じゅうしち
木と魔物に囲まれて初日はあの日ってことは実は3日目か4日目
1人で何とか散発的な襲撃を全て退け続けること数時間、まだ日は落ちていない。
ついにナナゴが起きてきた。
「タロー様。お肉は何処ですか?」
「これでいい?どれくらい要る?」ススッスッ ジュゥゥゥゥ
「それくらいあれば凌げます。」
「凌ぐかぁ。ほい、どうぞ」ササッ
「ムグムグ、タロー様。少し身体が重く感じます。申し訳ありませんが、次の狩りの当番もして貰って宜しいでしょうか?もちろん断って貰っても構いません。休むのなら、あちらで一緒に横になりましょう」
…地面に直で寝てるよなぁ。比較的フワフワな皮を薄く包んで敷布団…
「ナナゴ、このうえで寝てみて」
「んー、一緒に横になるのですねぇ。タロー様、んー」
…もう眠くて頭が回ってないんだろうなぁ。ここ、魔物が出てくるってのに警戒心が無いもの。まぁ、暗い間ずっと気を張りっ放しだったんだろうから疲れが溜まってるんだろうなぁ…
ナナゴが寝て、ミヤコを隣に転がす。
「ミヤコの抱きしめる力が強すぎないか?コン蔵苦しそうに見えるなぁ。」
…さてと。乾いた木を探して、葉っぱを煮沸消毒して、解体した肉を葉っぱで包む。あと何をしよう?…
「あー、忘れた頃に魔物が来るなぁ。」
辺りが暗くなり、昨夜よりも尚明かりが乏しいような気さえする。
「新月に近付いてるのかなぁ。見え方に満ち欠けがあるか知らないけども」
2人と一匹は起きる気配はない。
静寂が支配する世界になる…ことは無かった。
「魔物って夜行性なの?何こいつら。俺は寝なくても良さそうだって自覚があるけど、わざわざこの時間は何なのさ。」
ずっと愚痴を呟きながら倒し続ける。
ゴブリン、ディア、ボア、ディア、ウルフ、謎の順で襲撃数が多い。
最後の謎とはほんとに謎だ、継ぎ接ぎだらけと言えばいいのか多種多様な物が付いている。
勿論そいつの動きはチグハグだ。
…動きに引っ掛かる所があるから、むしろ弱いんだよなぁ。こいつが合成されているとして、純正より弱いけどどうしたいんだろう?…
「やっぱりな。こいつが前足を振り下ろす前に、肩の所で関節が外れるようなカクつきがあるなぁ。」
「タロー様。この魔物はタロー様が何かしたわけでは無いのですね?」
ナナゴの声に振り向き、頭に前足が直撃する。
「ナナゴ!起きたのか」
「タロー様は夜の見張りをした事がないでしょうから」
「まぁ、昼のも無いけどね」
頭に噛みつかれた。
「くっ、そこまで言うなら!私をすきにしてください!そんなに言われては…なんでしたっけ?」
「あーあーあーあー。ミヤコのせいだな。一択が過ぎる」
「違います!私を…えー、傷つけた事を悔やむのなら誓ってください。眷属にすると!」
「なんでよ!」
「なんのこと!?ミヤコが何か言ったんだろ!」
「言ったけど!そうじゃないわよ!」
「フォックス種の力の気配がミヤコと一緒です」
グミ越しだが魔物にガジガジとされ続けている。
「鬱陶しい!」
「そんな!わたしは遊びだったの!」
ナナゴはじっとこちらを見つめている。
「うがぁー!ちょっと待てよ」
「待ってあげるわ」
ナナゴはじっとこちらを見つめている。
「はぁー。誤解とか解釈の違いとかいろいろ絡み合ってそうだなぁ」ハナトクチフサギ!
ナナゴとミヤコはじっとこちらを見つめている。
「倒れたな。さて、戻るか。」
魔物はあっさりと囲いを通過したので、そのまま引きずって2人と1匹のところへ向かった。
ナナゴとミヤコとコン蔵はじっとこちらを見つめている。
「あー、まずはどれから?誰から?」
「クゥゥン」カブッ ヴェェェ ペッペッ
「何故食べようとした」
「ではまず、そのフォックスは何なのでしょう?」
「コン蔵?拾った」
「ナナゴ、無理よ。タローだもの、納得できる説明ができるわけないわ」
「そうですね。」
「酷いよ!ちゃんと聞いて!」
「フフン。聞いてあげるから、言ってみなさいよ」
「外に出たら居た、連れてきた。以上!」
「それは…そうでしょうね。中にはいなかったでしょうね」
「タローだものね」
「それが全てだもん」
「可愛くはないわね」
「これからこのフォックスをどうするのですか?」
「コン蔵、ついてくるか?」カリカリカリカリ
「タロー、瘴気抜いてあげなさいよ。無視してると引っかき続けるんじゃない?」
「ほい。コン蔵、食べな。これからはこいつ次第かなぁ?やりたいようにさせるつもり」
「スリーでは猫なら居ましたが、フォックスは飼ってると言うのを聞いたことがないです。」
「わたしも猫と犬ならみたことあるわ。他は知らないわよ」
「魔物の?」
「多分違うわ。どっちも小型で大人しい種類よ。」
「スリーの中に居たのも小さく、魔物ではありませんでした。そもそも魔物なら狂暴で、共生はできません」
「へぇ。そう言えば、魔物と動物ってどう違うの?」
「…そう言えばそうよね。狂暴さ、かな?」
「…私は瘴気が分かるのでそれで判断していました。ボアもディアもどちらもいますが、瘴気の気配が分からないエルフはどうやって判別していたのでしょう?」
「なるほど、よく分からないことがわかった」
「あっ、口に入れてみれば分かるわよ」
「それで判別できるか。」
「その判別方法は…私は嫌です」
「わたしも嫌よ」
「俺がいたらどっちだとしても関係無いんじゃない?」
「それもそうね。この子は動物よね?」
「…私にはこのフォックスがどっちなのか分かりません」
「大人しいわよ?」
「瘴気の気配はどう?」
「ミヤコと同じ力の気配がします。魔物とは違いますが、瘴気に似た気配もするのです」
「タローのせいね」
「そうです」
「俺なの!?」
「そうよ。おかしい事が起こるのはそこしか無いもの」
「そんな事ないと思うんだけどなぁ」
「…そんな事あると思います。」
「うん!それはそうと、この魔物を解体しようじゃないか!」
「誤魔化したわね」
「ふふっ。そうですね」
「あぁ。コン蔵、結構食べたなぁ。」
「それでもお肉はそこそこの量とれたわね」
「棚とか作っちゃう?」
「棚…街へと向かわないのですか?」
「街に行かなくても生活出来そうよね」
「まだ大丈夫ですが…いずれ服とかも必要になるでしょうし、雨が続けば屋根のある所で休みたいです。」
「…おふとん」
「すぐ行くぞ!」
「せめて明るくなってから出発しましょう」
「「はーい」」
「そういえば…この魔物の動きに違和感があったんだけどなんかわかる?」
「それだけ言われても何も答えられないわよ。…なんか継ぎ接ぎ?」
「……暗かったのでよく見えなかったのですが、初めて見ました」
「やっぱり継ぎ接ぎに見えるよね。ナナゴも見たこと無いってことは、もともとこの辺には居なかったのかな。同じようなのがぼちぼち来てたよ」
「何か変化があったのでしょうか?」
「わかんないけど、異変を伝えにスリーに戻ろうか?」
「…タロー様とミヤコが連れて行かれます。それに、御神木様には近付かないはずです。スリーにもです。」
「わかった。戻りたくなったらいつでも言って」
「そうよ。いざとなったらタローが何とかするわよ」
「はい!タロー様。よろしくお願いします」
持てる分だけの肉を残し、全て食べ尽くしてから3人と1匹で眠りについた。
気分で書きます。
気分で投稿します。
中身も気分次第で。




