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『しーちゃんと記憶の図書館』第133話

地図のはじまり



土曜の朝、図書館の前に少年が立っていた。

手には昨日の『風の道しるべ』のコピーと、小さなコンパス。



「準備できましたか?」

少年は少し緊張した顔で聞いた。


「ええ。鍵も、お弁当も持ってきました」

しーちゃんは肩のトートを軽く叩いた。



地図に描かれた道は、今では舗装もされず、

雑草に覆われた細い小径だった。


鳥の声、風の音。

街の喧騒はすぐに遠のいていった。



途中、地図にはない分かれ道が現れる。

少年は地面に膝をつき、落ち葉を払いながら、

古い石の道しるべを見つけた。


「これ……地図の記号と同じだ」



さらに進むと、古びた木の橋が現れた。

板は少し腐りかけていたが、下を流れる水は透き通っている。



橋を渡った先、茂みの奥に小さな石碑が立っていた。

苔むした表面には、かすれた文字。


「ここから風をたどれ」



しーちゃんはその言葉を読み、

胸の奥が少し震えるのを感じた。


「この先に……まだ続きがあるみたいね」



少年は笑顔でうなずいた。

「じゃあ、行きましょう。物語の続きを見つけに」


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