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『しーちゃんと記憶の図書館』第157話

星にこめた約束



夕方の図書館は、橙色の光で満ちていた。

しーちゃんは、閉館作業をしながら葵くんのほうを見た。



机に向かう彼の手元には、古びた手紙があった。

封はすでに開かれ、紙の端は少し色あせている。



「それは……?」としーちゃんが尋ねると、

葵くんはゆっくりと話し始めた。



「僕の祖母が、昔くれた手紙なんだ。

 “あなたが見つけた星を、いつか誰かに渡しなさい”って」



その頃の葵くんは、小学生。

夜空を見上げては、流れ星に願いごとをしていた。

祖母はそんな彼に、星を主人公にした短い物語をくれた。



「でも……僕は続きを書けなかった。

 祖母が亡くなってしまって、

 書くと本当に終わってしまう気がして」



しーちゃんは、黙ってその言葉を聞いていた。



「この図書館に来て、子どもたちが続きを描きたいって言ってくれたとき、

 ああ、これでやっと祖母に約束を果たせるって思ったんだ」



しーちゃんは微笑んだ。

「その星は、きっとお祖母さまの心そのものですね」



橙色の光の中で、

机の上の手紙がそっと揺れた。


それは、長い時間を越えて、ようやく届いた“星の約束”だった。


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