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『しーちゃんと記憶の図書館』第138話

ドームの中の記憶



しーちゃんは苔むした扉に手をかけた。

重たくて、最初はびくともしない。



少年が横から力を貸すと、

ギィ…と低い音を立てて、ゆっくり開いた。



中は薄暗く、

床には古いカーペットが敷かれ、

壁一面が本棚になっていた。



だが、普通の本棚とは違う。

並んでいるのは、本ではなく──

ガラスの瓶。



瓶の中には、小さな光が浮かんでいた。

青、金、淡い紫……

ひとつひとつ、色も輝き方も違う。



少年が瓶をそっと手に取ると、

光の中に小さな映像が浮かび上がった。


それは、誰かの記憶だった。

笑顔、涙、約束、別れ……

一瞬で消える小さな物語たち。



「これは……」

しーちゃんは、息をのんだ。



ここは、忘れられた記憶をそっと保管する、

光の図書室だった。


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