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聖王伝  作者: 日和見


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2回の探索、他の探索チームの戦闘

第46話 泊まり込み探索の3日目の朝。僕たちは、中央通路のあの機械人形がいる広場を避け、左右に伸びる脇の通路へと向かっていた。ガッハさんたちが四日半の戦闘制限ロックアウトにかかっているため、中央のボス戦には介入できないからだ。すでに他のチームによって上の階層へ続く階段が見つかっており、二階部分の探索が始まっている。けれど、戻ってきた探索者たちからの評判は芳しくなかった。なんでも、一階にいた金属の巨躯とは違い、人間と変わらない大きさの機械人形が徘徊しているらしい。それが遠距離攻撃を得意としており、近づく前に狙撃されるため、探索がなかなか捗らないというのだ。「あくまでも他人の口から聞いた情報だ。自分の目で確かめるまでは油断せずに進もう。ハオ、遠距離攻撃が主体だそうだから、前衛は頼むぞ」ガッハさんの言葉に、ハオさんは身の丈ほどもある自慢の大盾の位置を確かめながら応じた。「俺の大盾でどこまで防ぎきれるか、あまり過信するなよ。……まぁ、敵の弾を完全に防げれば、後ろのお前らはかなり楽になるがな」あの巨大なストーンゴーレムの突撃を受け止めてぐらつかせたほどのハオさんなのに、随分と慎重だ。僕が不思議そうな顔をしていると、隣を歩くテイラーさんが小声で教えてくれた。「坊主。ガッハやハオが弱気になってるわけじゃねーぞ。情報が不確かなときはな、常に『最悪のケース』を想定しておかねば痛い目を見る。実際に戦って危険度が低い分には、何の問題もないからな」「なるほど……!」プロの徹底したリスク管理に、僕は深く感銘を受けた。一階の通路はすでに階段の手前までクリーニング(魔物や罠の間引き)が完了しており、危険はない。メディさんを先頭に隊列を組んで進むと、何事もなく上の階層へと続く古びた石段に辿り着いた。慎重に階段を上りきると、目の前には一階と同じような灰色の石造りの通路が広がっていた。耳を澄ませると、微かにキィィンという金属音と爆発音が聞こえてくる。「……戦闘音だね。慎重に向かおう」ガッハさんの合図で壁際に身を潜めながら音のする方へ向かうと、広い十字路のような場所で、5人の探索者チームが戦っているのが見えた。相手は、一階で見かけた化け物じみた巨躯とは違い、身長一メートル七、八十センチ程度の人間の大人と変わらないサイズの機械人形が三体。魔法の知識が乏しい僕には詳しい術式までは分からなかったけれど、その機械人形たちは、威力はそれほど高くなさそうな小さな魔法の弾を、途切れなく連続で放っていた。挑戦しているチームの前衛は、その容赦のない連射を必死に避きたり、盾で受けたりしながら泥泥になって近づこうと苦労している。機械人形側は、巧みに間合いを保って後退しながら魔法を乱射し、相手を近寄らせない。(あ、でも、そこ……前衛の隙を突かれた!)一瞬、ハラハラしながら戦況を見つめていたけれど、熟練の探索者たちもタダでは転ばなかった。「うおおおっ!」と気合いの咆哮を上げた前衛の戦士が、強引に距離を詰めて一体の機械人形を捕まえることに成功した。一度懐に入り込んでしまえば早かった。自慢の武器で硬い装甲を一気に叩き割り、動きを止める。三体の連携が崩れて二体になった途端、形勢は完全に逆転し、あっけないほど簡単に決着がついた。戦いが終わったのを見計らい、ガッハさんが一人で両手をゆっくりと上げ、敵意がないことを示しながら彼らの元へと近づいていった。「やあ、お疲れ様。……良ければ、僕の回復魔法ヒールは必要かな? 対価は、この二階層で君たちが得た情報を僕たちに聞かせてくれることだけど」「な……っ!? 神聖魔法使いか!」リーダーらしき怪我だらけの男が驚き、それから地獄で仏に会ったような顔で大きく頷いた。「ああ、頼む! 本当に助かるよ! ……おい、後ろにいる仲間たちもこっちへ呼んでくれ。二階の恐ろしい状況の説明は、一度で済ませたいからな」ガッハさんの手から溢れ出す聖なる白い光が、疲れ果てた彼らの傷を優しく癒やしていく。僕はその光をじっと見つめながら、昨日の夜、ガッハさんの部屋で教わった「世界の抜け道」を思い出していた。いつか僕もこの光を紡ぎ、先輩たちの力になるのだ。胸のドキドキとした高鳴りを抑えながら、僕は彼らの口から語られるであろう、未知なる二階層の本格的な情報に耳を傾けるのだった。

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