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『しーちゃんと記憶の図書館』第131話

鍵を握る日記



物語交換会も、そろそろ終わりに近づいていた。

片付けをしていたしーちゃんの前に、

ひとりの若い女性が近づいてきた。



「これ……預かっていただけますか?」


彼女が差し出したのは、

革の表紙に包まれた古い日記帳だった。



「祖母がずっと持っていたものなんです。

 けれど、誰にも読ませたことがなくて。

 亡くなる前、

 “いつか、この日記が誰かを助ける時が来る”とだけ言っていました」



表紙には、かすれた金色の文字で

『風の道しるべ』 と書かれていた。



パラパラと開くと、

日付と短い詩のような文章が綴られている。

そして、ところどころに奇妙な地図や記号が描かれていた。



「これは……物語というより、何かの記録?」



しーちゃんは、胸の奥に小さなざわめきを感じた。

この日記は、ただの思い出帳ではない。

何か、大切な場所へ導く鍵のような気がした。



女性は微笑んで言った。

「もし続きを解き明かしてくれる人が現れたら、託してください」



しーちゃんは静かにうなずき、日記を抱きしめた。


“この日記は、まだ旅の始まりに立っている”



そして、その時まだ誰も知らなかった。

この『風の道しるべ』が、

後に図書館の歴史を揺るがす物語になることを──。


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