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現代神話のエルカヴァリア  作者: 白卯兎 健太
日本編
16/44

エルメルの過去の夢

う~ん……ここは……?


俺はまた見知らぬ空間に来ていた……。体がない……ということは、また夢の中か……。

また前方に青い結晶が見えた……。青い結晶に近づく……。

しばらく見つめると……青い光がまた俺を包み込む!







******

~エルメル宮殿~

ここは……?

どこかの宮殿のようだ……。

とりあえず、どこかに移動しよう……。目が覚める前にいろいろ探検するか。それにしても大きな城だな~。中世時代かな?

 今の俺は魂だけの存在なので、誰にも見つからないし、ぶつかることもない。扉をすり抜ける。

  大きな廊下を移動する。時々、鎧……ではなく軍服を着た兵士やメイドとすれ違うとすれ違う。あれ……割と現代風だな……。

近くにお城が見える……結構デカいなぁ。どこの城なんだろう……と、よく見たら、この宮殿と繋がっているじゃないか。

 とりあえず、宮殿を探索してみる。壁には壁画が描かれている。複数の人間が、あれはおそらく堕ち神……なのだろうか、そいつを倒しているような壁画だ。なんで堕ち神なのかと思うのは……なんかゲームに出てきそうな魔王っぽいから。この世界の魔王はただの魔族の王様…一人の人間に過ぎない。ここの王様は城にいるのかな……?

しばらく廊下を歩いて見物していると、兵士が4人倒れていた……。

 え!?絶対ただ事ではないだろ!

 俺はその兵士たちに近づく。兵士は眠っているようだ……。よく見ると、首に切り傷があった。これは多分殺されたな……まさか暗殺とか起ころうとしてるの!?


「キャアー!!!」


女性の声がした……また殺されたのか?声のするほうへ駆けていくと、やはりメイドさんが倒れていた。


「こ……これは……?いったいどうなっている!」


一人の軍服を着た男性がメイドに近づき、声をかける。


「お、おい!大丈夫か!!!」

「ハ…ネス…マ…。どうか…皇…子さ……う女……をお連れし……逃げ……」

「!!!皇太子さま!皇女さま!」


男性はメイドをそっと床に寝かし、急いで廊下を走る。どうやらメイドさんも息を引き取ったようだ……。俺は男性を追いかける。


「クソ!おのれ賊どもめ……!このようなことが許されると思っているのか!!!こちらハンネスだ!ミック、ロイドたちを連れて至急宮殿に来てくれ!緊急事態だ!賊に襲われた!!!」

《なんですと!?了解です!至急救援に向かいます!場所は?》

「宮殿だ!急げ!!」


軍服の男性…ハンネスさんは通信機らしきもので誰かと通信する……。この時代はつい最近に起きたことなのか!?つい最近起きた暗殺事件は……エルメル帝国か!?あれはあくまで噂だけどこの夢を見ているのなら、おそらく間違いないだろう……。


「皇太子殿下!皇女殿下!」


大きな扉を開けて進み、さらに扉を開ける。


「皇太子殿下!ご無事ですか!?」

「いったい何事だ……?下で悲鳴が聞こえたぞ!」

「皇太子殿下!早くお逃げください!何者かが宮殿に侵入しています!」

「やはり……賊が入ったのか……」

「ライスト卿!賊がここに……?」

「皇女殿下も早くお逃げください……賊はおそらく皇族の暗殺を目論んでいるに違いありません!」

「ク!なんてことだ!……ハンネス……すまない。ここから脱出する」

「は!ここからは、私が護衛いたします」

「なぜ……なぜ私たちが狙わなければならないの?私たち皇族は国民のためにこんなにも……」

「皇女殿下……。……おそらくはどこぞの貴族の差し金かと思われます」

「え?差し金……?」

「あの貴族どもか……国民第一の政治を始めた途端に皇族の暗殺計画を立てていたのか!」


忠誠を誓ったはずの貴族が皇族を裏切る……?じゃあやはりブラッドフォードの連中の仕業なのか!?

3人は隠し通路を使って暗殺者から逃げていく……。すると……。


「!?なんだと……!?」


角を曲がった瞬間にハンネスが暗殺者に襲われる……が、ハンネスの反応は早く、暗殺者を返り討ちした。え!?すごくね!?普通に玄人の兵士でも殺される、あるいは大けがになるところだったのに……。


「クソ!刺客はこの通路の存在を知っていたのか!」

「何故だ!皇族やごく一部の人間にしか知らないはずの隠し通路の存在を……!」

「そ…そんな……」


銃撃戦……皇太子が発動した結界の符で3人とも守られてハンネスが反撃する。

次々と暗殺者が銃や魔法で攻撃してくるが、ハンネスは次々と暗殺者を排除していった。しかし……一人の……というか、最後の暗殺者が白く輝いた刃物で結界の中に入る。


「ぐ!しまった……毒が……!」

「何!?」


男はハンネスに切りかかった。勿論そいつは返り討ちになったが、ハンネスに切り傷を入れた。それにしてもなんださっきの……。結界には入れないんじゃなかったのか……?でもあの白く輝いたあのナイフ……なんか特別な力をまとっているように感じたんだけど……あれは何だろう。


「……!?このナイフは……!?」

「……殿下…お逃げください…。あとは私が…」

「ライスト卿!」

「行くぞフロル。…お前は……我々は生き残らなければならん…!」

「い…いや…ハンネス……ハンネスううううう!!!」


皇太子は、フロルと呼ばれた皇女を抱えて、走り出した。やばい……どっちにしようかな!?皇族二名の行方を追うか……?


「はあはあ!来い…賊ども……ここから先はいかせん……!」


ハンネスは最後の力を振り絞り仁王立ちをする。また追手が来たが、相手の射程距離よりも長い銃を撃つ……。何発も。


「ぐあ……!毒が……!」


相当毒が回ってつらいのだろう。ハンネスはばたりと倒れる。


「ハンネス中佐!」

「大丈夫でございますか……!」


どうやら部下もやってきたようだ。


「……もう亡くなられている。おい!お前たち!早く殿下の救出に行くぞ!」


兵士たちは隠し通路の奥へ走っていく。俺はそいつらよりも早く先に進む。




******



「ククク……もう逃げられんぞ……」

「……なんだ……貴様は……?」

「ひ……!あ…兄上……!」


やっと追いついたが、一人の黒衣の人間が立ちはだかる。あの雰囲気は只者じゃないな……。なんか黒いフードの仮面男を思い出すわ。俺を召喚した奴。あいつはあの施設ごと消されたのかな……?すごい雰囲気で、ラスボスとは言わないけど、終盤の敵に登場しそうな奴だったんだけどな。まあ、ああいったやつが後々絡んでくると厄介だな。俺が必ず勝てるという保証もない。


「ククククク……私が果たして誰なのか……お前たちが知る必要はなかろう……?」

「お前は誰の差し金だ……ブラッドフォードか?」

「忠誠を誓った貴族に対してその疑いは信用を落とすだけだぞ?」

「目的は何だ?皇族の暗殺……それとも、フロレンツィアの確保か?あるいはその両方か?」

「いや、皇族は生きてもらう。皇女は死んだことにしてもらうが」

「何?皇族を生かすだと……?我々を利用する気か!」


皇太子が黒衣の男に拳銃を撃つ。しかし……何か、バリアにはじかれているようだ。


「ちっ!」

「殿下!」

「おのれ曲者め!覚悟しろ!」


駆け付けた兵士が男に撃つが、やはり何かバリアのようなもので弾かれてしまう。


「フフフ……ハエどもが」


男が右腕にマナを纏い、そして後方にいる兵士にハエを振り払うように魔法を解き放った!

 兵士たちが真っ二つになる。その時、兵士たちは一瞬何が起こったのかわからないといった表情でそのまま動かなくなった。


「なんだ!?あの魔法は……鎌鼬か!」

「ひ!兄上……」

「これで邪魔者はいなくなったな……では!」


あんな鎌鼬は見たことない……。ヴァリアントか!?

男の目は怪しく光る。すると、パリーン……と何かがはじけ飛んだような音がした。


「ほう……そのペンダントは真神器だったのか……。だが、これで」

「白壁の陣!」


皇太子が何かを唱え、すぐに魔法陣が出現し、白い光の壁ができた。これは魔術とは違う陣術と呼ばれるものだ。男から見て、壁の向こう側の様子を探ることはできない。


「なんだそれは!」


男の目は怪しく光る。しかし、光の壁に防がれて皇太子たちは何ともないようだ。すると男は白く輝くナイフを壁にたたきつけるも、そのナイフが折れてしまう。男は明らかに動揺しているようだ。が、すぐに冷静を取り戻す。


「なるほど……私からはどうすることもできないというわけか……。しかしさて、いつまで持つかな?」

「もう、ここまでか……」

「あ…兄上?」

「フロル……いいか、よく聞け。連中はおそらくお前を捕えようと動いている。連中が一体、どこでこんなことを知ったのかはわからんが…お前には“特別な力”を持っている」

「特別な……?」

「今はまだその力は眠っている。だがその力は一部の“真神器”の力を最大限に引き出せる力だ。…これを持って奥の隠し部屋を使い、この国から脱出しろ」


皇太子は、フロルに刺客が持っていた、不思議な“ナイフ”を渡す。


「!?そ…そんな……」

「フロル。お前はいつも俺やほかの少年と同じようにサッカーや野球などをして遊んだな…。ほかの娘の誘いを断ってな。俺はそんなお前を妹ではなく弟のように見ていたよ」

「兄上…?いったい何を……?」

「お前が自分の性別に苦しんでいることを俺たち家族は知っていたよ。父上はだいぶ気づくのが遅れたけどな(笑)。お前は、急に何でも一人で解決しようとするようになったな。まだ若いんだから周りに相談くらいしろよ。お前の問題も、特に信用できる人間に話しておくと気持ちが楽になるぞ?」

「え……!?」

「さあ行け……今のうちに早く!大丈夫だ!俺たちはすぐに殺されるというわけではない。それに父上が密かに作り上げたあの隠し部屋は仮に見つかっても、特定の魔法がないと入れない。俺がこいつを足止めする。さあ我が弟よ!俺たちの足を引っ張らないでくれ!」

「!!!……兄上……ありがとうございました!私は決して連中に捕まったりしません!」


そう言い返し、彼女は奥にある船乗り場……の手前にある壁に手を付けて何かを唱える。すると、隠し部屋が出現し、ワープらしきものがその部屋の奥にある。そして彼女は着替え……視界が青くなっていく……。まあ、さすがに着替えを覗いては、いけないな……(笑)





******




「………」


目が覚めた。俺の部屋の中は暗い。時計を見ると、2:43だった。


『………』


イヴリーンが眠っている。まだ夜中なので、イヴリーンにも布団をかけ、俺はもう一度眠ることにする。けど結構眠ったし、あの夢のことも気になる……。多分眠れないのかな……と思ったが、すぐに眠ることができたようだ。









✪✪✪✪✪✪✪✪✪✪✪✪✪✪✪✪✪✪✪✪✪✪✪✪✪✪✪✪✪✪✪✪✪✪✪✪✪✪✪✪

~イヴペディア~

*ちなみにエルメルの宮殿に入ることのできる人は皇族、上級貴族、選ばれた召使い、近衛兵ぐらいで一般人はおろか外国の首脳クラスや王族等は立ち入ることはできない。

*隠し通路を知っているのは皇族以外では、ブラッドフォード家くらいで犯人は限られている。

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