第三話 不幸と幸せ
主人公である青木良平はスカウトマンである小林翔吾に小説家になるためには自由堂の独自の小説家人材採用選抜試験に合格しなければならないことを聞かされる。
スカウトの仕組みついて説明し忘れたことがあるとスカウトマンである小林さんに呼ばれ、待ち合わせ場所である県立図書館に向かった。「すまない。急に呼び出してしまって。」「いいですけど、話ってなんですか?」「落ち着いて聞いてくれよ。実は、自由堂の小説家人材採用の仕組みは募集人員とスカウト人員っていうのがあって、それぞれ募集人員は応募者の中から抽選で100名、スカウト人員はスカウト専用職員が人材に最適な人を1名指名するんだ。で、重要なのはこっからで、なんと、3ヶ月に一度試験があるんだ。」試験があると聞くとすぐに僕は「費用はかかるんですよね?」と聞いた。「大丈夫。それは俺が負担するから。試験で最終的に選抜されて小説家になれる人は1名だ。でも、大丈夫さ。過去に一度も応募人員は2次試験で合格していない。しかも、今月のスカウト人員候補5人中、なんと正式に君がスカウト人員に選ばれたよ。1次試験とか2次試験は会場行ったらわかるよ。会場までは俺が車で連れてくから。」「でも、会社ってことは学校はどうなるんですか?」「・・・・辞めることになるよ。まあ、合格した場合だけどね。うちは個人的な小説家じゃなくて社内で小説家を育成する仕組みだから。学業か小説家かどちらを選ぶかは君次第だ。7月30日に君の家に迎えに行くよ。じゃあ、それまでに決めてね。」「決めました。合格したら学校辞めます。」もう決めてあったから迷いなく即答した。僕は小説家を目指すんだ。「いいねー。そうこなくちゃ。試験内容はこの紙に書いてあるから。」紙を貰うと、なんだか気合いが出てきて走って家に帰った。約束の日、彼の黒い高級車に乗せられて東京にある自由堂の本社に招かれた。「着いたよ。青木君。」「・・・はい。」と少し緊張と不安が入り混じった返事を自信なさげに言うと、「大丈夫さ。君なら絶対合格するから。不安や緊張があるってことは、それだけ実力もあるってことだよ。だからもっと自分を信じるんだ。青木君ならきっとできる!!」と小林さんが僕を励まそうとしてくれた。今まで自分の存在価値なんて無いと思っていたけど、今日はその価値をあるって信じて本社の試験会場に向かっていった。昨日の夜、僕は自分の部屋で日記を書いていた。日記は1日のあらゆる出来事や行動を振り返るとともに、自分の感情を写し出す鏡でもあった。いつもだったら自分を否定し、周りにいる奴らが自分よりも幸せであることを妬み、文章の中には必ず自分の存在価値はないという言葉を入れるようにして辛い現実の中で孤独に苦しむ自分の思いを書いていた。日記は唯一僕の本当の思いを表せるよりどころだった。でも、昨日の日記は違った。「初めて生きる意味や目的をもらえたことに感謝し、それは立派な小説家を目指すことだ。」という文頭から始まり、気づけば日記の1 ページ分の行を書き終えると、いつもの日記と違って自分を否定する内容はなかった。感謝の言葉や前向きな考え方がわかる日記になっていて涙が出そうになった。僕はやっと生きる意味を見つけたんだ。たとえ孤独でも僕は小説家になる。そう決意できた。母ちゃんや小林さんの期待してくれている。母ちゃんが僕を育てくれなかったらもっと不幸だった。小林さんがスカウトしてくれなければ僕はここまで立ち直れなかった。僕は孤独なんかじゃない。小説家を目指すんだ。「5分後に試験開始だって。俺はここで青木君のとこ信じて待ってるから。Good Luck!!」と小林さんから応援してもらい、いよいよ試験会場の部屋に入室して着席した。1次試験は作文を書く速さを検査する試験だ。そして、2次試験は1次試験合格者10名のみから内容を検査する試験。ということはどちらも全然自分にとって苦手ではないが、どちらかというと1次試験が得意である。なお、1次試験の作文内容も2次試験の作文内容と一緒に加算されるから1次試験でいかに本気出せるかで合否は大きく変化する。「試験開始!」試験監督から開始の合図が出た瞬間に僕は自己最高速度で誰よりも集中力を効かせ、速く、正確にペン先を動かし続けた。最後まで自分の最善を尽くそうと必死にペンを動かした。絶対に合否したい。そう願っていた。
この話は主人公である青木良平が自ら孤独であることを否定し、前向きな考えできるようになり精神的に成長できた話です。作者は良平がこれからも小説家になるために1歩ずつ困難を乗り越え、成長していくと思います。次回の投稿予定:8月11日




