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『しーちゃんと記憶の図書館』第143話

川辺の老人



川のせせらぎの音に混じって、

ゆっくりとした足音が近づいてきた。



霧の向こうから、背の曲がった老人が現れた。

手には竹の杖、背中には小さな籠。



「こんな所に、めずらしいな…」

老人は二人をじっと見て言った。



しーちゃんは軽く会釈して、

「この村のことを知りたくて来ました」と答える。



老人は目を細め、

「知る者はもう、わししか残っとらん」と笑った。



そして、二人を川沿いの小道へと導き始めた。

足元には小さな白い花が並び、

川の水面には鳥の影がゆらゆらと揺れていた。



「この川は昔、“歌う川”と呼ばれていたんじゃ。

春になると、流れにのって音が変わるんだ」

老人の声は、川の音と溶け合うように静かだった。



こうして、川辺の物語がゆっくりと始まった。



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