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『しーちゃんと記憶の図書館』第155話

白いページのはじまり



ペン先が走るたび、

図書館の空気が少しだけ温かくなっていくようだった。



葵くんの文字は、少し丸みを帯びていて、

読み手をやさしく迎える形をしている。



「星は、遠くから見ているだけじゃなく、

 ときどき、こちらに降りてくることがあるんだ。」



その一文を見て、しーちゃんは胸の奥がじんとした。

どこかで聞いたような響き。

それは、50年前の物語の続きを待っていた“声”だった。



「この物語、ちゃんと届きますね」

しーちゃんの言葉に、葵くんは少し照れくさそうに笑う。



書き進めるたびに、

古い本と新しいペンのインクの匂いが混ざり合う。


その香りは、まるで過去と未来が手を取り合っているようだった。


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