少女の日(2)
最近ジン達が出てませんが、後2話くらいは少女の話になる予定でございます。
いましばらくお待ちを......!
「んー、この服もいいけど......あっちの服もよかったなぁ。あ、でもあの服の方が可愛い!」
少女はご飯を食べた後、街の人に聞き込みをして服を見に来ていた。
というのも、少女は服を全くと言っていいほど服を持っていない。今着ているボロボロの腰辺りまである黒いワンピースのような服と黒のショートパンツだけだ。
オシャレと言われれば、オシャレなのかもしれないが、服が少女を劣らしているとでも言えばいいのだろうか。とにかく、少女には今着ている服がいい意味で似合っていなかった。
だからかも知れないが、聞く人聞く人は皆、快く答えてくれた。
しかし、ここで問題が起こった。
勧めてくれるのは嬉しい事なのだが、意見がきれいに2つに分かれたのだ。少女も最初のうちは、どちらか一方に傾けば、そちらのお店に行くつもりでいた。
だが、それはもう意見が分かれる分かれる。
おばさんが「こっちの方がいいわよ」と言えば、近くを通り過ぎようとしたおじさんが急に立ち止まり、「そんな事はない! あそこの店の方がいい!」と言いだす。
永遠とその繰り返しである。少女自身も行ったことが無いので、どちらが良いとは言えない。
途中、あまりにも同じ事が起こり過ぎて、この世界はいつの間にか同じ所をずっとループしてるんじゃないかと、少女は心配になったりもした。
そして、少女は両方のお店に行く事にした。
〜〜A店の場合〜〜
「すみませーん!」
「お、可愛いお嬢ちゃんじゃねぇか!」
少女が店を訪ねると、出て来たのはガチムチないかついおじさんだった。
「今日は何の御用で?」
「服を買いに来たんですけど......」
少女はそこまで口にして、少し言葉が止まる。
何故ならば、辺り一面見回しても服が置かれていなかったのだ。店を間違えたわけでは無い、ちゃんと合っている。
だが、何度店内を見回しても服らしき者は置かれていない。
置かれているのは、剣や防具などといった冒険者が好んで使いそうな物ばかりであり、とても服屋には見えない。
どちらかと言えば、武具屋と言ったほうがしっくりくる。
「なんだ、服を探しに来たのか。服を売ってるのは、ここの地下だから案内してやる」
「あ、そうなんですか! じゃあ、お願いします!」
少女が考えていることが分かったのか、おじさんが話を切り出してくれる。
怖そうな人だけど、思っていたよりも怖くないようだ。
話す限りは見た目が怖いだけで、意外と優しそうだ。
そんなことを少女が思っていると、おじさんが一つの扉の前で立ち止まった。
「ここの店のことはなんて聞いた?」
「特に何も聞いてません。街の皆さんが勧めてくれてので来ました」
「なるほどな。いや、こんな事聞いてすまなかったな」
「いえいえ」
「じゃあ、入ろうか」
少女はおじさんの言葉を聞いた後、恐る恐るおじさんについて行き、部屋に入る。
「ようこそ! 俺の工房へ!」
おじさんの大きな背中から顔を出すと、そこには立派すぎるほどの工房があった。
「す、すごい......」
「そぉだろ、そぉだろ」
少女の正直な言葉におじさんはどこか誇らしげである。
部屋の大きさは20メートル四方程で、至る所に服を作る為だと思われる機会がある。だが、そんな機会ばかりの部屋なのに殺風景ではなく、どこか温もりさえ感じる。
掃除も隅々まで行き渡っており、糸くずすらも無い。日常的に掃除をし、この空間を大切にしているのが、素人目から見てもわかる。
しかし、肝心の服は見当たらない。
「あの、服は......」
「大丈夫だ、心配するな!」
少女が驚いてくれた事に期限を良くしたのか、おじさんは先ほどまでに比べてテンションが高い。簡単に言えば、さっきよりもうるさい。
「この店で服を作るときは、すべてオーダーメイドなんだ。だから、どこにも服は置いていない」
「なるほど、そういう事だったんですね!」
「そうだ。と言う訳でお嬢ちゃんの採寸をしなくちゃいけねぇんだが、俺がやると犯罪じゃなくても犯罪みたいになっちまうからな。ここで、俺の自慢の嫁登場だぜ!」
おじさんの言葉を合図にしたかのように現れたのは、おじさんのお嫁さんとは思えないほど綺麗な女の人だった。
ブロンドの髪にブロンドの瞳、身長はおじさんよりも10センチ程低く、おっとりとした雰囲気を纏っている。
少女のように初めて見た人からだと、20代中頃に見えるだろう。
「よろしくお願いします」
「いえ、こちらこそ」
お互いに軽く挨拶をすると、おじさんは「じゃ、俺は外に居るから仲良くしろよ〜」と言いつつ、出て言ってしまった。
初対面の人2人を部屋に放置する、と言う地獄を見せてくれたおじさんにはあとでしっかりとお礼をしなければ......。
「おねぇさんはおじさんのどこが好きで結婚したの?」
「んー、そうですね。言ってしまえば、旦那にいいところはほとんどありませんよ」
おねぇさんはクスクスと小さく笑っている。本当に人は見た目と中身が違うらしい。
「でも、昔私が森で迷っている時に偶然出会って、助けてもらった事があるんです。その時の旦那はすごくかっこよくて、私が一目惚れをして、今に至ります。」
「おじさん優しいもんね!」
「はい、とてもいい旦那ですよ」
そんな感じでしばらくおねぇさんと話していると、採寸が終わった。
おじさんを呼ぶと、なぜか少し俯いており、微かに顔が赤いのが分かる。おねぇさんの方を見るとまたクスクスと笑っていた。少女はそこで初めてこの状況を理解する。
つまり、おじさんは話を全て聞いており、照れているのだと。
そして、おねぇさんはおじさんが聞いていることを知っていて、おじさんを照れさすために、おじさんの話をしていたのだと。
少女は思う。
やっぱり人は見た目と中身が一致してない。と......。
ブクマが90件を越えました!
もうすぐで3桁入りです。本当にありがとうございます。
これからも自分のペースでやって行きたいと思います!




