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『しーちゃんと記憶の図書館』第134話

風の止まり木



橋を渡ってしばらく歩くと、

森の奥にぽつんと立つ小さな廃屋が見えてきた。



屋根は少し傾き、壁にはツタが絡まっている。

でも、窓枠だけは不思議ときれいなままだった。



「人が住んでいたのかな」

少年がつぶやく。


「ええ、でも……もう長いこと風と一緒に暮らしていたみたいね」

しーちゃんはそっとドアに手をかけた。



ギィ……という音とともに、ドアが開く。


中には、机と椅子。

そして机の上には、古い封筒が一通置かれていた。



封筒の表には、にじんだ文字でこう書かれていた。


「この家を見つけた人へ」



二人は顔を見合わせた。

「開けても……いいですか?」

少年が少し声を震わせながら聞いた。


しーちゃんはゆっくりとうなずく。



封筒の中には、一枚の便せんと、もう一枚の古い地図。

便せんには、こう書かれていた。


「風は、あなたを導く。

 地図は二枚そろったとき、本当の道を開く」



しーちゃんは深く息を吸い込み、

その紙の香りを感じながら、そっと言った。


「どうやら……これはまだ序章みたいね」


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