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尻尾が増えていくn日目
「うぁぁ。今日も始まるなぁ。そう言えば、トカゲのいる広間って何で明るいんだろう?」
「木の根が絡み合って作られているので、光が差し込む隙間が多くなっているからです」
「よく見てるなぁ」
「タローが周りを見なさすぎなだけよ」
「みてるし!おっ。いつの間にかコン蔵の尻尾が4本になってる」
「タロー様。それは何日か前からですね」
「みてるし!」
「そうよね。はいはい。みてるみてる。これでいいわよね?」
「雑すぎ。もっと優しくてもいいんだよ」
「最近、広間で騒がしくしてもトカゲが寄って来なくなってしまいましたね。」
「やさしく…。まぁトカゲの事だと、あの空間にどれくらい数が居たのってとこだなぁ。」
「そうね。生息数以上の数は出て来ないんだものね」
「そんな…トカゲが、居なくなるのですか?」
「食い尽くし系エルフか」
「魔物を減らせるんだから喜びなさいよ」
「確かに嬉しいことだったのですが、食べれるのです」
「自分に正直なのよね」
「そういえば動物のトカゲっていないの?」
「聞いたことがないわね」
「私も言い伝えられていたくらいなので、そもそも本当にいるのかここで来るまで知りませんでした」
支度を終え、トカゲの調達へ向かう。
「この先って見たこと無いなぁ」
まっすぐ続く通路の奥に視線を向けた。
「ここに食料が居るのに、進む理由がないわ」
「はっ。タロー様はおいしい魔物が隠れていると示唆しているのですね」
「見に行った事があるの?」
「俺も2人と一緒で、ここまでしか来たことないよ」
「では、何かがこちらを覗いていたのですね」
「そんなのがいたら情報共有するわよ。するわよね?ね?」
「すぐ2人に伝えるよ。ミヤコは疑うなよ」
「タロー様は奇行を…いえ、愉快な行動をする事があるかもしれません」
「遠慮が無いな」
「気を使うってどうするのか忘れたわ」
「これくらい詰めないと秘密にされてしまいますので」
「優しくしてよ!俺はフルオープンだよ」
「抜けすぎてるのよねぇ」
光が届くギリギリの所まで行き、火をつけた木の棒を投げ入れてみる。
「消えたね」
「10メートルくらいかしら?」
「水に入って消えてしまいましたね」
「すぐそこだし行ってみる?」
「火を投げたので、明かりがありません」
「他の木に移してるからちょっと時間を貰えれば大丈夫よ」
「せっかくだし行ってみるか」
十分に火が大きくなり、視界を確保できるようになった。
「水没してるねぇ」
「魚とかいるのかしら?」
「瘴気が濃いです。タロー様の後ろにいるのに広間の初日くらいの濃さです」
「違和感なく呼吸出来てるわよ?」
「なぜでしょうか。」
「慣れたんだろ」
「そうなのかしら?」
「わからん。あの時ミヤコ苦しそうだったな」
「そうよ。あの苦しみは忘れられないわよ」
「言葉と行動が合ってません。タロー様の前に出てるじゃないですか」
「息が詰まる感じがしなかったし、いけるかなって思ったのよ」
「もっと考えてから動きなよ」
「タローには言われたくないわね」
ミヤコが水に手を入れた。
「冷たいわね」
「そういうとこですね」
「?、どんなとこ?」
「正体不明な水にいきなり手を入れたろ?」
「だいじょーぶよ」
「なんでさ?」
「ほら、そこでコン蔵が飲んでる」
「いつの間に…」
「気配を全く感じられませんでした」
「大人しすぎて存在を忘れられるとも言いそうよね」
底の方を覗き込んでみると、暗い色の何かが穴の大きさいっぱいに詰まっているように見えた。
「あれが何なのかわかる?」
「私には…ただ、瘴気の塊のようにも感じます」
「初めて見るわね。タロー、水を無くせる?」
「できるけど、何をする気?」
「何って…触る?」
「はっ…美味しいかもしれないのですね」
「まぁ、可能性はゼロでは無いけどさぁ」
「では試しましょう。タロー様、お願いします」
靴を脱ぎ、足から水を吸い込む。
水かさが減った分だけ前に進み、どんどん謎の物体に近付いて行く。
…何か見たことがあるような気がするんだよなぁ。どこでだったか思い出せないけど…
物体が水面から顔を出したが、そこから更に水位を減らしていく。
…これくらいでいいか?うん。触った感じは石だなぁ。ちょっと吸い込んで。ああ、これはあれだ。体の無かった頃にぶつかった紫のやつだ。懐かしいなぁ…
懐かしみながらあの時のことを思い返していると、いつの間にか紫の物体を全て吸い込んでいた。
「あっ、ごめん。やっちゃった」
残すことができなかったので謝りながら振り返る。
「なにがあった!」
2人と1匹が倒れているのが目に入った。
「くそっ!襲撃に気付かなかった!囲いを!」
誰にも外傷はなく、息が浅い。
「毒か?分からん」
他に何も浮かばなかったので胡座をかき、右手でナナゴ左手でミヤコ膝の上にコン蔵を置いて全員に送り込んだ。
「呼吸はいつも通りになったか?後は目を覚ましてくれれば」
気分で書きます。
気分で投稿します。
中身も気分次第で。




