じゅういち
くつをてにいれた
…すっっっごい楽!なんて素晴らしい!…
「靴って凄いよ。今までよりも進みがいい気がする」
「気付いてなかったの?休憩前より移動速度が上がってるわよ」
「スミマセン。私もスリーを出る事ににワクワクしているようです」
「フフフ、そんなに期待しても俺達の旅は平凡なものになると思うよ」
「平凡?商人やその護衛、兵士でも無ければ旅になんてなかなか出ないわよ」
「そうなのですか?」
「そりゃそうよ。魔物が多いところでは何に襲われる?」
「魔物だろ」
「魔物が少ないところでは何に襲われる?」
「…盗賊か」
「そうよ。討伐任務にも何回か行ったわ。こちらの人数次第だったけど、生きて捕らえたのは魔物との前線に送られてたわ」
「生きて帰ったのは…?」
「私の知る限りではいないわ。盾を持たせて移動する壁として使ってたもの」
「…胸糞悪いな。」
「前世と同じ感覚だと生き残れないわよ。それに、罪人はほぼ最前線に行かせられるわ。更生させるだけの手間も時間もとれないもの。そこにリソースを割くより、前線で真面目に戦っている兵士の生存率を上げるほうがいいの。それだけ魔物に押されてるのよ。あれ?さっきも同じような事言わなかったかしら?」
「言ってたかも?でもさ、魔物と戦い慣れてないやつがいても邪魔じゃない?」
「戦い慣れてないから、大声で魔物の注目を集めるのよ」
「自分からしないでしょ…あぁ、恐怖で悲鳴をあげるってことね」
「そうよ。…わたしも壁の人を守ろうとしたことがあるけど、そのせいで戦線が崩れて村1つが無くなったわ。前日に泊めてもらった村がね」
「…村の生き残りは?」
「わからないわ。壁の人と一緒に残存兵と合流してそのまま撤退戦に突入したもの」
「ミヤコは生き残ってるけど、他の人はどうなったの?」
「壁の人達で生き残ったのはいなかったわね。兵士達は300人いたのが50も残ってなかったわ」
「そんなに…」
「魔物から逃げている時なんてそんなものです。だからこそ壁にする人が必要なのです。」
「エルフでもそうするの?わたしが知ってるのは王国と獣人達だけよ」
「はい。しかし、エルフでの罪人はほんの少しです。人が不法入国してくるので、そういったのが壁として使われます」
「…素材みたいに言うんだな。」
低く平たんな声が出た自覚がある。
「そうです。そいつらが何をしたか分かりますか?全員ではありません。が、しかしそいつらは、わざわざ他の町、他の国、ほかの種族、を殺したり、攫ったりしたのです。略奪ですね。町中に盗賊がいるのと何が違いますか?のこされ「ナナゴ!ちょーっとだけ、わたしにタローと話しをする時間ちょうだい」…はい。」
ナナゴの抑揚の無い声をミヤコが遮った。
「タロー。被害にあった当人や家族、関係者は失うだけなのよ。」
「あっ…」
「重い罰で見せしめにして、次の犯行の抑止力にはなるでしょう。でも、すでにやられた側はほぼ泣き寝入りが決まるのよ」
「あのっ、救済は…」
「ほぼ無いわ。ただでは誰も動けないわよ。つまり、あの日本のように制度に守られることはないのよ。」
「…もし、被害にあって働けない状態になったらどうなるの?」
「たぶんその状態によるわね。わたしは前線の兵士に聞いたの、住んでいた村で強盗にあって両方の肘から先を切り飛ばされた人にね。」
「まだ、動ける方の人だね。」
「そうよ。でも、村には居ることができなかったみたい。元々畑を耕して奥さんと2人で生活してたらしいんだけど、家で1人でいた時に同じ村の食い詰めた人が襲ってきたみたいよ」
「…兵士になったってことは、畑を捨てたの?」
「最初の1年くらいは頑張ろうとしたけど、満足に耕せずに諦めたらしいわ。奥さんと離縁して、近所の人に見守りを頼んで兵士になったそうよ。」
「襲ってきた人は?」
「彼女は前線に壁として送られたそうよ」
「女の人が強盗だったの?」
「そうみたいね。聞いた時は彼女は悲しい境遇って言ってたけど、何と言うか突っ込んで聞き辛い内容だったから語るに任せて相槌だけ打ってたから分からない所も多々あるわよ」
「ええ。ですが無くなはい話です。罪の犠牲になった者が得る物は無いのです。強いて言えば悲しみ…でしょうか。タロー様。被害者に寄り添えとは言えません。ですが、加害者に寄り添うのはやめていただきたいです」
「そっか。そうだよね…ごめん」
…日本とは違うんだものなぁ。保護もしてもらえなさそうだし。自分で精一杯になってたら、隣の家の人が大変な事になってたとかありそう…
「あとね、タロー。ここは日本と比べると情報伝達がとっても遅いの。これを頭の片隅に置いておいて。自分のせいで間に合わないわけじゃないの。誰かのせいで間に合わなかった訳じゃないの。そう言う世界なのよ」
「よく分かんないけど、分かった。なるようにしかならないってことね」
「そうね。そうだったわね。なるようにしかならないわね」
「ナナゴ、ほんとにごめん。」
「いいのです。タロー様に理解していただければそれで十分です」
気温が低くなったのか、肌寒さを感じながら歩いていく。
「ナナゴ、俺はスリーで何かしなくちゃいけないことはあるの?」
「そうですね…御神木様からは迎えに行くようにとしか伝えられていませんし、出来るだけ目立たないようにして欲しいくらいです」
「わたし達は目立つと思うなぁ」
「そうかな?俺は普通だよ?」
「スリーにはエルフしか住んでいないので、人が居るというだけで珍しいのです」
「…ごめん。俺にはエルフと人の違いが分からない。」
「あぁ、そこね。耳と顔立ちよ。」
「みみ…あー、ちょっと長いのか。顔立ち、整ってるし綺麗としか」
「私、きれい?」
「顔を赤らめるのはともかく、ホラーっぽい返しなのは何故?口元隠せそうなのは俺が貰っちゃってるから雰囲気はでてないけど」
「わたしは?わたしは?」
「ミヤコは元気っ子系?よく分かんないけど」
「ふうん。そう見えるんだ」
「私きれい」
「ふむ、俺はイケメンね」
「…そうね」
「私きれい」
「ナナゴが壊れた?」
「あぁ、この世界ではたぶん顔の美醜はあまり気にしないわよ」
「そうなのか」
「私きれい」
「そうなのよ。顔のよさだけじゃお腹は膨れないし、身を守れないもの。」
「生きる事が最優先なのか。褒められるのに慣れてないってことか」
「まあ、そういうことね。たぶん」
「ほほう。スリーに行けばナナゴに似たエルフがいっぱいいるってことか」
「タロー様。スリーに立ち寄らずに旅に出ましょう」
「足りない物を買うんじゃなかったの?」
「ナナゴ…大丈夫よ。タローはわたし達と違って変なやつよ。」
「そうでした。スリーに行きましょう。」
「2人共なんなの?俺、なんかした?」
「…いろいろしそうね」
「…何もしない理由が見当たりませんね」
「…」
「もうすぐ見えてくるはずです。出来るだけ離れないでください」
「わたし達は顔を隠したほうがいい?」
「…」
「マルヨン達によるとタロー様は公になっていません。ミヤコは…どうでしょう?ただ、コソコソとすれば怪しく見えます。堂々としていましょう」
「そうよね。」
「…」
「タロー、大丈夫。あなたは変なやつよ」
「…追い打ちやめて。励まして。」
「えー、自覚は?」
「ちょーっとだけ、ほんの少しだけある」
「自覚があったのですね」
「ふふっ」
「笑うだけ?励ましは?ナナゴも励まして」
「ハイハイ」
「そうですね。あっ、そこを曲がるとスリーが見えます」
気分で書きます。
気分で投稿します。
中身も気分次第で。




