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『しーちゃんと記憶の図書館』第170話

夜空を駆ける少女



光の粒に包まれた瞬間、

しーちゃんの足元がふわりと浮いた。



次の瞬間、彼女は漆黒の夜空に立っていた。

足元には雲、頭上には無数の星。



その中を、ひとりの少女が駆けている。

銀色の髪が星明かりを受けてきらめき、

裸足の足は雲を蹴っては宙を跳ねた。



「ねえ、あなたも走る?」

少女は笑顔でしーちゃんを振り返る。



答える前に、しーちゃんの身体は自然と動いていた。

星と星のあいだを、風と一緒に跳び越えていく。



「どうして走っているの?」

しーちゃんが尋ねると、少女は真剣な顔になった。



「星をひとつ、届けに行くの。

 地上で、ずっと泣いている子がいるから」



しーちゃんは、その言葉に胸が熱くなる。

夜空を駆ける理由が、こんなにもやさしいなんて──。



ふたりは風を切り、星を抱えて走り続けた。

遠くに、やわらかい光が待っている。


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