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第九話 同じくゼロから

(バレた…)


痛みもあって、状況の整理があまり追いつかない。


「俺がイサムの能力に勘付いた理由は3つだ!!1つは最初、お前とルシファと対峙した時、家が焼け落ちて、上からルシファを攻撃しようとした時、お前はルシファを抱えながら俺の攻撃を避けた。お前単体の速度ならまだ納得がいくがルシファを抱えた状態でも俺には見えやしなかった。」


シャンデルが次々と弾丸のように勇に喋りかけた。


「2つ目!お前がいつもすげぇスピードで移動してる時、音と風を感じねぇ。これは俺の勘がそう言ってる。速さがあればもちろんその衝撃波や足の踏ん張る音が聞こえてくるはずだ、でもお前にはそれがない。」


「最後、3つ目だ、さっきの戦闘で俺はお前を空中に飛ばした。なのにお前は俺の攻撃を避けやがった。

空中で?どこで踏ん張って移動したんだ?それはお前が時を止めて、先に落ちるはずのとこに着地したってことじゃないのか!」


シャンデルは俺に突きつけるように言い放った。


「隠し事なんていらねぇ!お前が本当にその能力を持ってるのか、詳しい話も後で聞きたいが、とりあえず今は、イサムが時を止めるという能力を持っているのか、それだけでいい、俺に教えてくれ…!」


この能力は果たしてみんなに打ち明けていいものなのだろうか…さっき、俺の攻撃を読んで避けたみたいに俺の能力を知られてしまうと対策の取りようだってたくさんあると思う。


シャンデルがまだ俺たちに馴染めてないのだって知ってるし、心の底から信用なんてできない。


でも、お前と俺には一個共通点がある。


それは…同じくゼロからここに来てるということ、何もかも1からやり直して崩れたどん底のスタート地点から一緒に走ってることだ。


もしもこいつが俺に対して寄り添ってくれるなら、俺もこいつを信じたい!人脈も信用も同じくゼロ同士なら、せめて同士だけでも信用してあげたい!


「俺は…時を止められる。他にもお前に話してないこと、結構あるよ。」


そう真剣な表情でシャンデルを見つめた。


そういうと、シャンデルはさっきの意地悪そうな笑顔とはまた別の笑顔を見せた。


「やっぱりか…だと思ったぜ」


勇はシャンデルに全てを話そうと決心した。


「聞かせてくれよ。ここに来てまでイサムが何を見て、何をしてきたか」


勇はここまで来たことの全てを話した。自分が異世界に来たこと、ルシファと最初に会ったこと、初めて時を止められると気づいたことを、冗談も交えつつ笑い合った、ただの友達みたいに。


しばらく話し終わった後、シャンデルは本題に戻した。


「お前のこと、大体だけどわかってきたぜ…次お前が目指すべきこと、それは…能力を自分のものにすることだ!!」


「うん。さっきの模擬戦で少し時を止められる時間が長くなってるって実感した。もっと長く止められるようにしなくちゃならない!」


少し間をおいて、シャンデルは何か閃いたようだった


「確かにそれもそうだ。止められる時間が長ければもっと強くなれると思うが、お前の時を止める能力の弱点それは、止めた時間だけインターバルが課せられることだ。」


勇は少し眉を顰めた。


「んー。確かに、とは思うけど、そんなの治す方法なんてないんじゃ…」


「チッチッチ」っとシャンデルは勇に向かって指を振った。


「確かにそのデメリットをなくすのは無理だ。だが、それを最小限に抑えることならできる!例えば、お前はさっき時を止める時間が伸びた、って言ってたけど

それは限界まで時を止めてたってことだろ?」


「え?いや、まぁそうだけど…」


全く何を言っているのかわからないような表情でシャンデルを見ていた。


「止める時間を最小限にするんだ、そうしたら自然にインターバルも短くなる!その場その場で適切にどの時間止めたらいいか、少しだけ敵の動きだけ見れたらいいとか、自分で判断する!限界まで止めるってことはそれだけ自分が止めた分、無防備になるってことだからだ。!」


「なる、ほど…」


シャンデルの言っていることがやっと腑に落ちた。


確かにシャンデルと戦ってる時は、よく物を投げて錯乱させられてやられてしまう、というのが結構多かった。


自分がその場で何を見たくて、何を知りたくて、何をしたいのか、それを適切に判断した上で止める癖をつけるというのは一理ある。


(でも、そんなことできんのか?試してみないとわかんねぇ!!)


「シャンデル!もっかい、俺と勝負してくんねぇか?」


「おう!もちろんだ!」


シャンデルが快く受け入れた後、再び2人は練習に励んだ。



その姿を1人がジッと見ながら観察している。


「何かある気がする…やっぱり怪しい…」


アリス・フェルディアは2人を強く睨んでいる。











クロノマン。〜家事について〜


アリス:「私はメイドをやりつつ、ルシファ様の騎士としても働いてるの、だから2人もそうしてもらうから。」

勇・シャンデル:(家事…できるわけない。)

アリス:「それじゃ早速、イサムは皿洗いから、シャンデルはここの食卓の清掃をお願いするわ」


〜一時間後〜

アリス:「そろそろ終わったかしら?…ハッ」

グチャ〜ン

アリス:「これは…一体どういうこと…プルプル」

勇:「いや、あの!本当に申し訳ないって思ってる!決してわざととかじゃなくて!な!シャンデル!」

シャンデル:「そ、そうだ!ただただ不器用なだけなんだよ…!」

アリス:「どうして‥どうして…もとより汚くなってるのー!!!!!!」

勇・シャンデル「すみませんでしたー!!!!!!」

アリスの苦悩は続く…




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