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『しーちゃんと記憶の図書館』第158話

小さな本屋の窓辺に



春風がやわらかく吹く日。

図書館の子どもたちが描いた「星の本」が、ついに完成した。



表紙には、青い夜空と、真ん中に輝く一つの星。

ページをめくると、葵くんの祖母が書いた物語と、

子どもたちの描いた絵が、ひとつの世界を作っている。



「これ……本当に売るんですか?」

葵くんは少し照れたように笑った。


「売るというより、“届ける”ですね」

しーちゃんはそう言って、小さな紙袋に本を入れた。



やって来たのは、街角の古い本屋さん。

木の扉を開けると、紙とインクの香りが広がる。



店主は、本を手に取ってじっと眺めた。

「いい本だね。窓辺の棚に置かせてもらうよ」



夕暮れ時、窓から差し込む光が、本の表紙を優しく照らす。

通りを歩く人がふと立ち止まり、ガラス越しにその星を見つめた。



本はまだ、誰の手にも渡っていない。

けれど、星はすでに、誰かの心に灯っていた。


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