じゅうく
森の中でする肉加工屋さん10以上20以下日目
「大きなトカゲですか。見たことはないです。」
「見たこと、は?」
「ええ、昔の転生者が大きなトカゲを倒したという逸話があります。」
「聞いたことがあるわ。そいつのせいで王国での転生者への期待値が高いのよ。たぶん」
「たぶん?」
「わたしの扱い…」
「そうでしたね。深くは聞かなくても何があったかは想像できます」
「それはいいのよ。タローはどうしてトカゲの事を聞いたの?」
「見かけたから」
「!怪我はないですか!?」
「確認するから脱ぎなさいよ!」
「傷1つ無いから脱がないよ」
「傷1つ、ですか?」
「そうだよ。グミで包まれてたからね」
「わかったわ。だから、脱ぎなさいよ」
「何をする気?」
「…そうですね。なぜ服を着ているのですか?」
「2人共何言ってるの?」
「裸になれって言ってるのよ」
「そうだよね。それの意味は?」
「生まれたときは皆衣類など身につけていないのです。」
「…悪乗りしてるなぁ。」
「それはそうと、トカゲはどの辺りに居たのですか?」
「水場に向かう途中で、ちょっと外れたとこ」
「割と近いわね」
「暗いと見落としが恐いので、明るくなってから見に行ってみましょう。」
「すぐに行動しなくて大丈夫?」
「ここで大きな音出して食料調達してるから今更だと思うわよ」
「それもそうか。…ところで、トカゲって美味しい?何の肉に近いのかなぁ?」
「すみません。それは聞いたことがありません」
「…動物なの?魔物なら食べたことある人なんていないわよ?」
「それもそうですね」
「最近ずっと魔物を食べるのが当たり前だったから忘れてたな」
「明日が楽しみです」
「ナナゴは食べる気満々よね」
「じゃあ、今日はすぐ寝て明るくなったら行ってみるか」
「わかったわ。とりあえず囲いの外側が騒がしいから、静かにさせちゃうわよ」
「タロー様。全て瘴気を抜いたら今日の仕事は終わりです」
「…はい」
手早く狩り、瘴気を抜いた。
瘴気を抜くのに手間取ると追加で襲撃があり、流れるような行動が必要だった。
何とか空白の期間を勝ち取り、2人を寝床に引きずり込み動きを封じることに成功。
その時のコン蔵はヘソ天でとっくに寝ていた。ずるい。
暫くもぞもぞしていたが、落ち着いたのか2人共静かになったのでいつの間にか俺も寝てしまっていたようだ。
…眩しい。朝か。2人は、両側で寝てるな…
「両手に花、か」
ミヤコがビクッと動いた気がしたが、コン蔵の尻尾に目線が釘付けだった。
「2本になってる!」
「どういうことよ」
ミヤコが目を開けてこっちを見ていた。
「コン蔵のしっぽ!」
「しっぽは1本よ…2本になってる!」
「ふぁぁ、おはようございます。どうしました?あっ、タロー様。」
ナナゴが起きたと思ったら抱き着いてきた。
「おはよう。ナナゴ、コン蔵の尻尾が増えたように見えるんだ」
「むぅぅぅ。コン蔵ですか。増えてますね。えっ、増えています!」
「何か知ってる人いる?」
「わたしは聞いたことないわ」
「私もです。見た所、コン蔵の力の動きが強くなってる気がします」
「尻尾が増えると強くなるって、妖怪?」
「そう言われればそうよね。こっちで聞いたことも見たこともないけど」
「ようかいとは何ですか?タロー様とミヤコは知っているのですか?」
「あぁー、前世の空想上の生き物?」
「そうそう、実際に見たことは無いわよ。」
「?、いなかったのですね」
「んー、どうだろう?見たことは無いけど、居ないとも言えない存在?」
「そうねぇ、居ないかどうかははっきりと言えないわよね」
「よくわかりません」
「そうだね。俺も知ってるっちゃあ知ってるけど、よく分からないよ」
「コン蔵。わたしのとこに来て」
「クゥゥン」
コン蔵がミヤコの胸に飛び込んだ。
「しっかりお尻から2本生えてるわね」ナデナデムギュ
「毛並みも良くなった?」サワサワキュルン
「他のフォックスも尻尾が増えるのでしょうか」サワッ スッ キラーン
「ナナゴ、ナイフしまって。何をするつもり?」
「あじ…いえ、コン蔵に何かあっては遅いので治療しようかと思いまして」
「こんな病気あるのかしら?」
「聞いたことはありませんが、尻尾が2本も聞いたことがないので。」
「…ナナゴ、コン蔵はそっとしておこう。異常が出たら何かしら処置しよう?」
「分かりました。処置するときは、絶対に声をかけて下さい。絶対です」
「あーうん。そうする」
「では、トカゲを食べに行きましょう。」
「切り替えが早いわね。でもこれじゃ、囲いの外側に出れないわよ」
囲いは地面から半球状に展開されているのだが、俺の身長を超えるくらいの高さまでびっしりと埋め尽くされていた。
「ぐるっと全部ゴブリンかぁ」
「死んでたら入ってくるから、囲いに押し付けられてるのも全部生きてるのよね?」
「あっ。引き込めました。死んでいてもこちらから手を出さなければ、囲いのなかには入って来ないみたいです」
「へぇー。タロー、そんな特性あったの?」
「みたいだな」
「よく分かってないわね」
「てへっ」ニュッ スイトル ニュッ スイトル
「うぇっ。タロー、何をしたのよ。共食いしてるわよ。食べられてるの、あなたが触ったゴブリンでしょ」
「昨夜試したんだけど、瘴気を抜いたら仲間じゃないみたい」
「初めて知りました」
「これが出来るのが俺だけってことだからかな」
「おそらくそうなのでしょうね」
包囲に穴が空いたがそこから外に出ずにゴブリンを殲滅を終えた。
「出発の準備は終わってる?」
「いつでも行けます」
「このお肉はどうするの?」
「今狩った肉以外はコン蔵が食べちゃったから無いし、荷物になるから瘴気を抜いて置いてくよ。もしかしてお腹すいた?」
「今はいいかな。それで、どうして瘴気を抜くのよ」
「ゴブリンをこっちに誘導出来るかなって思って。もし、トカゲから逃げる事になった時に乱入されてもさぁ」
「なるほどね。囮になる、かもってことよね」
「そうそう」
「タロー様、早めにお願いします。トカゲを食べている時に水を差されても面白くないので、すぐ移動しましょう」
「食うのは確定なのね」
後始末を終え穴の前まで移動した。
道中で数グループのゴブリンと遭遇したが、全て瘴気を抜いて転がしておいた。
「タロー様。瘴気を抜く早さが増していますね」
「そうなの?手を抜いているのかと思ってたわ」
「自分じゃよく分からないなぁ。あと、この穴からトカゲがこんにちはしてたよ。夜だったからこんばんはかな?」
「どうでもいいし、着く前に言いなさいよ」
「タロー様。私もミヤコと同じ意見です。準備も無しに狩りになったらどうするのですか。火も焚いてないので肉が焼けないです」
「ナナゴが逞しい」
「まぁタローが無傷だったのだから、明かりさえあればすぐ入れるわね」
「…穴の中は瘴気が濃いようです。タロー様、空気中の瘴気を薄くできますか?」
「やってみるよ。ナナゴは見てて。ミヤコは火を起こして。」
「わかったわ」
グミで全身を包んだ後、右腕だけ露出させていく。
空気中で吸い取ってみると、魔物と同じ感覚だがもの凄く薄いものだった。
「…駄目ですね。いえ、無駄ではないのですが奥からどんどん出てきています。タロー様よりも入り口に近い所にいないと効果が無いようです」
「へぇー、ずっと奥まで続いてるのねぇ」
ミヤコが火のついた木の棒を片手に俺の前に出た。
「んっ、ゴホッゴホッ。ヴッ、ゲホッ」
立ったままではいられず、棒を手放して両手を地面についた体勢になり咳き込んだ。
「そうなるのか。俺より前に出ちゃ駄目だな」
ミヤコより更に奥に行き棒を拾い、吸い取りを強くする。
「ゴホッ、先に言ってよ。グフッ、息ができなくなるわ」
「ミヤコが勝手に進んじゃったんだろ?」
「ゴフッ。ふぅ、そうだったかしら?」
「ミヤコ、タロー様よりも入り口側にいれば大丈夫なようです」
「そうするわ。あと、1メートルくらいの棒が6本あるから燃え尽きる前に戻るようにするわよ」
「わかった。じゃあ、穴の中の探検するか。
俺たちの冒険はこれからだ」
気分で書きます。
気分で投稿します。
中身も気分次第で。




