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股間に聖剣があった ――分かり合えないと分かり合う哲学  作者: チンポジ博士


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エピローグ 「哲学者たちのサロン」

神代悠は、目を覚ますと、白い部屋にいた。


そこには、円卓があった。


そして円卓の周りに、見覚えのある顔が並んでいた。


ソクラテス。

プラトン。

カント。

ミル。

ウィトゲンシュタイン。

ニーチェ。


悠は思った。


終わった。


ついに裁かれる。


ソクラテスが笑っていた。


「君が、例の青年か」


悠は頭を下げた。


「すみません」


プラトンが眉をひそめる。


「まだ何も言っていない」


「でも、たぶん謝ることになるので」


カントは重々しく言った。


「君の比喩は、不適切である」


「はい」


「理性の品位を損なう」


「はい」


「名称変更を要求する」


「それは……難しいです」


カントの眉が動いた。


「なぜかね」


悠は困った顔で答えた。


「そこを変えると、たぶん伝わらないんです」


沈黙。


ソクラテスが腹を抱えて笑い出した。


「よい。実によい。知らないことを知るには、時にひどい問いが必要だ」


プラトンが慌てて言う。


「先生、これは記録しません」


「なぜだね」


「後世に残せません」


ミルが静かに口を開いた。


「私的領域に対する不干渉の教材としては、有効だと思う」


カントが不満そうに見る。


「ジョン、君まで」


ミルは肩をすくめた。


「他者に害を与えない限り、本人の収まりは本人のものだ。表現は粗野だが、線引きは悪くない」


ウィトゲンシュタインはしばらく黙っていた。


やがて、一言だけ言った。


「言語ゲームとしては、強い」


悠はさらに頭を下げた。


「ありがとうございます。たぶん」


ニーチェが笑った。


「もっと斬ればよかったのだ」


悠は首を振った。


「いえ。あれは斬るためのものではありません」


ニーチェの目が細くなる。


悠は続けた。


「自分が分かった気になる瞬間に、自分を止めるためのものです」


円卓が静かになった。


ソクラテスが、少しだけ真面目な顔になった。


「ならば、君はよいところへ来た」


カントはまだ納得していなかった。


「しかし、名称はやはり問題である」


悠は苦笑した。


「私も、本当は星とか風とかでやりたかったんです」


プラトンが深く頷いた。


「それなら記録できた」


ソクラテスが言う。


「だが、星や風では届かなかったのだろう?」


悠は黙って頷いた。


ウィトゲンシュタインが、遠くを見るように言った。


「語りえぬものについては、沈黙しなければならない」


そして、少し間を置いた。


「ただし、時々、ひどい比喩が役に立つ」


ニーチェが笑った。


ミルも笑った。


ソクラテスは大笑いした。


カントだけが、最後まで渋い顔をしていた。


悠はもう一度、深く頭を下げた。


「ご迷惑をおかけしました」


ソクラテスが言った。


「迷惑ではない。哲学とは、時に迷惑な問いから始まる」


カントが小さく呟いた。


「だが名称は変えたまえ」


悠は笑った。


「それは、不問にしてください」


円卓に、また沈黙が落ちた。


そして今度は、カントも少しだけ笑った。

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