さん
前の方に倒れ込む。
真下が丸く切り取られていた。
「真下に落ちなくて良かった」
周りを見ると左右と後ろは葉っぱがない。
「方向も良かったんだな。後ろに倒れてたら…落っこちてたな。んー、寒くなくてよかった」
今は周りが明るいが、いつ暗くなるのか…。
動けるうちに落ち着ける場所を見つけたい。
自ら動けなかった、あの状態の時よりも不安感が強い。
…安全策を取るも、危険な橋をわたるもすべて自分次第だからなぁ…自由という権利を手に入れて、庇護して貰えるという権利を失ったってことかな…まぁ、たまたま今までが無事だっただけで守られて無かった可能性もあるけど…
ゆっくりと葉から枝へと足を運ぶ。
そのまま速度を維持して幹へと向かう。
…生き物と会わないなぁ…あっ、魔物の特徴を聞くの忘れてた…判別できない…んー…襲ってくるやつがいれば何であれ逃げるから、見分ける必要はないか…あっ…枝分かれしている所に穴みーつけた…
入り口は俺の体の倍くらい。
そっと中を覗くと…5人くらいが横になれる広さで他に外につながっている所はなく、板と棒が置いてあった。
変化がないか周りに視線を巡らせつつ棒を拾う。
床や壁をコンコンと叩いてみた。
…同じ音しかしない…何も起きないし、大丈夫なのか…
分からないなりに安全を確認して、外から見えないように入り口に板を立てかける。
「ふぅー」
力が抜けて座り込んだ。
「緊張してたんだな。そりゃそうだよな…これからどうしよう」
天井を見ながらあの声を思い返す。
「転生って言ってたな」…夢じゃなかったんだな…
「あの世界には戻れないのか」…思い出そうにも朧気になっちゃってるけど…
「気持ちを切り替えるとして、今生きるには…水、食べ物、服…この棒で身を守れるのか?」…何もが足りてない、とりあえず服…
「使えるものは…奇跡、棒、今いる穴」…手持ちの選択肢がほぼ無いなぁ…
「どうしよう…」
後ろに倒れ込むようにして寝て天井を見つめる。
そのまま意識を落としていった。
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「んー」
目を覚ます。
…ここが寒い時期じゃなくてよかった。季節の変化とかがあるかわからないけども…
…どうであれ全裸で生活はなぁ…
…後は奇跡か…
…あの声の説明も誰かから聞いたような言い方だったし、内容にズレがありそうだなぁ…
…あー、すでになんか違うのか。体の外にあったのに殻を消せちゃったものなぁ…
…何が起きるか把握しといたほうがいいかぁ、怖いけど…
起きて壁に手を当てて奇跡を使う。
「壁は…変わらないな」…使い方が分からない…
「もっと強くしてみ『止めて下さい』ごめんなさい」
『迎えが来るのでくれぐれも何もしないでください』
「わかりま『では、失礼します』」
…なんか感情豊かだな。イライラしてたし、冷たかったし…
「いつ来るんだろう?あぁ、服どうしよう…無いものはしょうがないか…」
また横になり天井を見た。
…あーあ喉が渇いて…ないな…腹は減って…ないなぁ…
…どうなってるんだろう?奇跡の副作用か?実験はやめといたほうがいいな。また怒られる。寝とくか…
目を閉じると同時に
「御神木様の導きにあった方ですね?」
寝れなかった。
「はじめまして。多分そうです。迎えがあると言う声が聞こえてきたので。」
「わかりました。では、移動しましょう。私についてきて下さい…変態全裸野郎…」
…最後に何か言った?…
「あのぅ、替えの服とか持って…ませんよね。布とかでもありがたいのですけども…」
「!!持ってなかっただけなのですね!堂々としているのでそういう人なのかと…」
…最初に目が合って以来ずっと俺の足元に視線を固定してた理由がそれか…
「私が渡せそうなものは…首に巻いている物くらいですね…」
…すっっっごく嫌そうな顔してる…
「ありがとうございます。お借りします」
「…差し上げますので絶対に返却しないで下さい…」
…好感度が下がってるなぁ…
「わかりました。本当に助かります」
頭を下げて感謝を伝えた。
そしてこの世界で初めて衣類を身に着けた。
「もういいですか?行きますよ…」
「宜しくお願いします」
「ハァ」
…なんかゴメンナサイ…
移動を始める。
穴に来るまでも思っていたが、この木はデカい。
葉っぱの上から地面っぽいものが見えていたが霞んでしまうくらいで、そこから穴までは今日の移動距離の半分くらいだと思う。
そう、今は日が暮れてしまい1日で目的地に到達できなかった。
「明日には私たちの住む地に着きますよ」
と、いうことらしい。
今はちょっとした広場みたいになっているところの中央に寝転んでいる。
「御神木様の所には私達に害を加える生き物は滅多に来ませんよ。」
とのことだ。
極稀に来てしまうらしいので彼女は見廻りに行っている。
…一日中ずっと一緒だったし、ナナゴは俺のことが好きなのかも…
謎妄想をしながら上を見る。
…話をしてもそんなに盛り上がらなかったけど、色々話は聞けたなぁ…
彼女の名前はナナゴ。数字で言う75らしい。偽名かと思ったが、彼女たちは男女関係なく若い方の番号から名付けられるようだ。因みに亡くなったりとかで空白ができたら新しく生まれた人がそこに名を連ねるらしい。
…前にずれる方式だったら、いつの間にか名前が変わっちゃうかもだから混乱の元だものなぁ…
そんなナナゴ達はエルフと呼ばれる種族ということらしい。
エルフは御神木様からの神託を受け取る精度が高いそうで、今回もすぐに声に従ったそうだ。…『人』『保護』のように伝わってくるらしいから、俺の方がよく聞こえている気がする。黙っておこう…
そんなナナゴたちは今居る御神木様の足元に住んでいるそうだ。
そこには二千人住んでいて、王様が治めているらしい。
…何と言うか何を聞いていいか分からなくなるなぁ。俺の質問にナナゴも考え込むこともあったし、どこまで聞いていいのかも分からないしなぁ。聞いた内容も全部は覚えられてないし、頑張れよ俺の脳…
「ただいま戻りました」
「おかえりなさい。見廻りありがとうございます。」
「いつもより遠くの方まで確認してきたので、一晩なら何も起きないはずです。少ないですが、食事をとりましょう」
…!!!背中が外れた!肩から腰の下まである薄いリュックを背負ってたのか!…
外したリュックから袋が出てくる。
そこから煎餅くらいの大きさと厚さで見た目はナンに見えるものが出てきた。
「夜の分はこれだけです。明日の朝も同じ物になります。…急だったため準備が…御神木様に招かれた方なのに…」
「ありがとうございます。迎えに来てくれただけでとても嬉しいので、気に病まないでください」…うーん、俺は招かれるであってたのか?…
「すみません。気を使わせてしまいましたね。あっ!そうだ!水、飲みます?」
煎餅?を袋に戻した後、ぺったんこリュックから皮の袋を2つ出し1つを俺に渡してくれる。
「ありがとうございます。喉が渇い…」…どうやって開けるんだ?あれ?そもそも喉の渇きどころか飲む気になれない?…
「?、何かありましたか?」
「いえ…どうもいろいろあって食欲が無いようです。もう寝ますね」
手に持っているものを渡した。
「わかりました。何かあったら遠慮なく起こしてください。それではおやすみなさい」
「ありがとうございます。えっと…もっと砕けた話し方をしてもらえると嬉しいです。おやすみなさい」
ゴロンと横になり目を閉じる。
…よく思い返してみると、どれだけ飲み食いしてないんだ?体の中もそうだけど、外側も見える範囲で違和感がある。鏡が欲しい。うーん、情報が足りなさすぎて答えが出ないなぁ。なんかどうでもよくなってきたなぁ。まぁ、どうにかなるかな。今日のところはおやすみなさい…
気分で書きます。
気分で投稿します。
中身も気分次第で。




