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『しーちゃんと記憶の図書館』第169話

物語の源



銀色の鍵は、しーちゃんの手の中でひんやりと冷たく光っていた。

月明かりの下、その輝きはまるで水面のように揺れている。



女性に導かれ、裏庭の奥へ進む。

そこには大きな蔦に覆われた石の壁があり、

中心には、見たことのない古びた扉があった。



鍵穴に銀色の鍵を差し込むと、

低い音とともに扉がゆっくり開いた。



中は、静かに波打つ光の空間だった。

床も壁も天井もなく、

ただ、きらめく文字や絵が水のように流れている。



「ここが、“物語の源”」

女性の声は、少し震えていた。



「ここにあるのは、まだ誰にも語られていない記憶。

 読まれることで初めて、形になるの」



しーちゃんはそっと手を伸ばし、

流れる光のひとつに触れた。


瞬間、まぶしい映像が広がる。

それは──小さな少女が夜空を駆ける物語のはじまりだった。



「あなたが選んだ物語は、もう動き出したわ」

女性はそう告げると、扉の外へ消えていった。



しーちゃんは、手の中に残った温もりを感じながら思った。

この場所こそが、未来の図書館の心臓なんだ──


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