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『しーちゃんと記憶の図書館』第154話

物語を託す相手



しーちゃんは白い布に包まれたその一冊を胸に抱き、

静かに図書館の扉を閉めた。



夕方、窓際の机で本を読んでいたのは、

いつもノートに何かを書き込んでいる高校生の葵くんだった。



「葵くん、この本を見てくれる?」



彼は首をかしげながら、布をほどいた。

そして冒頭の文章を読むと、

目が驚きで少し見開かれた。


「この物語を完成させるのは、

 まだ見ぬ誰かだ。」



「……これ、僕が書いてもいいんですか?」


しーちゃんは微笑んでうなずく。


「物語は、誰かに続きを望むとき、

 きっとその人のもとに現れるのよ」



葵くんは静かに本を開き、

白いページにペン先を置いた。


インクが紙に触れる音が、

部屋いっぱいに広がっていく。

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