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聖王伝  作者: 日和見


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圧倒的な戦闘

聖王伝 第42話 お昼ご飯を食べながら、僕たちの臨時拠点で慌ただしく作戦会議が行われた。「午後から僕、テイラー、ハオの3人で広場の石像に挑む。昨日のルール通りなら、挑戦者が3人であれば起動する石像は1体だけのはずだ。……ただし、断言はできない。何が起きるか分からないからね」ガッハさんはそう言って、周囲の兵士や他の探索チームに「僕たちが露払いをする」と声を掛けた。午前中の全滅劇で恐怖に包まれていた周囲は、その言葉に救われたように何度も頷いていた。再び足を踏み入れた広場。最奥の門の前では、あの精巧な機械人形が午前中と変わらぬ衣服を纏って待ち構えていた。『お待ちしておりました、侵入者の皆様。ルールの説明を聞きますか? 若しくは質問をされますか? なければ戦闘開始の合図をお願いします』慇懃無礼な問いかけを無視して、ガッハさんが静かに歩を進める。一定の境界線ラインを越えた瞬間、ズズズ……と不気味な地鳴りが響き、壁際の石像ストーンゴーレムが駆動し始めた。だが、それはガッハさんの予想に反していた。動き出したのは1体ではなく、2体の巨躯だった。「ちッ、『変数ハズレ』の方を引き当てちまったかよ! とりあえず1体ぶちかます! ガッハ、ハオ、合わせろッ!」テイラーさんが鋭く叫ぶ。彼は詠唱を破棄し、得意の土魔法を瞬時に発動させた。ドゴゴゴゴッ! と、突撃してくる1体目の石像の足元から、鋭利な石の長槍が4本同時に突き出た。ガンガンと激しい音を立てて装甲に激突する。ダメージこそ通っていないが、石の槍はそのままストーンゴーレムの脚部をがっちりと固定した。「――っしとぉッ!」ハオさんが身の丈ほどもある大盾を構え、地面を蹴って高く跳び上がった。空中から弾丸のように突っ込み、盾のスキル【シールドバッシュ】を石像の上半身へと叩き込む!下半身をテイラーの石槍で固定されていたゴーレムは、上からの凄まじい衝撃に耐えきれず、バランスを崩して激しく地面に手をついた。「どらぁぁッ!!」そこへ、ガッハさんの巨体が重なった。倒れ込んだ石像の肩へと一瞬で飛び移ると、格闘士としての凄まじい全身のバネを使い、石像の太い右腕を強引に抱え込んで捻りあげる。バリバリバキィィィンッ!!!鼓膜を刺すような破壊音が広場に轟き、石像の巨大な腕が根元からへし折られて転がった。バランスを失って完全に横転した石像へ、ハオさんの大盾とガッハさんの拳が容赦なく叩き込まれる。それは昨日見た【ワイバーンスレイヤーズ】の戦いよりも遥かに早く、ものの数十秒で1体目の石像をただの瓦礫へと変えてしまった。「……あ、もう1体は!?」僕が慌てて視線を巡らせると、2体目の石像は、テイラーさんの魔法によって周囲を頑強な土の壁で完全に囲まれていた。中からガンガンと壁を叩く音が響いているが、脱出するにはまだ時間がかかりそうだった。「よし、次だ!」壁が崩れると同時に、ガッハさんとハオさんが一斉に突撃する。そこから先は、もはや戦闘とすら呼べない、一流のプロによる一方的な「破壊作業」だった。人間の領域を超えた二人の怪物の前で、あれほど絶望的だったストーンゴーレムは、あっという間に砕け散って動かなくなった。『――おめでとうございます。その扉を開けて、中にお進みください。奥に宝玉がございます。それに触れて頂ければ、以後、この闘技場で戦闘をする必要はございません』衣服を着た機械人形は、そう淡々と告げると、約束通り門の前からスッと横にズレて道を譲った。どうやらあの慇懃無礼な態度も含めて、すべてはプログラムされたルール通りの行動のようだ。『……後、権利獲得、失敗に関わらず、この闘技場で一度でも戦闘を行いますと、【人数×人数×12時間】の間は、次に戦闘をする権利を失います。悪しからず』人形が最後に付け足した不穏な言葉に、僕は思わず首を傾げた。「え……? それって、どういう意味……?」今日の参加人数は3人。計算すると、一体どれほどのペナルティがこの広場に課されるのだろう。ボスを撃破した歓喜の裏で、僕はヴルペリアの古代システムが持つ、もう一つの奇妙な罠の気配を感じていた。

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