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『しーちゃんと記憶の図書館』第153話

第零書庫の最初の一冊



足を踏み入れた瞬間、

ひんやりとした空気が頬をなでた。



室内は薄暗く、

天井近くの小窓から細い光が差し込んでいる。



壁一面の棚には、

革の背表紙や布張りのノートがびっしりと並び、

背表紙の文字はほとんど色あせていた。



その中で、ひときわ目を引く一冊があった。

白い布で覆われ、

中央に銀糸で「未完」とだけ刺繍されている。



そっと手に取ると、

ページの半分以上が真っ白だった。


しかし冒頭には、

かすれた字でこう記されていた。


「この物語を完成させるのは、

 まだ見ぬ誰かだ。」



しーちゃんは、その言葉を見た瞬間、

胸の奥で小さな灯がともった。


「……ここから続ければいいんだ」

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