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『しーちゃんと記憶の図書館』第171話

星を待つ窓辺



夜空を駆けるふたりがたどり着いたのは、

小さな町のはずれにある、古い家だった。



窓辺に、ひとりの男の子が座っている。

まだ幼く、毛布にくるまれたその姿は、

どこか心細そうだった。



しーちゃんたちに気づくことなく、

彼はただ夜空をじっと見つめていた。



「ずっと待ってるの」

少女は、そっと抱えていた星を胸に寄せた。



「この子、笑わなくなったんだって。

 だから星の光をあげに来たの」



窓が静かに開く。

冷たい夜風と一緒に、少女の手から星が差し出された。



その光は、ゆっくりと男の子の手のひらに落ち、

ふわりと溶けるように消えていった。



次の瞬間、男の子の頬がかすかに緩み、

長い間眠っていた笑顔が、そっと戻ってきた。



しーちゃんは、その表情を見て思った。

「光って、こんなふうに心に届くんだ……」



星は、もう夜空にはなかった。

でも、窓辺にはあたたかな灯りが生まれていた。

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