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聖王伝  作者: 日和見


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1日目の探索終了

聖王伝 第35話 部屋に残されていた古代の遺物を抱え、僕たちは再び王国軍の陣地へと戻った。受付の兵士さんに中央通路で起きた出来事を報告すると、彼は驚きながらもすぐに親切な提案をしてくれた。「四メートルもの巨体を運ぶのか。なら、軍の台車を貸してやろう。ただし、しっかりレンタル料はもらうがな」「ありがとうございます、助かります!」とガッハさんが費用を支払い、僕たちはありがたく二台の強固な木製台車を借りて、ワイバーンスレイヤーズの待つ場所へと急いだ。「おお! ありがてえ! 台車がありゃ格段に楽になるな!」彼らと合流し、総出で機械人形の巨体を持ち上げて前後に台車を滑り込ませる。運搬の体制はすぐに決まった。台車を押す人、前から引っ張る人、地面に引きずりそうな大きな鉄の腕を持ち上げる人。そして、運搬中に奇襲を受けないよう周囲を護る人。力の無い僕は周囲の警戒役に回り、全員で息を合わせて慎重に運んでいく。幸いにも道中は、他の防衛機構に遭遇することなく無事に王国軍の陣地へと到着した。しかし、受付の兵士さんはその巨躯を見るなり苦笑いを浮かべた。「いや、流石にその巨体をこの狭い陣地に置いておくスペースはないな。悪いが、そのまま外の探索基地まで持って行ってくれ。それと……諸君、遺跡に入ってからちょうど六時間が経過したぞ」気がつけば、活動限界に近い時間が迫っていた。僕たちは中央通路の部屋に置いてきた残りの遺物の回収を後回しにして、まずはこの機械人形を外へ運び出すことにした。遺跡の入り口まで戻ると、門番の兵隊さんが僕たちの様子を見て、周辺の警備にあたっていた傭兵たちに声をかけてくれた。「すまん! 大物だ! 運ぶのを手伝ってやってくれ。探索者さんも、後で少しでいいから彼らに小遣いをやってくれよな」これには本当に救われた。テイラーさんの魔法で基地の周辺は整地されていたものの、やはり大森林の地面はボコボコだ。いくら台車があっても大人数でなければ泥に足を取られて大変なことになっていただいた。傭兵たちの力も借りて、僕たちは巨体を無事に探索基地の鑑定所へと運び込んだ。鑑定を待つ間、先ずは傭兵の皆さんに1人小金貨1枚を渡す、彼等は喜んで「また、声を掛けてください、ありがとうございます」と、ワイバーンスレイヤーズとの間で「山分けの取り分」を決める話し合いが始まった。だが、その前にガッハさんが「そこにちょっと並んでくれ」と彼らを呼び止めた。ガッハさんが静かに手をかざすと、柔らかな光が彼らを包み込む。「ヒール」ポン、ポンと、怪我を負っていたワイバーンスレイヤーズのメンバー全員に回復魔法をかけていく。彼らは目を見張り、唖然とした様子でガッハさんを見つめていた。本職のモンクでも、これほど手際よく全員の傷を完全に癒やす男は滅多にいないからだ。「気にするな。この程度のヒールなら、僕の魔力も祈りもそう消費しないさ」ガッハさんは何でもないことのように微笑んだ。その後、報酬の分配について、最初は「人数割」にしようという話が出た。しかし、ワイバーンスレイヤーズは七人と人数が多く、それでは救ってくれた『黒鷹の翼』への見返りが少なすぎて悪い、という話になり、最終的に「チームごとで【二等分】」にすることで綺麗にまとまった。そこへ、子爵家お抱えの鑑定士がやってきて、ブルーシートの上の機械人形を一瞥した。「……ふむ。王国王室への売却値段次第ではありますが、特に我が子爵家として直接引き取る(必要とする)ほどの遺物ではございませんな。国への引き渡しでよろしいかと」子爵家の鑑定が済んだところで、時間も時間なので、僕たちは急いで遺跡内部の陣地へと引き返し、一時預かりにしていた残りの遺物を受け取りに走った。帰り道、例の大きく重い遺物を運ぶ際にも、先ほど借りた台車が大活躍してくれた。おかげで僕の体への負担もかなり軽く済み、荷物持ちとしての役割をしっかりと全うできた。すべての遺物を探索基地の倉庫へと運び終える頃、夕暮れの明かりの中で、あの巨大な機械人形の正式な鑑定結果が出ようとしていた。手に入れた大金への期待と、今日一日の心地よい疲労感を覚えながら、カレハは長い一日の終わりを実感するのだった

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