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『しーちゃんと記憶の図書館』第174話

偶然の読者



夕方、図書館の奥に入り込んできた少年がいた。

まだ中学生くらいで、手には学校の鞄。



「すみません、本を探してて…」

そう言いながら棚を見回す少年の目が、

ふと、奥の棚の隙間に差し込まれた一枚のカードに留まった。



何気なく手に取ると、そこには短い物語が書かれていた。


光は、静かに受け継がれていく。

それを見守る風も、月も、夜も。



読み終えた瞬間、少年は立ち尽くした。

胸の奥で、何かがほどけるような感覚があった。



「……これ、誰が書いたんですか?」



声に気づいて近づいてきたしーちゃんが、

やさしく微笑んで答えた。


「この図書館に来た人たちが、残してくれた言葉よ。

 それも、そのひとつ」



少年はカードを見つめたまま、小さくうなずいた。

「……僕、これの続きを書いてみたいです」



しーちゃんは目を見開き、

そしてゆっくりとうなずいた。


「もちろん。ここは、そういう場所だから」


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