ろく
…抱き留めたけど、どうしよう…
「ナナゴ、空の鞄持ってきて来てもらっていい?」
「?分かりました。」
ナナゴが取りに行く。
…やっぱりミヤコからもいい匂いするなぁ。うーん、何の匂いだろう?最初は無かったよなぁ。食べ物でも花とかでもない、ナナゴと同じような匂い。分からんなぁ…
「タロー様、持ってきました。この後の事なのですが、今から出ても日が暮れる迄に降りれるか分かりません。もう一晩ここで過ごしませんか?」
…ミヤコも連れていかないとだもんなぁ。置いて行くと背後を取られる形になるし、引き込めるなら日常生活とかの情報源になるだろうし。とりあえず、起きるのを待つか…
「ナナゴの判断に任せるよ。」
頭の下に鞄を置きミヤコを寝かせる。
「枕にするのですね。…昨晩はそこ迄考えが至らずすみませんでした」
「いや、無くてもぐっすり眠れたから大丈夫だよ」…こっちでも枕はあるのか。俺は細かい文化の違いも分からないんだよな…
「では、私は魔物の一部を切り取って来ます」
「…御神木様に血が付いちゃわない?」
「ついてしまいますね。説明する際に疑われるとは思いませんが、証が有るのと無いのでは説得力が違います」
「なるほどね。俺も手伝うよ」
「ミヤコを看て無くていいのですか?」
「そうか、危害を加えてくるかも知れないからな」
「恐らくそれはないかと思いますが、居なかったら混乱するかと」
「じゃあ、何も出来ないようにグミで両手を御神木様にくっつけておくよ」
「…分かりました」
…ナナゴの顔が引きつったなぁ。どうしたんだろう?まぁいいか…
ナナゴと一緒に犬の所に移動する。
…でかいなぁ。2人で口の中に入っていたんだよなぁ。外から見るとこんなに口が裂けてたのか。体もこんなにでかかったんだなぁ。肉は美味いのかなぁ…
「解体するとしたら、ナナゴはどう捌くの?」
「恐らくタロー様が捌く時の手順と変わりません」
「ごめんなさい。捌いたことありません」
「?あぁ、貴族か大店の偉い人だったのですね」
「一般人です」
「いっぱんじんと言う役職ですか?」
「えー、平民です」
「????平民なら多少は経験していませんか?」
「んー、切り分けられて肉だけにしたのを調理してた。だから、まるまる一匹は経験無いよ」
「??そうなのですか?」
…文化が違うから伝える方も聞く方も難しいよねぇ…
今回は牙を1本持っていくそうだ。
使用するのは剣とナイフ。
剣は鎧姿がそれぞれ1本ずつ持っていたもので、ナイフの方はそれぞれの鞄から2本ずつ出てきて合計4本。
刃物全てが片刃だった。
「ナナゴが血だらけにならない?」…何かやり方があるなら口出しをする事じゃないけど、奇跡使ってみたいなぁ…
「仕方のないことです」
「ちょっと試したいことがあるんだけど、やってみていい?」
「危ないことですか?」
…吸収するのとグミだから危険はないよね…
「安全だと思う。ただ、周りからどう見えているのかあとで教えて欲しい」
どれが欲しいか聞いて、ナイフを持ってグミで覆う。
狙った牙の根元の肉にナイフを入れようとする。
刺さらない。
「…安全でしたね。では私が」
「もう1個だけいい?」
「…次も危険はありませんか?」
「無いよ」
さっきの場所で力を入れずナイフを引く。
薄く切れて血が出てきた。
…グミのせいで切れなくなる、と。出てきている血にに吸収。すっごく少量流れて来てる。次に、ナイフに付いている血に吸収。血が無くなって、ナイフは無くならず。最後にグミを手に纏わせて、ナイフのとこだけグミを引っ込める。引っ込める、引っ込めるぅー。何故だ、形は変わるがナイフが露出しない。こんなに全力で頑張っているのに。俺は全力なのか?…
手が圧迫される。
グミの色が濃くなる。
…まだまだ…
ゴキリと手の骨が折れ、痛みが走る。
グミの色が濃くなる。
…先端がわずかに出た。まだまだ…
手がぐにゃぐにゃになり、感覚が無くなる。
グミの色が濃くなる。
…刃渡り10センチくらいで三分の一くらい出たな。まだまだ…
グミに覆われていない腕の部分全体に針で刺されたような痛みが出る。
グミの色が濃くなる。
…8センチ出たから、見えないくらいの真っ黒グミの中に2センチか。コレが今の全力か…
そのまま場所をずらし、先程と同じようにナイフを引く。
同じような結果になった。
…刃の部分の条件は変わらないからな。グミに血をつけてみて、離す。そしてグミを消す。あー、何も無し。ちゃんと付いて無かったのか?表面についてたら、グミを消した時に血だけ落ちるはずだよな。今度は何時ものグミを纏わせて。血を付けて離す、と。で、消してみる。なるほどぉ、グミに混ざって一緒に吸収されてるような。次は条件か。んー、無理だな。痛すぎて泣きそうだ。俺の手どうなってんの?ほんのちょっと揺らしただけでグニャグニャしちゃう。あれ?どうやって治そう…
自分の考え無しに苦笑いをしながらナナゴを見る。
ナナゴは両膝をつき、祈る様な体勢でこちらを見ていた。
両目をこれ以上無いくらい見開いて。
…ホラーかな。顔が整ってるから迫力があるなぁ。とりあえず、手は何とかなんないかなぁ。諦めるしかないか?義手とかあるかなぁ?そう言えば、ミヤコの怪我が治ったなぁ。ダメ元で手に送ってみ"バギィッ"いてぇ"ゴギャアッ"つらい"ブルブルブルブル"振動してる。見た目は戻ったな。謎音と動きが気持ち悪かったけど、痛くなくなったし…
ナナゴは口元に笑みを浮かべ、他は大きな変化はない。
…どんな心境なんだよ。そうか、こっちでは意味が違うのか…
「終わったよ」
「タロー様。タロー様は御神木様と近しい存在なのですね」
…どういう事なのか。どういう意味なのか。どうしてそう思ったのか…
「俺は関係は薄いと思ってる」
「はい。別の存在なのですね。」
「…ナナゴは俺のことどういう風に見えてるの?」
「はい。タロー様は転生者でここに来て間もない。と、いうことにしていますね。」
「ことにしているじゃなく、来て間もない転生者です」
「はい!」
…何らかの誤解が発生していたなぁ。訂正したけど理解したかは怪しいなぁ。まぁ、暫く一緒にいれば分かってくれるよね…
「…立ってよ。血が付かないように出来るからこっちに来て」
「はい!」
ナナゴは笑顔になり隣まで歩いてくる。
…充血してる。もうあんなに目を開かないでね。目が乾くとつらいからね…
「背中に触れるよ。頭以外を覆うから」
「分かりました」
ナイフを渡し、ナナゴの背中に触れてゆっくりと広げていく。
予定通り頭以外を包んだ。
…制御がしやすくなってる。キッチリ手までで止めることが出来た。色が濃くなってもいない…
「ありがとうございます。それでは牙を1本とります」
「うん。次に俺も出来るように見て覚えます」
ナナゴは一度こちらを見てから作業を始めた。
…うーむ、無理だな。パッパッと進めてるけど、俺には出来る気がしないなぁ…
「出来ました。もしかしてですが、牙に付いた血も落とせますか?」
「やってみるよ」
牙ごと消えてしまった。
ナナゴは苦笑いをしながらもう一本とっていた。
ミヤコの方を見たが、まだ寝ているようだ。
やることも無いので、ナナゴと一緒に鞄の中身を見に行く。
「持ち主が居なくなった物って貰っていいの?」
「…その時々によります。手に入れた方法と、手に入れた人の考え方によります」
「…盗賊行為は駄目だよね。考え方の方は?」
「死者と一緒に送り出す。と言う人も居ます」
「ナナゴは?」
「私は…道具は使ってこそだと考えているので、必要な分だけ頂きます」
「なるほどね」
ポツポツと会話しながら道具を見ていく。
一通り説明してもらった後に何の気なしに隣に置いてあった鎧に触れる。
…生物以外に送り込んだことあったかな?やってみるか。おおっ、紫になっていく。とんでもなく軽量化したなぁ。形も何となく変化したし、感触も弾力が出た。ナイフを当てて、滑るっ。見た目では傷にもなってない…
「タロー様。その神具を試しても宜しいでしょうか?」
「どんどん試して。あと、寝具ではないよ」…弾力があっても枕にはならないなぁ…
「あの、思いきり切りつけたりとかしても…?」
「いいよ」…俺のじゃないし…
「ありがとうございます」
「じゃあ、ミヤコの様子見てくるね」
…結果として謎変化をしてしまう、と。実用性はナナゴが調べてくれるらしい、と…
ミヤコに近付いて行くと違和感を感じた。
服に余裕はなくはち切れそうになっていて、髪がだいぶ伸びていた。
…せいちょうきだー!…
気分で書きます。
気分で投稿します。
中身も気分次第で。
コンプライアンスとかとか疎いのでご了承ください




