ちょっと早いけど今日の探索終了
聖王伝 第44話 「兵長殿。中の石像相手ならば、各チームが連携すれば十分に突破可能だと思われます。また、あの精巧な機械人形に関しても、こちらから手を出さない限りは、提示されたルール通りにしか動かないかと」広場の手前にある拠点に戻ると、ガッハさんは合流していた王国軍の兵士長へ、中に眠っていた制限システムの詳細も含めて事細かに報告を入れた。「ああ、そのようだ。貴重な情報をありがとう、助かったよ」兵士長は深く頷き、安堵の溜息を吐いた。「他の探索チームも、さすがにあれほどの惨劇を見た後だ。あの人形に無謀な手を出す愚か者はもういないだろう。軍としては、提示された三日間の期限が来たら我々も挑戦させてもらい、通行権を得るつもりだ。先行する探索者たちの後方支援拠点を下へと進めるためにもね」「賢明な判断だと思います。では、我々は一度探索基地に戻ります」ガッハさんがそう告げて、僕たちは台車を押し、地上へと繋がる通路を歩き出した。防壁に囲まれた賑やかな探索基地へと戻る道中、先輩たちの間でこれからの作戦についての話し合いが始まった。「メディはどうする? 四日半の制限がかかった僕たちは手出しできないけれど、時間はかかるだろうが君一人なら、挑戦すれば何とか石像を倒して通行権を貰えるだろう?」ガッハさんの問いかけに、メディさんは歩きながら「うーん」とつまらなさそうに唇を尖らせた。「そうねぇ……。中心の前衛3人が出られないんじゃね。それに、カレハちゃんを置いて、私一人だけでしんどい思いをして通行権を貰っても意味ないじゃない? それとも何? 貴族様との契約や期限を理由に、カレハちゃんをここに置いて、四人で先を探索するつもり?」メディさんの少し挑発的な言葉に、隣を歩いていたテイラーさんが「はぁ!? そんなはずあるまい」と即座に眉をひそめて突っ込んだ。「お前、俺たちを誰だと思ってるんだ。国軍が介入しようが他のチームが先に行こうが、期限や契約でどうしても仕方のない状況でもない限り、この坊主を置いていく選択肢なんて最初からないぜ」ハオさんも大盾を背負い直しながら、静かに、けれど力強く頷いている。先輩たちが僕のことを、ただの都合のいい荷物持ちではなく、本気で「置いていかない仲間」として扱ってくれている。その事実がたまらなく嬉しくて、胸の奥がじんわりと温かくなった。「というわけでね、カレハ君」ガッハさんが僕の顔を見て、いつも通りの穏やかな笑顔を浮かべた。「これ以上は僕たちも手出しができないし、ここからは大して稼ぎにもならない半端な時間になってしまう。だから、今日はこの後、急遽『休暇』にすることにしたよ」「えっ……休暇、ですか?」「うん。でもね、カレハ君。もし良ければ、この後少しだけ僕の個人的な用事に付き合ってくれるかな?」「はい! もちろんです!」僕は二つ返事で返事をしたけれど、一体何をするのだろう。そうこうするうちに僕たちは割り振られた基地内の宿舎へと戻り、今日の任務は解散となった。ひとまず、宿舎に併設された食堂で、お腹を空かせた皆と一緒に少し早めの温かい夕飯を囲む。突然の探索基地での休暇。これからガッハさんと何をするのか分からないけれど、僕は少しのワクワクを胸に、スプーンを口へと運ぶのだった。




