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『しーちゃんと記憶の図書館』第109話
二人の空
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特別展の日、
図書館のギャラリーには朝から光が差し込んでいた。
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中央の壁には、
二人の描いた「丘と空」の絵が並んでいる。
片方は50年前の色、もう片方は今の色。
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開館のベルが鳴ると、
白い帽子をかぶった男性がゆっくりと入ってきた。
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老婦人は、一瞬息をのんだ。
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「……やっと会えたね」
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男性の声は、
若い頃と同じ温度を持っていた。
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二人は絵の前に並び、
しばらく無言で空を見つめた。
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「こんなに時間が経っても、
あの日の青は変わらないんだな」
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「ええ。私たちが描いた空は、
ずっとここにありました」
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しーちゃんは、
そっと二人の背中を見守りながら思った。
──絵も、人も、
会うべきときにちゃんと出会う。
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その日、ギャラリーには
新しい色がひとつ増えた。
それは、再会の喜びの色だった。




