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『しーちゃんと記憶の図書館』第130話

父からの最後の手紙



物語交換会の当日。

図書館の中央の机には、持ち寄られた物語が並んでいた。



その中に、

小さな封筒を両手で抱えた少年が立っていた。

まだ中学生くらいだろうか。



しーちゃんが声をかけると、

少年は少しだけ視線を落として言った。


「これ……父さんからの手紙です。

 病気で亡くなる前に書いてくれたものなんです」



封筒は、何度も開け閉めされた形跡があった。

角が柔らかくなり、文字は少し色あせている。



「ずっと自分だけで読んでました。

 でも……

 誰かに読んでもらったら、父さんも喜ぶかなって思って」



しーちゃんは、両手でその封筒を受け取った。


「きっと、この手紙はまだ旅の途中なんですね」



その日の朗読の時間。

少年の許可を得て、手紙は皆の前で読まれた。


そこには、

「生きることの楽しみを見つけてほしい」

「人を大事にする人でいてほしい」

という温かな言葉が並んでいた。



読み終わると、

会場は静かに涙で濡れていた。



少年は、少しだけ笑った。

「やっぱり、父さん喜んでる気がします」



しーちゃんは心の中でつぶやいた。


“記憶は、誰かと分け合ったとき、いちばん強く生きる”


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