迷宮2・3階
ネイド達は階段を降りて下の部屋に着く。
景色は上と同じで変化はない、ここからはいつもと同じ事をやるとネイドは決めた。
それはウズメのこの一言。
「つまらんの、主様よ。レヴィの訓練とはいえ、面白く無くなったぞ。
やりたい事を見失ったんかの?
それとも枯れたかの」
ここまでウズメに言いたい放題いわれたら流石にカチンときた。
「緋波さん、いつもの通りにいくよ。
緋波さんとレヴィで前衛を。
水玉と僕達が後ろでフォローする」
「了解です、ネイド様」
「お兄さん、頑張ります」
2人の気合いの入った返事に頷くネイド。
ネイド達は2階の捜索を開始する。
緋波は特に注意することなく進んで行くと魔物が当然現れる、後は見つけたら殺るを繰り返して緋波とレヴィが魔物を倒していく。
レヴィはまだまだだが、緋波のレベルで迷宮の前半部分は余裕で進行できるとネイドは考えているので、計画とは違うが行ける所まで行こうと思う。
魔物も直接攻撃を主に繰り出してきているので、緋波達には丁度いい相手だ。
特に苦戦をすることなく突き進む、1・2階と動物型の魔物ばかりなのでレヴィも違和感なく戦えているみたいだ。
ネイドとウズメの出番が無く探索が続く、低階層だと出るアイテムも限られるので早く20階近くまで降りたいのだが、そう簡単じゃないのも事実なので焦らずに行く。
「あっ!見つけました。アレですよね、私がやってみたいです」
「いいよ。やってごらん」
ネイドの許可を得たのでレヴィが浮いている光る玉を手で掴み魔力を流す。
「レヴィ、魔力は少しだけよ」
「はい!緋波お姉さん」
極僅かの魔力を光る玉流したレヴィは変化が起こるのを待っている。
程なくして光る玉が割れたのでレヴィは手を離し見守る。
スゥーと光る玉が地面に入り、階段を作り始めた。
ほんの数秒で完成した階段を見つめ、ネイドは休憩を提案する。
全員の賛同を得たので、休憩がてら食事も取ることにした。
「このまま、行ける所まで行こうか」
緋波に用意してもらった、サンドイッチを食べながら皆に提案をする。
「大丈夫でしょうか?不安なんですが」
「レヴィはまだ余裕を感じます、不安を感じなくなるまで行きましょう」
「え!それは乱暴だと思うです。緋波お姉さん」
「まぁ、緋波を支持じゃな。レヴィよ、それだけ言えるのならまだ大丈夫じゃ」
「じゃ、問題もないようなので休憩後に3階に降りようか。
ウズメ、3階から帰還の石を見つけながら進んで行こうか」
「了解じゃ。次に来る為の階層の石はどうするのじゃ?」
「いつも通りに緋波さんの大剣が使い物にならなくなったら探そう」
ウズメと下に降りたらの段取りを決めている最中に緋波はレヴィに帰還の石と階層の石の説明をしていた。
「へぇ~、迷宮にはそんな石が落ちているのですね。
不思議です、私にも解りますか?」
「ウズメが見つけたら見せて貰うといいでしょう。
それより、下に意識を向けて前方の注意を怠らないように」
注意とアドバイスをレヴィにする緋波を見ながら、ネイドは3階に降りる。
下に降りて直ぐに異変に気づいた。
「主様よ、夜になっとるの」
ウズメの言う通りに3階は夜の闇に包まれている。
「夜間戦闘かあ~、緋波さんレヴィはどう?」
「問題はありません。ネイド様、ただ慣れるまでのお時間を少し頂きたいと思います」
時間くらい気にしないが、緋波がどうするのかと見ているとレヴィと何やら話している、何故か目を輝かせたレヴィを連れて先に進んでいく。
「なにを言ったんだろうね?」
「わからんが緋波なら無茶はせんじゃろ」
夜の闇の中に消えていった2人を心配しつつも緋波に全てを任せる。
離れた所には行っていないのは、時折きこえるレヴィの声でわかる。
どうやら近くにいる魔物と戦っているようだ、気合いの入った声に混じって聞こえる感嘆の声はどういう事なんだろうと頭を悩ませていると緋波達が戻ってきた。
「ただいま戻りました」
「緊張しました。でも綺麗でした」
特に怪我をした様子もないのでホッとしてレヴィを見る。
レヴィは瞳を輝かせながらネイドを見上げる、思わず緋波に目で問いかけると2度も頷いたので、ネイドは誉めてあげて下さいと緋波が言っていると思い実行する。
「怖くなかったかい?よく頑張ったね」
「平気です。緋波お姉さんの言いつけを守って戦いました」
ニコニコ顔のレヴィの頭を撫でてやり、ネイドは緋波に確認をとって前に進む。
緋波とネイドがランプを取り出して辺りを照らす。
余計な明かりは魔物を引き寄せるのだが、ネイドはあえて明かりを目立つようにした。
「相変わらず強気じゃの主様よ。低階層とはいえ、魔物を集める事になるぞ」
「吹っ切れたからね、ちまちま進んでいくのはやめるよ」
そう宣言をしてネイドは緋波に進むように指示をする。
夜の闇の中をランプを左手に持ち、大剣を右手に構えた緋波は周りを照らしながら進むと当然、魔物の標的とされるが緋波は襲いくる魔物を右手の大剣で軽く払っていく。レヴィは距離を少し開けて緋波の邪魔にならないような位置でつねに戦っていた。
ネイドは時々、フォローをするだけですんだ。
レヴィもだんだんと夜の戦闘になれてきたのか、動きが滑らかになってきている。
この一帯を歩き回り魔物を駆逐していくとウズメが何かを発見した。
「おっ!主様よ帰還の石じゃ、1つのだけじゃが見つかって良かったのぅ」
ウズメは草むらに落ちていた石を手に取りネイドに渡した。
手の平に乗るぐらいの小さなビー玉みたいな石なのだが、表面に帰還と掘ってある。
文字通り、使用すると迷宮の扉の前に帰る事ができる便利なアイテムだ。
これ1つでパーティー全員が纏まっていれば帰還できる便利なアイテムだ。
ただ離れた位置にいたら効果がないので通常3つ位は仲間で分けて持つのが安全だ。
レヴィは興味津々にネイドの手の上に乗っている帰還の石を見つめる。
「これが帰るのに必要な石ですか、小さいので気づきにくいです」
「ネイド様、こちらには次に行く仕掛けが無いです」
いつまでも石を見ているレヴィをよそに緋波から報告を受ける。
ならばとネイドは方向を変えて進む。
魔物と遭遇する数は減ってきているので探索が早くなってきている、ネイドはランプを片手に足元を照らしながら歩き少しでも光る玉の仕掛けが、発見できるようにする。
体感で1時間ぐらい3階を歩き続けてようやく次に行く為の光る玉を見つけた。
予想外に時間が、かかった為に緋波達の武器も切れ味が落ち気味になってきている。
ネイドは緋波に次の4階層でいったん引き上げる決断をした。
レヴィも初迷宮での戦闘で疲労が出始めている、この辺りが引き際はだろうと思いながら光る玉に魔力を注ぎ仕掛けを起動させると4階層に行く階段が出現したのを確認してネイドは降りていった。




