イケメン美女なエルカヴァリア
そうそう、前回言い忘れていたが、俺の一日の流れは大体こうだ。
起床⇒朝食⇒(機体整備など)基礎体力訓練⇒昼食⇒シミュ⇒魔法訓練⇒夕食⇒自由時間⇒寝る
勿論、場合によっては予定の前後もあり得るし、監督者がいない時もある。
今の俺は、機体の整備をしているところだ。基本的には整備班がやってくれるが、もしもの場合に備えて、俺たちも機体の基礎知識ぐらいは覚えないといけないからな。
「おい坊主!機体の調子はどうだ?」
「あ、はい。問題ありません。ブースターも好調。システムオールグリーンです」
「そうか、じゃあ今日も大丈夫だな」
このおっさんは、整備班の班長であるオーブリー班長である。筋肉ムキムキで図体のでかい黒人(人族)である。あと、笑顔と歯と頭がまぶしい。いかにも脳筋っぽい人だが、なんと!とある超一流大学の機体整備科を首席で卒業したのだとか。人は見かけによらないってことだな!
ま、そんなことよりエルクのシステムをシャットダウンさせ、機体から降りる。
「坊主!お前さんもだいぶエルクの扱いに慣れてきたんじゃねーか?」
「はい、おかげさまで」
「がっはっは!そうかそうか!それはよかったな!」
「エルクってかっこいいですね。なんだか整備するのに気合が入りますよ!」
「坊主もそうか!さすがは男だな!男はそうでなくてはな!みんな、エルクのかっこよさにひかれてアルファや整備士等を目指すもんさ。俺もその中の一人だからな。かっこいいは正義だ!」
かわいいは正義みたいに言うな!しかし、俺もおそらくその一人に入ろうとしている。実際にエルクかっこいいもん。俺は自分のエルクを見上げる。
この機体は、『あざみ野シリーズMK-2』愛称は“あざみ野2”だ。……どこかで聞いたことあるような……?
この機体はあざみ野シリーズの最新機で、五菱重工製だ。自分のエルクがイケメン過ぎて辛い……。しかも漆黒と青の機体だからな。
ちなみにこれは軽量級。エルクはだんだんと、耐久性を維持しながらの軽量化が進んできているらしい。あの脚部……ちょっと細いが、スナイパーライフルにMブレード、ミサイル、Eマシンガンを積んでも重量過多ではないという。あの脚部どうなってんだ!?……まあ、仮に重量過多であっても魔法盤でどうにかすればいいだけの話だがな。流石ファンタジー。出るところは出て、引っ込むところは引っ込む、しかも細い!もうこいつは俺の彼女だ!異論は認めん!なお、俺の機体は今いるメンバーでは弥生に続いて古い。
セシルは『睦月シリーズMK-3』愛称“睦月”神奈製作所製
神奈川と読み間違えたが俺は悪くないはずだ。
ソランジュは『大曽根シリーズMK-2』愛称は……て言わなくてもわかるよね(説明がめんどくさい)五菱製
レオンとセドは『弥生シリーズ』MK-〇〇がついてないのは新シリーズ。五菱製。全機ナイスボディだ。しかもイケメン美女(?)!全部日本製だな。
また、俺が最初に戦った紫の人型は、『薬院シリーズMK-2』というらしい。これもすごいイケメン美女だな……。こいつと戦うのはなんかつらいかも……。こいつも五菱製だ。
因みに、エルカヴァリアを直接開発・研究している企業は現在、日本企業では五菱と神奈のみである。全世界的に見ると、火星を含めて20社以上もあるらしい。
「ハハハハハ!エルクに見とれているのか!この“あざみ野2”はな、新たに”マジックセーブシステム”(MSS)の採用を検討された最初の機体でな、結局採用されずにそのまま売られたわけだが、MSSは魔法盤にマナを注ぐとMコンデンサに溜めることができる。そのMコンデンサに溜めたマナは、従来通りそのまま、AFや弾速、威力等の効果倍増はもちろん、さらにすごいのは、魔質が高ければ高いほど、消費マナを減少させることができるのだから、戦闘の効率化が図られているのさ。一応あざみ野2にもMSS搭載できるから戦いやすくなるだろう」
「へ?そうなんですか?それは楽しみですね!」
「そうかそうか!お前さんも楽しみか!MSSの装置一式はもうこちらに届けられたのさ。さらにこのシステムは、M系武器以外の強化もできるぞ!マナ付きのスナイパーライフルってなんかかっこいいよな!」
そういえば、意味不明な0%表示があったが、たぶんそれが新システムの奴なんだろう。
Mコンデンサは、イメージとしてはバッテリー(充電可能な二次電池)と同じようなものか。マナをためる奴(マナ版バッテリー)は今まで作ることができなかった。まず、それにマナをためても30分には、ほぼ空になってしまうためだ。マナの性質についてまだ解明されてないものがある。その課題をどうやってクリアしたんだろう。因みにマナをためるものとして、魔石というアイテムがある。魔石は自然のマナを吸収できるが、当然その状態では使用できない。魔石からヒントを得たのか?魔石は地球と火星どの鉱山からも発掘できる。まれにそこら辺の地面に埋まっていることも。
「それに魔質の低い奴も、ネクタリキッド(燃料)を消費することによって魔法盤の機能を使いこなせるようになるさ。これにより今後は多少、戦い方が変わってくるだろうな」
「そうなんですか……また厄介なことになるんですね……」
俺たちが使う機体が強化されても、ほかの奴等も同じように強化するから、結局、決着はつかないんじゃないかな……。永遠の地獄!……となると決着をつけるのはやはりアルファの腕次第になるだろうが……EUNの連中はヴァリアントの究極体について、研究・実験を繰り返し行っているようだから、時間が経てば経つほどこちらが不利になっていく。
だからと言ってこちらからいきなりEUNの本部を襲撃することもできない。そもそもEUNの本部がハーティング島というところから、どこに移転したのか不明である。知っているのはエルメルの上層部だろう。
つまりエルメルを先にたたかないといけないわけだが、日本のほかに世界各地でもEUNの部隊もいるからどうにもできない。敵が多すぎる。エルクもいるし。
幸い、今のところはBSとEUNが潰しあってくれているから、こちらがあまりターゲットとなることはない。油断できないが。とはいえ、俺の体がもしヴァリアントの“フォース”であるのなら(ていうか、リーダーによると可能性が高い)、それなりに研究が進んでいるだろうから、もたもたしている場合ではないということだ。本当に厄介な状況だ。
ちなみにネクタリキッドとは、エルメルのネクタル社が開発したエルカヴァリアの唯一の燃料だ。特殊配合マナ……だったっけ?うろ覚えだが、確かそんな感じだったと思う。とりあえずネクタルといえば通じる。このネクタルは、特定の工場でのみ作られている。また、製造方法は企業秘密である。地味に燃料代が高い。日本では、川崎、刈谷、福山の3工場で作られているそうだ。本当は、工場所在地についても一切機密のはずなんだが……。さらに最近では、エルネクタルという研究も進んでおり、従来のネクタルと比べて長持ちさせる(長期間保管による劣化が起こりにくい)ことができ、実用化されれば、こちらが主流になること間違いなしという代物である。コストもネクタルよりやや高くなるといった程度。さらに、一般のネクタルと比べても約1.7倍カヴァリアの稼働時間が長持ちするとかしないとか……。マジでどこからこの情報を仕入れてきているの!?EUNにこちらのスパイがいたりして……。エルはエルメル語で、“上級の”という意味らしい。同じような意味である“ハイ”じゃなくて“エル”である。本当にこの世界はアメリカではなくエルメルを中心に回ってるんだと改めて実感する。
「戦いが長引けばこちらの不利になることは、わかっているな?この世界から腐った連中を駆逐するために俺たちも一致団結し腕を磨き上げて、なるべく機体の不備を防ぐつもりだ。お前さんも……」
ビーンビーンビーン!!
『メンバーに通達!オペレーションルームに集合せよ!!メンバーに通達!——』
「!?またミッションか……」
「まさか敵が攻めてきたのか……!?」
「行って来い坊主!最高の状態にしておくからよ!」
「ありがとうございます、行ってまいります!」
こうして俺の一日の流れにもイレギュラーが起こる。
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~イヴペディア~
*日本の兵器製造企業は五菱重工業と神奈製作所の2社。関連企業も含めると約10社。エルカヴァリアは両社とも得意分野だが、空母系は五菱、ドローンは神奈に軍配が上がる。
*ネクタル社・・・エルメル商業区に本社を構える企業。もともと酒造メーカーだったらしい。何故酒造メーカーがネクタリキッドなんてものを開発できたのかは不明。




