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ひまつぶし  作者: ずみ
12/24

じゅうに

柵も門もなく、止められること無く進んでいく。

根が潜り、土になった所の道沿いから木の家がポツポツと増えてきている。


「ナナゴの家はどのへんなの?」

「この方向の壁の近くです。」


ナナゴが指をさしたほうを見ると、だいぶ遠い所に壁があった。


「もしかして壁でぐるりと囲んでる?」

「そうです。御神木様の根が岩を抱えている所から始まり、反対側で崖になって外から登れなくなっているところまで円を描くように建っています」

「でっかいなぁー。」

「そうよねぇ。この世界には建てるための機械もないのによく造れたわよねぇ」

「エルフの住む地にある壁は昔に転生者が奇跡を使って作ったそうです。」

「そうなの!?強力すぎるわね」

「奇跡とはそういうものです。その転生者は生涯を掛けて5つの壁を作り上げたそうです。手作業で。」

「!奇跡じゃなかった!?」

「体が強化されていたと聞いています。」

「あー、俺と一緒で戦うのが嫌だったのか」

「…タロー様はどんどんいきますよね」

「そうね。タローはずんずんいくわね」

「あの…途中から考えるのが面倒になりまして」

「タロー様は最初の方からいきますよね」

「タローはあまり待つことなくいくわね」

「…そうかなぁ。とりあえず行動してから考えようかと思いまして」

「脳筋?」

「のうきん?」

「ナナゴ、転生者かつ頭が良いってことだよ」

「のうきんとは、そのような意味なのですね」

「ちが「そうだよ!」ちょっと、大きな声出さないでよ。目立たないようにするのよね」

「ごめんごめん」

「軽いわ…すぐ騒ぎそうね」

「あの角を曲がると賑やかな所に続く道になるので、静かに堂々としていてください。タロー様は迷子にならないように手をつなぎましょう」

「わたしが手を掴んでおくから大丈夫よ。安心して先導して」

「…ミヤコはタロー様が変な事をしないか後ろから見ていてください。」

「はぁ、道を教えてくれれば俺が先を歩くよ。」

「…ナナゴは右手、わたしは左手でいい?」

「…それで手を打ちましょう」

「ねーねー、俺はだいじょぶだよー」

「…タローの手を縛ったほうがよくない?」

「それは…いいですね」

「俺を何だと思ってるの?」

「大きな幼児よ」

「落ちてくる葉っぱのような人です」

「ナナゴの例えがわからない」

「わたしはなんとなく分かるわ」


賑やかに話しながら人通りの多い道に出る。

こちらに気付いたエルフが凝視するが誰も声を掛けてこない。

何事もないままナナゴの家に着いた。


「ここです。」

「ずっと同じ見た目の家しか無かったわね」

「ええ。違うのは中の家具くらいです。中へどうぞ」

「おじゃましまーす」

「入るわよ。タロー、これから先のことなんだけど転生者であることを隠すの?」

「知られるとまずいことある?」

「エルフからはマルヨン達がどのように報告するかで対応が変わってくると思います。ですから、転生者というだけでは問題はない…といったところでしょうか」

「人、と言うよりは王国は罪人として手配するでしょうね。分かりやすい特徴が転生者ってことだから、隠す意味はあるわ。」

「そっか…じゃあ、秘密にするよ」

「分かったわ。でもね、使わなくちゃならない時に戸惑ったら守れたはずのものも失っちゃうの。」

「そうです。魔物は待ってくれませんから。」

「…ナナゴはほんとに魔物が嫌いなんだね」

「当然です。見掛けたら息の根を止めるか、見つかる前に逃げないと仲間に危険が及ぶかも知れませんから」

「見つかったらうまくやらないと、ずっと追いかけてくるわよ。」

「それは嫌だなぁ」

「それでは私は家から持ち出したいものを取ってきます」

「はいよ、何持ってくの?」

「…下着とかですかね。見に来ますか?」

「ミヤコとおしゃべり楽しんどきます」

「そうしときなさいよ。変態」

「んんん。変態の称号を否定できない」

「そこまで時間はかからないので、少々お待ち下さい」

「あいよ」

「ナナゴが行ったし、時間があるから転生者バレの注意をいくつか言うわよ。勿論わたしが気付かなかったり知らないことはまだまだあるだろうけどね」

「俺は何も知らないんだから、わかる分を教えてもらえるだけでも有難いよ」

「うん。いま気になっているのは、家に入る時にお邪魔しますって言ってたでしょ。こっちでは邪魔するなら来るなってなっちゃうわ。」

「なるほどね」

「それ以外は特にないわね。前にいた転生者達がいろいろな言葉とか習慣とかを広めたようだから、村単位とかで同じような慣習がある。と、言ったところね」

「それでもお邪魔しますは駄目なんだ?」

「そうなのよね。わたしは何度も怒られたわ」

「…ナナゴの反応も無かったし、問題なく使っていいと思うよ」

「そうかも。わたしは何で怒られたのよ」

「…ミヤコ、一緒に楽しいこと探していこうな」

「?、急にどうしたの?…楽しくなくてもいいから自分を隠して演じるのはもう嫌よ」

「うん。それでいいと思うよ」

「お待たせしました。家での準備は終わりました。あと不足しているのは2人の下着と日持ちする食料です。それらを買ったら誰かに止められたりする前に出てしまいましょう。スリーが見えなくなるまで歩いた所で日が暮れると思うので、その辺りで道から少し離れて夜を過ごしましょう」

「わたし達を引き止める人がいたらどうする?」

「その時はそのまま旅にでちゃう?近くの村とかまでどれくらいで着くの?」

「スリーの最寄りの村までは1日歩けば着けます。しかし直ぐに捜しに来るでしょうから、スリーの壁の外をぐるりと回って門と反対側へと向かいます。そのまま道の無い森の中を真っ直ぐ2日間歩くと人の街に着きます。その街は道なりだととても遠回りになると聞いたことがあるので、そこで物資を整えることもできます。」

「最悪3日間食べ物なしで、下着を変えられないくらい?」

「わたしは食べ物無しは避けたいわね」

「ミヤコは服じゃなく食べ物なんだ」

「タロー様。空腹は死にます」

「甘く考えてました。スミマセン」

「分かっていただければ嬉しいです。まあ、食料の方は狩りをすればいいので、飢えて死んでしまうことはないかと思います」

「わかったわ。」

「それじゃ、行こうか。」


服屋に行き下着を何着か、市場を回り塩と硬いパン等の保存の効く食べ物をそれぞれの店で買う。

その足で門を出てスリーの町が見えない所まで行き、道を外れて岩の陰で火を囲んだ。


「えっ?何事もなくここまでこれるの?」

気分で書きます。

気分で投稿します。


中身も気分次第で。



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