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『しーちゃんと記憶の図書館』第142話

消えた村の入口



朝のバスは、山道をゆっくりと登っていった。

窓の外には、濃い緑と霧が混ざり合って流れていく。



運転手は二人をちらりと見て、

「この先は人が住んでないよ」と静かに告げた。



終点で降りると、

舗装も途切れた細い道が川沿いに続いていた。



道の脇には、崩れた石垣と、

屋根だけが残った家の跡。



「…本当に、誰もいないのかな」

少年の声は、霧の中で吸い込まれていく。



そのとき、しーちゃんは川辺に

色あせた木製の看板を見つけた。


【ようこそ 水守村へ】



その文字はかすれていたけれど、

まだはっきりと読めた。

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