じゅうよん
「なんだこれ」
グミの外側に猪、狼、でっかい鳥、緑の毛のない猿みたいなやつ、が2、3匹ずつ血だらけで倒れている。
その横で唯一立っていた鹿のような生き物グミに体当たりをしていて、ミヤコとナナゴが近付いた時にグミ越しに剣で刺していた。
「何があったの!?」
「あっ、タロー。おはよー」
「タロー様。おはようございます。少し待っていてください。もう終わると思います」
「あっ、はい」
何をするでもなく2人を見ていると鹿のようなのが倒れた。
ナナゴもミヤコも満面の笑みだ。
「グッスリ眠れたようですね」
「お陰様でね」
「タロー。これいいわよ、これ。向こうはこっちに来れないけど、こっちからはやりたい放題よ。」
「俺が寝ても問題ないようで良かったよ」
「ええ。安定していました。タロー様は体調に変化はありませんか?」
「うーん、あったとしても分からないくらいかなぁ」
「じゃあ、これからもずっとよろしくね」
「はいよ。で、何があったの?」
「明け方頃にボア、ウルフ、バード、ゴブリン、ディアの順に次々と現れました。」
「倒したと思ったら、息をつく暇も無く来るからびっくりしたわ。」
「大変だったんだな。ごめん。呑気に寝てて」
「驚いたけど大変ではなかったわよ」
「そうです。最初にボアの突進を受け止めているのを見てから危機感が無くなりました」
「そんなに安定してたんだ」
「そうよ。これ、なんなのよ」
「なんだろうね?ナナゴ、わかる?」
「分かりません。…御神木様の力と瘴気を混ぜたような雰囲気があります」
「何となくでも分かるんだ」
「言葉にするのは難しいのですが、力の流れと種類は分かります」
「わたしとか、個人を判別するのは出来るの?」
「一人一人の判別ですか…余程特徴がある力の動きをしていないと分かりません。そうですね、タロー様とミヤコのなら分かります。」
「へぇ、特徴があるんだ。」
「はい。2人共瘴気と御神木様の気配のある力が流れています」
「…転生者だからかな?」
「どうなんでしょう?最初に見た時はミヤコに特徴はありませんでした」
「何処にでも居るような顔で悪かったわね」
「フヘッ、そんな意味じゃないだろ」
「変な笑い方ね。わかってるわよ。笑いの神が降りてきたのよ」
「御神木様が降りて来ているのですか!?力を感じないのですが何処でしょう!?」
「ナナゴ、御神木様は居ないと思うよ。えーと、例え?比喩?とかそんな言葉だね」
「ごめんなさい。こっちで神様関係はそんな反応になるのね。軽率だったわ」
「そうなのですか。ミヤコはそういった話は王国でしなかったのですか?」
「…ふつーに話せる人、軽口をたたける人、近いとこにいた人の中には居なかったのよ。転生者も含めてね」
「今はどう?」
「思った事をそのまま言えるって良いわね」
「そりゃよかった。でも、他の人の前では言葉を選んで」
「もちろんよ。相手を傷つけたり、挑発したいわけじゃないからね」
「俺も変な事言うかもしれないからその時は注意してくれると有難いよ」
「タロー様。もう魔物は出てこないようです。倒したのを解体しましょう」
「わかった。内側に引き込めるかなぁ?おっ、出来るね」
「こっちのは入らないわよ」
「ミヤコ、そのゴブリンは生きてます」
「えっ…あぁ、手が動いてるわね。トドメッ!入ったわ」
「息があると通さないのですね。」
「わたし達は止められてないわよ」
「御二人は似たような力の気配をしています」
「…ナナゴも通ってるわよ」
「!…んっ、私も、ですかね?自分の気配はよくわかりません」
「もう一匹…よっと。ナナゴはどうやって判別してるの?」
「よいしょっ。そうですね…私は似ていたり、違う所を探して比べています」
「それは分からなくても仕方ないと思うわ」カタカタ
「そう?俺と比べればいいんじゃない?」
「目にも力の気配があるんでしょ?例えば赤いレンズで赤い色を見ても違和感は感じないと思うわよ」ボウッ
「あー、問題集とかであった赤いシートで見えなくなるやつか」
「そう!それよそれ!」ジュゥゥ
「もんだいしゅうとは何のことですか?あと、ミヤコ!魔物を焼いていますが、何をするつもりですか?」
「食べてみるのよ」パクッ ヴオェェ
「…馬鹿ですね」
「…こうなるのかぁ」
「ゲホッ、グフッ。なんで、ペッ。」
「ナナゴ。あの時の肉と何が違いそう?」
「あの時のお肉は…よくわかりません。口に入れられて、美味しくて、お代わりして、夢中になりました」
「何もわからん。犬を倒すとき俺は…こうやって触って、吸い取って、「それです!」ん?」
「タロー様。瘴気が薄くなっています。…たぶん」
「はっきりとは見えないのか。あっ、吸い取れなくなった」
「タロー。それ貰うわよ」シャッシャッ
「…力の循環が止まると、見えにくくなる。と、言ったところでしょうか」
「魔物を素材にして作った物もあるわよね。それも見えにくいだけで、瘴気が見えるの?」ジュゥゥ
「基本的には見えません。そうですね…一度だけ見たことがある魔剣、と呼ばれる物は瘴気が循環していました」
「なるほどね、力が動いているのが大事なのね」モグモグ「うんまぁー」
「ミヤコ!どんどん焼いて皿に盛ってください!私は残りの魔物を運んできます!タロー様!どんどん吸い取ってください!できますね!?やれますよね!?やらなかったらどうなるか分かりますね!?」
「「いえす、まむ!」」
行動は迅速だった。
骨、皮、内臓の一部、爪や目玉など、食べられないか食べるのに躊躇われる部位を残し、次々と3人の胃袋に収まっていった。
「もうこの塊で、食べれそうなとこはおしまいだな」
「私はまだまだお腹に入るのですが…」
「わたしもー。すっごい量を食べたはずなんだけどねぇ」
「…足りないのか?」
「いえ、満腹といった感覚では無いだけで、十分食べました」
「まだまだって…」
「タロー、別腹って知ってる?」
「甘いものじゃ…」
「タロー、別腹って知ってる?」
「胃袋はひとつ…」
「タロー、別腹って知ってる?」
「ミヤコ、べつばらとはどのような意味なのでしょう?」
「好きな食べ物が無限に入るところよ」
「限度はあるだろ」
「魔物の肉をこんな量を食べることができました。と、言うことは、私にもべつばらが有るのですね」
「ナナゴ!違うよ!お腹いっぱいってところから、好きなものなら更に食べちゃえるってやつだよ!」
「…限界を超える事なのですね」
「そうなのよ」
「なんか違うだろ」
「…よくわかりません。」
「…とりあえず、これから街に向かうんだから残ってるのから価値の有る物を選ぼう」
「わかったわ。わたしは分からないから教えてね」
「私も分かりません。エルフの欲しがるものならわかるのですが…」
「俺もさっぱりだなぁ」
「ミヤコ、王国で皮や爪、牙等ここにあるものを見かけたことはありますか?」
「皮はあるわね。他は…見たこと無いと思うわ。」
「では、皮を持っていきましょう。近くに水場があれば良かったのですが…」
「水でどうするの?」
「洗います」
「へぇー、ナナゴは物知りだね」
「いえ。皮を加工したことも、どうすればいいかも分かりません。」
「でも、洗うって…」
「小さな虫がついているので、持ち運ぶとしてもそれを落としたいのです。」
「んー、でも価値が落ちない?」
「価値が下がったとしても、痒くなるのは嫌です」
「わたしも痒いのはやー」
「それじゃ、俺がグミで包むのは?」
「「それだ!」」
「じゃあ纏めて、包んで、骨とかは…いらないのね。吸い取って消して、片付けたら街に出発しようか」
「わかりました」
「すぐ準備するわ」
朝と呼ぶには大分日が昇ってしまっていた。
気分で書きます。
気分で投稿します。
中身も気分次第で。




