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『しーちゃんと記憶の図書館』第172話

少女のひみつ



星を渡し終えた少女は、

しーちゃんの隣で静かに夜空を見上げていた。



「……ありがとう、付き合ってくれて」

小さな声が夜に溶ける。



しーちゃんは首をかしげた。

「どうして、あの子に星をあげたの?」



少女は少し間をおいてから、

ぽつりと打ち明けた。



「……昔の私みたいだったから」



その言葉に、しーちゃんは目を瞬かせた。



少女は続ける。

「私、小さい頃ずっと窓から外を見てたの。

 笑うこともなくて……

 でもある日、誰かが窓辺に星みたいな光を置いてくれたの」



それは、誰からだったのか、今もわからない。

けれど、その夜から少女は少しずつ笑えるようになった。



「だから今度は、私の番なんだ」



しーちゃんは、その言葉を胸の奥で何度も繰り返した。

“自分がもらった光を、誰かに渡す番”——

それは、記憶の図書館にも似ている気がした。



二人は夜風の中を歩きながら、

少しだけ心があたたかくなる沈黙を分け合った。

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