちゃん。囮になってください」

《ええ!?あと俺はエレメイという名前がある!お坊ちゃん言うな!》


 元EUNの軍人でニュールイスク帝国の元男爵らしい。つまり貴族。なんで男爵とはいえ貴族ともあろうお方が、前のミッションで前線に立たされていたのかは……また後で。

 ちなみに、ニュールイスクという国家……エルメルが名付けたものらしい……。おそらく、ニュールバ+ヴィリュイスクが由来だろうが……ネーミングセンス0としか言いようがない。


 そんなことよりあいつだ。ソフィアさんによると、奴は【人間ラプター】陳 超チェンチャオ。その名の通り、猛禽類のごとく目がいいという。ついでにスナイパーとしての腕も一流らしい。その評価は間違ってないだろう。俺が一瞬棒立ちするという失態があったとはいえ、実際にレーダー外から脚部に当たったし……。正直、危機察知能力がなければコクピットをぶち抜かれていただろう。あいつはEUNの射撃大会のスナイパーの種目で命中率76%(平均35%)と誇る強者であるそうだ。


 相手の黒い機体は“猩々”という中国の企業が開発した機体だ。武装はスナイパーライフル。肩にも2丁のスナイパーライフルを装備している。スナイパーオンリーか。しかし、奴の命中率は侮れない。囮役がいれば多少は……。


「とりあえず雑魚を全滅させようか……?」

《背後から撃たれるんじゃないか?》

「ドローンを囮にできないか?」

『そうね、ドローンより天がやったほうが速く全滅させるかもね!』

「それも考えたが、相手の隙を作ろう。1~2発とも急所に当たれば十分だ。ターゲットは多いほうが狙われにくい」


 俺が覚醒時、FCSを使っていなかったから、こういう発想になかなかたどり着かなかった。相手は真人間ノーマル。腕がいいといってもFCS頼みだ。敵が多くいる状態で、一度撒いてしまえばあとは余計な雑魚が的になってくれる。何やってんだろ、俺……。俺の作戦はソフィアさんに伝える。


《了解しました。そちら側にドローンを数機まわします》


 敵機がこちらに近づいてくる。おそらくこちらが手負いの状態なのでとどめを刺しに来たんだろうが、ちょうどいいタイミングにお坊ちゃんがいる。

 アルファの人間はたいてい不意打ちが大好きだ。お坊ちゃんのアルファ歴は1年半らしく、ミッションでは出会いがしらの不意打ちは何回もやってきたことがあるのだとか。

 俺も大阪で一回だけ、不意打ちをやったことはある。これからも何回もやることになりそうだ。先ほどの不意打ちもバリアを展開してたおかげで致命傷を被らずに済んだ。


 猩々が障害物から姿を現すとき――


ドドドオオオオン!!!


《へへ……俺を忘れてもらっちゃ困るぜ?》

《ぐう……お前、俺の獲物狩りの邪魔すんじゃねーよ!!!》


 お坊ちゃんがミサイルを至近距離で9発当てる。そして隙が生まれ、俺はさっさとここから逃げる。脚部はやられてもブースターはある。急いでこちらにやってきたドローン数機に混じる。


 猩々はバリアを展開していたらしく、何とか軽傷で済んでいる。


「よし、ここから先は俺たちの独壇場だ。俺らが手負いの状態とはいえ、これであいつは一気に不利になったろ?」

『ついでにFCSがドローンにも反応する。反応してしまってこちらには狙えない。完璧じゃない!』

《ぐ……小癪な真似を……どけえ!》


バアン!


《くうう……もう無理だ。先に脱出するぜ》


ドオオオオオオオン!!!


 エレメイ機が爆発する。だが彼の称号は【貴族のフェニックス】と呼ばれるだけあって、うまく脱出装置を使って戦場から脱出したようだ。流石。


《くっそおおお!!!邪魔だ!》


 FCSは前方の近い敵から反応する。つまりドローンより後ろに下がっていれば狙われづらくなる。

 猩々はドローンを攻撃している。俺を狙いたいのだろうが、ドローンがそこそこいる今のうちに集中砲火を浴びせる。


バアン!

ダダダダダダダ!


《あああああ!!!》


 敵機は集中砲火を食らい、バリアは破け、最期はあっけなく終了……。そして防衛隊に苦戦している味方機を援護し、防衛部隊を全滅させ、レーダーを全破壊。


《周辺に敵反応なし。作戦は終了です。お疲れさまでした》


『お、終わったあー!』

「イヴリーンうるさい」

『何よ!終わったんだからいいじゃない!』


 それはそうだが、イヴリーンの声は高いから耳元で騒がれるとキーンとなって耳が痛い。もう少し自重して……。俺も疲れてるし、追い打ち掛けないで。


 しかし今回はこちらの被害も大きい。味方機は何十機もやられた。まだあれほどの部隊が残っていたとは……日本から撤退したと見せかけて、ここで俺たちの息の根を止めに来たのかな。だが俺たちは油断せず戦い切った。EUNにとって今回の敗戦は致命的だろう。あとはセシルたちがうまくやってくれるさ。







*********

~イヴペディア~

今回の敵

★一般兵器

*スイー・アネモネL03・・・レーザー砲台。弾速が速く、数も多かった。うざかったし、しばらくはミッションで見たくない。

*スイー・アネモネAM02・・・対空ミサイルとも。花火のように打ちあがるので打ち上げミサイル。落ちるときはターゲットに向かって加速するので地味に避けづらい。

*春惜月・・・ドローン。ルンバのようなやつ。今回は防衛戦なので数は前回より多かった。マシンガンや対空ミサイルを装備。

*雪消月・・・ドローン。みんなが知ってるドローン。今回は防衛戦……略。マシンガンやミサイルを装備。

☆エルカヴァリア

*六地蔵・・・人型ステルス機。ステルスを装備していたが、エナジー消費量が高く、隙を見せやすい。しかもステルスを使用しても、魔波のゆがみで場所が特定されあっけなく破壊される。コストも高いし、ネタ機。しかも消費エナジーが高いためか、運動性能も低い。サブマシンガン、ミサイル、ブレードを装備。

*あざみ野MK3・・・天と同じ機体。マシンガン、ショットガン、グレネード、ブレードを装備。

*猩々Ⅱ・・・人型。性能は良くかっこいいが、アルファが悪かった。武器の選択ミスで命落としたとしか思えない。そういうのはゲームでやれよと彼に一言いたい。せめて近接用の武器があれば……。全部スナイパーライフル。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ