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『しーちゃんと記憶の図書館』第159話

ガラス越しの出会い



翌週の午後、

図書館の扉がゆっくりと開いた。



入ってきたのは、見知らぬ女性。

肩までの髪をふわりとまとめ、手には一冊の本を抱えていた。



それは、星の表紙の「記憶の本」。

まだ店頭に並べたばかりのはずだった。



「……この本、あの小さな本屋さんで見かけて。

 読んでいたら、どうしても作者に会いたくなってしまって」



しーちゃんは笑顔で迎え入れた。

「この物語を書いたのは、葵くんのおばあさんです。

 でも、今は図書館でゆっくり過ごされていますよ」



女性は、本をそっと撫でながら言った。

「このお話……私の小さいころの記憶と重なって。

 まるで、忘れていた自分を呼び戻されたみたいでした」



その言葉に、しーちゃんは心があたたかくなる。

本はただ紙の束ではない。

人と人の記憶をつなぐ、橋のようなものなのだ。



女性は帰り際、深く頭を下げた。

「この出会いを、大切にします」



その背中が扉の向こうに消えるまで、

しーちゃんは静かに見送った。



窓の外では、春の風がまた、星の物語を運んでいった。

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