予期せぬ事態
投稿が遅れてしまい、すいません!
「うおぉぉぉぉぉ!!! そう来たかぁぁぁぁ!!!」
ジンは今、横たわる少女の前で叫んでいる。
なぜジンは叫んでいるのか。それは単純明快、考えなくても分かるかもしれない。
ただ単純に、そうなるとは思っていなかったからである。
それもそうだろう。誰が神を召喚できると思うか。恐らくだが、誰も思わないのではないだろうか。
漫画やラノベ、アニメの主人公であっても、神をチートの如き圧倒的な力で倒す事はあれど、倒すべき相手を召喚などはしないだろう。
ジンも自分は強いと自覚している。なんなら神も倒せる程に強いと本気で思っている。
だが、まさか召喚できるとは思っていなかったのである。それ故の『まじか!』という気持ちが抑え切れずに声に出ているのだ。
「なんで僕はここに居るのかな? ちょっと詳しく説明してもらえると嬉しいんだけどなぁ」
少女もとい魔神はにこやかにジンに問いかける。目は笑ってはいないが......
「いや、ちょっとした手違いでお前を召喚しちまった」
ジンも動揺を隠せないまま、魔神に正直なことを話す。
天界に行こうとしていたこと。天使を召喚しようとしていたこと。召喚の途中から魔力を注ぐのが楽しくなってしまいやりすぎてしまったこと。別に魔神を召喚しようとしていたわけではないこと。正直に全て話した。
「今すぐ帰してくれるかなぁ!?」
「いや、それもすまん。帰し方分かんね」
「今すぐに契約者がくたばれば、僕は帰れるんだけどなぁ!」
「俺に死ねってかお前! 別に俺が死ななくても帰れる方法はあるんだぞ?」
「あるなら先に言って......」
「俺がお前を殺して、地獄に送ることだよ」
お互いほぼキレているので、口が悪い。
そしてしばらく口喧嘩しながら、睨み合う。
「このままじゃ、埒があかない。こうしよう、僕は始まりの街に居た。だから、始まりの街まで君が送り届けてよ」
「なんで俺がお前を送らなきゃいけないんだよ」
「君が僕を召喚したからに決まってるじゃないか!」
「いや、召喚したのは悪いと思ってるが、お前を送り届ける義理はねぇ!」
「二人とも落ち着いて! 二人が本気で喧嘩を始めると世界が終わっちゃうから!」
「そうですよ!」
ジンと魔神が口喧嘩をしていると、カムイとプリンがジンの所にやって来た。
関わってはいけないと、外野から傍観していた二人だが、よくよく考えるとこのままにしておけば軽く世界が滅んでしまうと気付き、慌てて止めにきたのだ。ただの喧嘩で世界を滅ぼされては堪ったものじゃない。
「あ、あぁ、すまない。ちょっとイラついてた」
「逆ギレもいい所だね」
「あぁ?」
「まぁまぁ! ジン落ち着いて!」
放っておくと本当に世界を滅ぼしかねない。そんな気がしてくるカムイとプリン。
実際には二人ともまだじゃれているくらいの気しかないのだが、二人にはそうは感じられないのだ。本気で二人が喧嘩する頃には、恐らくすでにカムイ達は亡き者となっているだろう。その証拠に二人とも殺気を少ししか出しておらず、カムイ達にも耐えられるほどに抑えられている。
「あれ、そういえばリアはどうした?」
「リアは......もう......」
「そうか......残念だな......」
「いや!!! 生きてますから!!!!」
カムイとジンがリア死亡説を押し通そうとしていると、遠くの方から全力で走ってくる人影が見えた。
150メートルほど離れているのによく聞こえたものだ、とジンは少し感心してしまう。実の所を言うと、リアが生きていたのは二人とも知っていた。そんな探知も出来ないようでは終わりである。プリンは知らなかっただろうが......。
その証拠に少し涙目になっている。
「人のこと勝手に殺さないで下さいよ!」
「冗談だよ、冗談」
「僕のことを放ったらかしなんて。ところで、その人達は誰?」
ジンとリアがいつもの風景を繰り広げていると、そこに魔神が入ってきた。
「俺の仲間だ。こいつはお前も見たことあるだろ?」
そう言って、ジンはリアを少し前に出す。
魔神はリアのことをジッと見ると、「あ、僕の分身を殺した人だ!」と今更のように気付く。リアは魔神本体を見たことがないので、分からないような顔で「へ?」などと言っている。いや、分からないのだが......。
「みんな覚えておいてくれ、こいつが魔神だ」
「「「!?!?!?」」」
驚いたような表情の三人だが、ジンと張り合うほどの人物が魔神だと聞いて少し安心していたりもした。これで魔神が普通の人だった時、本当にカムイの立場が無くなってしまう。ただでさえ、ジンという化物がいるにも関わらず、これ以上増えてたまるものか。カムイの頭の中はそれしかなかった。
一方でプリンとリアは「ジンさんだしね......」と勝手に納得していた。ジンならば、あり得ると。そう思っているからこそ、リアが辛うじて発狂せずにいる。
「いや、紹介は良いけどさ、早く僕を帰してくれないかなぁ」
「って言ってんだわ、魔神が。カムイ達なんか良い方法ないか?」
「んー、私が背中に乗せて飛んでもいいけど、個人的にあんまり乗せたくないかな。いきなり殺されたら嫌だし」
カムイが魔神を背中に乗せることを渋っていると、どこからか声が聞こえた。
いや、聞こえたと言うのはあまり正確ではない。正確には頭に声が直接流れ込んできたのだ。
「その必要はありませんよ」と。
次回はお久しぶりな、あの方登場です!




