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『しーちゃんと記憶の図書館』第129話

物語交換会



朗読会の翌朝、

図書館の扉を開けると、

しーちゃんは思わず足を止めた。



入口の前に、

紙袋や封筒が山のように置かれていた。



中には、

古びた日記帳、

色あせた手紙、

未完成の詩集、

そして子どもたちの絵本。



付箋や小さな紙切れには、

それぞれの持ち主からの短いメッセージが添えられていた。



「誰かに読んでほしい」

「続きはあなたに託します」

「もう一度、この言葉に息を吹き込みたい」



しーちゃんは胸が熱くなった。



その日の午後、

図書館の掲示板に新しい紙が貼られた。


『物語交換会 今週末開催』



持ち寄った物語を、

他の誰かが読み、感想を返す。

または続きを書く。



「物語は、渡されるときに新しい形になる」

しーちゃんはそう信じて、準備を始めた。



図書館はもう、

ただの本の場所ではなくなっていた。

町の“心”をつなぐ広場になり始めていた。


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