第十五話 拝啓、敗北した僕へ
薄暗い闇の中からいろんな声が入り混じっている。
暑くも寒くもなくて痛みもない、ただ聞き馴染みのある声と自分の声が聞こえてきた。
「…サム!…イサム!!」
勇はパチっと目を開けた。
周りにはアリスとシャンデルがベットで勇と同じく寝てい、隣にルシファがずっと見守ってくれていた
「ハッ…みんなは無事!?」
「起きた!うんみんな無事だよ、イサム、どこか痛いところとかない?」
「え!?うん、だいじょ、って痛ッッ!」
起きあがろうとした瞬間に鋭い痛みが勇を襲った
「全然大丈夫そうじゃないじゃん!ゆっくりしてて!」
そのまま横になって勇はルシファに何個か質問をした
「俺、どれだけ眠ってた?」
「3時間‥くらいかなぁ」
「シャンデルとアリスは大丈夫そうなのか?」
「どっちもかなり重症だけど今は気絶してるだけで命に別状はないよ!」
勇は息をゴクッとのみこんだ
「あいつら…やっぱり逃げられたのか」
「…うん」
さっきまで笑顔だったルシファも少し落ち込んだような顔を見せた、きっと元気づけようとしてくれたんだろうな
しばらく沈黙が続き、勇は悔しそうに拳を握りしめた後、悔しさを噛み殺せない複雑な顔で微笑んだ。
ガチャ。
突然ドアが開きナタドールがやってきた。
「イサム!起きたのかい?ちょうどよかった、2人とも少し話せるかな?」
「え…あ、はい!」
勇とルシファは一瞬顔を合わせて、ナタドールは勇の方へ近寄った
「七災についてわかったことがあるんだ。僕は冥獣、七災、そして魔王を倒せばきっとこの国のおうになれる僕はそう言った。だからイサム、シャンデル、アリス、ルシファ様はこれから城を離れて本格的な魔王の討伐に行ってもらうことにした。」
「え…!?」
ルシファは一瞬驚いた後何も喋らずに頷いた。
「本格的にたってどこにあるかわからないじゃないですか!」
なんで急に。ルシファが危険に遭うかもしれないのに…
「まぁ落ち着いてよ、わかったことがあるって言ったばかりじゃないか。どうやら、七災は魔王の組織の元で動いている。冥獣もこのパラズ王国のラムカ村、マーラ村、セグララ村、ポルタ村それぞれ一つずつの村から出没情報も出てる。ルシファ、君が本当にこの国を一つにしたいというのならそれぞれの人たちと協力することが必要不可欠だ。だからこそ君たちにはこの七災、冥獣、そして、魔王の討伐を成し遂げて欲しいんだ。」
前話してたことだ…きっとこいつら全員倒して全クリ…なんで俺がこの世界に呼ばれたのかよくわかんないけど、多分この魔王と関係があるからに違いない!
「僕は…やります!それが近道だとしたら僕は全力で頑張ります!」
「イサム…」
少し悩んでいるように見えたが、ルシファも決心したように顔をあげた
「…私もやります!ずっとウジウジなんてしてらんないもん!」
ナタドールはニコッと笑い、そうかと言い、戻ってい
った。
「こっから…大変になりそうだな」
「…うん、そうだね、でもここが頑張りどこだよ!一緒に頑張ろ!」
ルシファがニコッと笑いかけて傷口から癒しの成分が体に染み込んできがした。
拝啓、
ずっと寝込んでいて体が硬かったのでググッと体を伸ばしたらやっぱりまだ痛い…
そんな俺を少し心配しながらルシファに、今日はしっかり寝ること!!と念を押されてそれぞれの部屋に戻っていった。
みんなが寝込んだ夜、シャンデルは目を覚ました、何が起こったのかすぐ理解して、なにやら外を散歩し、彼は月を眺めながら屋敷の天井に座っていた。
「考え事か?シャンデル、」
ハッとした後ろを向いた瞬間イサムがシャンデルのとこにやってきた
「あぁ、イサムか、どうしたんだよこんな遅くに」
「いやこっちのセリフー!ってかなんでこんなとこ登ってんだよ!疲れたわマジで!!」
「え、いや…なんかごめん」
イサムが勢いよくつっこんだ後、少しポケッとしたシャンデルが普通のことのように謝ってきた。
「少し…思い出してたんだよ、昔のこと…よかったらきいてくか?なんで俺がこんなんになっちまったか」
シャンデルの目がいつもと少し悲しかった。
「俺でいいなら…」
そうか、といってシャンデルは月を見上げた。
敗北した僕へ
「…俺には本当に大事な一人の妹がいたんだ。」




