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『しーちゃんと記憶の図書館』第149話

鏡越しの声



風が止まり、

水面の映像だけがゆらぎを残していた。



赤いマフラーの少女は、

雪の中で静かに口を開いた。



「……探してたよ」



声は確かに聞こえた。

けれど、耳ではなく胸の奥に直接届くような響きだった。



少年は足をすくわれたように立ちすくんだ。

「ぼ、僕を……?」



少女はうなずくと、

手のひらに何かを乗せて見せた。



それは、小さな銀色の鍵。

陽に反射してきらりと光る。



「この鍵は、君が持っていたはず」

少女の唇がそう動いた瞬間、

水面に大きな波紋が走った。



しーちゃんは思わず声を上げた。

「待って! その鍵はどこに……」



けれど映像は崩れ、

ただの冬空が映るだけの鏡に戻っていた。

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