表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
聖王伝  作者: 日和見


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
45/46

内緒で神聖魔法

聖王伝 第45話 隠された抜け道と、聖なる萌芽少し早めの夕飯を終えたあと、僕は割り振られた臨時宿舎の中を進み、ガッハさんの部屋の前に立っていた。木製の扉をトントン、と静かにノックする。「ガッハさん、カレハです。入ってもよろしいですか?」「ああ、カレハ君。鍵は開いているからどうぞ」室内から穏やかな声が返ってきた。失礼します、と中に入ると、ガッハさんは机の上にいくつかの古い羊皮紙を広げていた。僕は差し示された椅子に腰掛け、背筋を伸ばして用件を尋ねた。「実はね、カレハ君。戦闘を生業にしている者なら誰もが知っている、ある『世界の法則』について話しておきたくてね」ガッハさんは真剣な、けれどどこか悪戯っぽさを含んだ瞳で僕を見つめた。「僕たちは実戦で魔物や敵を倒すと、ほんの僅かずつだけれど肉体やスキルが強化されていく。……だけど、君の今の職業はあくまで『荷物持ち』だ。組合ギルドの規約上、自衛以外の目的での積極的な戦闘は一切許されていない」「はい……。だから、僕は魔物を倒して強くなることはできないんですよね」僕が少し寂しそうに頷くと、ガッハさんはニヤリと微笑み、人差し指をチッチッと振ってみせた。「ただね、もし君にそのやる気があるのなら……一つだけ、規約に触れない『抜け道』があるんだ。興味はあるかい?」その一言は、僕にとってこれ以上ないほど魅力的な提案だった。「もちろんです! ぜひ教えてください。どのような方法でしょうか!?」思わず身を乗り出す僕に、ガッハさんは声を潜めて語りかけた。「うん。あまり公言できることではないのだけれどね。……僕がカレハ君に、この部屋で直接『神聖魔法』を教えようと思うんだ。教会を一切経由せず、僕から君へ、直接ね」「えっ……!? 魔法……ですか?」驚きのあまり声が裏返りそうになった。魔法なんて、それこそ専門の高度な教育を受けられる裕福な貴族や、教会に身を捧げた一握りの聖職者しか扱えない雲の上の技術のはずだ。「そう。もし君に神聖魔法の適性があって、初歩だけでも覚えることができたならね。これから先の探索で、激しい戦闘を終えて怪我を負った僕たちに、君が後方から回復魔法を使って癒やすんだ。……『味方を癒やす行為』もまた、自ら魔物を倒したのと同様に、戦闘に貢献した分の経験として肉体やスキルへ強化がなされる。本当に僅かずつではあるけれどね」味方の治療による経験の還元。それなら、ただの荷物持ちのままであっても、規約を破ることなく安全に、確実に強くなっていける。「ガッハさん、やりたいです! ぜひ、僕に神聖魔法を教えてください。お願いします!」僕は椅子から立ち上がり、これ以上ないほど深く頭を下げた。こんな千載一遇の好機、断る理由なんてどこにもない。僕の熱意に、ガッハさんは嬉しそうに目を細めて頷いてくれた。「よし。それじゃあ、この探索期間の間、基地に戻ってきたときでお互いの都合がつく夜は、ここで僕が指導をすることにしよう」神聖魔法。まだ指導すら受けていないし、本当に自分にそんな特別な才能(適性)があるのかは分からない。けれど、もしも覚えることができたなら、僕はただの足手まといの荷物持ちから、先輩たちの背中を本当の意味で支えられる「仲間」になれるかもしれない。窓の外で静かに夜の帳が下りていく探索基地。自分の胸の奥で、まだ見ぬ魔法への憧れと大きな夢が、パチパチと熱く膨らんでいくのをカレハははっきりと感じた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ