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少女の日

 

 〜〜始まりの街 どこかの宿屋〜〜


「明日はどこ行こうかな〜! 服屋? 雑貨屋? それとも食べ歩きとか?」


 少女は地上に降りてきたからというもの、これまでに無いほどに地上を満喫し尽くしていた。今まで、少女が地上に降りる時は、何かしらの役割を持って降りてきていた。だが、今回はそんな役割などは無く、自由に、少女のしたいがままにすることができる。


 少女はそんな状況を心の底から楽しんでいた。それはもう、見た目に見合うほど楽しんでいた。


 地上に少女が降りてきた初日。

 少女はまず、泊まる宿を探すことにした。

 というのも、まず、宿を見つけておかないと「夕方になって荷物がいっぱいの状態で宿無しなんて冗談じゃない!」という考えの元、まずは宿探しを始めた。


 現代社会で旅行や旅に出た時もそうではないだろうか? やはり、最初に宿を見つけておいた方がなにかと便利ではないだろうか?


 ということで少女が選んだ宿は、そこそこの宿だった。

 お金には困っていないが、無駄使いも良くないと考えて、そこそこなのだ。


 この宿は、朝昼晩3食付き、お風呂は無し、体を拭くためのタオルがお金を払うことで支給される。ご飯も美味しいと評判……らしい。店主が言ってたらから分からない。でも、美味しかったと思う。

 お風呂はこの世界だと、あまり少ないみたいで、宿などだと、ほんとに高級な所か王族や貴族などの専門宿ではないと設置されていないらしい。


 だが、少女がこの宿に求めているのはそこではない。

 ご飯が不味ければ、外に行けばいい。

 お風呂がなければ、水浴びすればいい。

 しかし、ベッドはどうだろうか?

 寝るための施設で、寝るために用意されているものが、粗末であっていいはずがない!


 このように、少女は並々ならぬ信念をベッド、もとい寝具に注いでいる。


「うん、まぁ、だよね」


 少女が宿のベッドを見た時の言葉はそれだけであった。


 そこそこの宿のご飯はそこそこ美味しく、

 そこそこの宿のお風呂事情も他とほとんど変わらない。

 そんなそこそこの宿のベッドは、そこそこなベッドだった。


 良くも悪くもない。どちらかと言えば、良いほうなベッド。そこがまたそこそこいいベッドというパワーワードを際立たせている。


 シーツや枕、布団などは白で統一されており、部屋といいコントラストを生み出している。これだけ聞くといいベッドだと思うかも知れないが、その白がところどころ汚れていたとしよう。なぜか、妙な違和感を感じて、いいコントラストを生み出せないことであろう。

 だが、決して悪いという訳では無い。気にしないようにすれば、気にしないことも出来る。だからこそ、先程から何度も言っている、そこそこな、ベッドなのだ。


「まぁ、ある程度予想は付いてたけど、ほんとにそこそこだなぁ。良くも悪くもない。でもまぁ、寝るだけだし、ものすごく汚くない限りは寝るけどさ」


 そう、少女はベッドに強い信念と愛を持っているのだが、実際のところは別に想像を絶する程汚くない限りは寝れるのだ。


 ただ、質が良ければ、良いほど、少女が喜ぶというだけの話なのだから。


「んー、ご飯に行くか。それともショッピングに行くか。」


 そして、宿を取った少女は悩んでいた。


 始まりの街はこの世界でも一番人口が多い場所なのでそれに見合うだけの施設やお店がある。

 人口は100万人を軽く超えており、少子化問題なども全くなく、日に日に人口を増やしている。大人たちが頑張り過ぎなのである。

 だからこそ、存在する万を超えるお店の中からどこに行こうかと悩んでいるのだ。


 時間はお昼を少し過ぎた頃だ。

 ということで、少女はご飯を食べに行くことにした。



 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



「美味しい!!!!」


 少女が来たお店はそこまで高級というわけではない。どちらかと言うと、庶民的なお店ではあるのだが、少女にとっては何を食べても美味しく感じる。


 そうなってしまうような生活を今までずっとしていたのだから......


「やっぱり地上はいいなぁ、ご飯がこんなにも美味しい。それに......こんなにも賑やかだ」


 少女は窓から外を見ながら、黄昏(たそがれ)る。

 外には色々な人がいる。昼間っから酒を飲んでいる男たち、道の端で話が盛り上がっている奥様方、よく分からない遊びをしている子供達、眠たそうな衛兵といかにも真面目といった感じの衛兵コンビ、それを掻い潜るようにお店の物を盗もうとする泥棒、実に色々な人がいた。


 少女はそんな、この街では当たり前の日常を羨ましく思う。

 自分もほんの少しだけ産まれ方が違えば、元の世界でこんな風に楽しそうに暮らせたのだろうかと。


 だが、少女は後悔はしていないつもりだ。

 確かに、少女にちゃんとした親がいて、当たり前の日常が送れていたとしよう。しかし、そうなると少女は自分を育ててくれたおじいさん、おばあさんには出会えなかった事になる。

 どんなに辛い事があっても、この人生が素晴らしいと思えるのは、おじいさんとおばあさんが居たからであろう。


 大切な人というのは、居てくれるだけで幸せであり、それだけで辛い事も乗り越えられるのだ。


「さて、長居し過ぎたな。お買い物行こっと!」


 少女は目に少し涙を浮かべながら、それを振り払うようにお店を後にする。


気付けば、総合pvが25000を突破していました!!

これもいつも読んで下さってる読者皆様のおかげです!

本当にありがとうございます!

これからも頑張っていきますので、よろしくお願いします!!

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