表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
聖王伝  作者: 日和見


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
35/42

初めての共闘

聖王伝 第35話 ギラギラとした、野獣のような熱気を帯びた先輩たちと共に、僕たちは中央の通路をさらに奥へと進んでいった。すでに他のチームが開拓した部屋をいくつか通り過ぎ、まだ誰の手もつけられていない、固く閉ざされた石扉の前で足を止める。右の通路からは、未だに機械人形と探索者たちが激しく刃を交え合う金属音が響いており、この中央通路や各部屋の内部に何が潜んでいるかは全くの未知数だった。油断なく周囲を警戒する中、主に重戦士のハオさんが扉に手をかける。「うし、開くぞ。テイラー、隙間から偵察の魔法を頼む」「任せろ」テイラーさんが静かに呪文を唱え始めた。そういえば、あの凄まじい土木工事の時の土魔法は無詠唱だったけれど、他の属性の魔法を使うときは、こうしてきちんとした詠唱が必要になるらしい。「……よし、中は問題ない。開けてくれ」テイラーさんのサインを受け、ハオさんとガッハさんが息を合わせて一気に扉をこじ開けた。中は先ほどの部屋よりもかなり狭く、置かれている遺物の量も少なかった。すぐにメディさんが室内の罠の有無を素早く確認していく。「どうやら、この部屋も罠は大丈夫みたいよ〜」量も少なく、運ぶのに苦労するような重い大型遺物もない。これなら全員で手分けして一回で陣地まで運べるな、と僕たちが遺物を抱え上げた、その時だった。――『ぐわぁっ!?』『ぎゃあああーーーっ!!』通路のすぐ近くから、鼓膜を裂くような男たちの悲鳴と、凄まじい破壊音が轟いた。「カレハ君、荷物を降ろせ!」ガッハさんの鋭い指示に、僕は抱えていた遺物を床へと置いた。真っ先にメディさんが猫のようなしなやかさで通路の様子を窺い、手招きで僕たちを呼ぶ。物陰からそっと覗き込むと、すぐ先の通路で別の探索者チームが信じられないような死闘を繰り広げていた。彼らが対峙しているのは、通路の高さの3分の2に届きそうなほどの巨体を誇る、機械人形。ゆうに4メートルはあろうかという、巨大な腕を振り回して暴れ狂っている。「おーい! 手助けはいるか!?」ガッハさんが通路に向かって大声を張り上げる。巨体の猛攻に苦労していた相手チームのリーダーが、血相を変えて叫び返した。「頼む、来てくれ! 俺たちのチームだけじゃ無理だ! 分前は後で相談させてくれ、頼む!!」「任された! ――行くぞ! カレハ君はその部屋の中で待機していなさい!」ガッハさんの咆哮と共に、先輩たちが一斉に部屋から飛び出していった。「光神よ、戦に挑む我等に加護を――【神聖なる加護ディヴァイン・グレイス】!」ガッハさんが走りながら高らかに呪文を唱えると、ハオさん、メディさん、テイラーさんの身体が淡い白の聖なる光に包まれた。先陣を切ったのは、重戦士のハオさんだ。4メートルの巨躯を前にしても一歩も引かず、身の丈ほどもある大盾を前面に押し立てて突撃する。「――【シールドバッシュ】っ!!」凄まじい咆哮と共に放たれた大盾の衝撃が、重い音を立てて機械人形の正面へと炸裂した。一瞬でその巨体の体勢が大きく崩れる。その一瞬の隙を、ガッハさんは絶対に見逃さなかった。プロのモンクとしての凄まじい踏み込みで人形の懐へと潜り込むと、なんとその巨大な足を強引に掴み上げ、強烈な力で床へと転倒させたのだ。「今だ、畳み掛けろ!」ハオさんの合図で、助けられたチームの人たちも一斉に息を吹き返し、総員で床に転がった機械人形へと襲いかかる。殴る、斬る、突く。それぞれの武器が機械人形の装甲を火花と共に削っていく。ジタバタと必死に抵抗していた機械人形だったけれど、先輩たちの流れるような連携の前には成す術もなく、2分足らずで完全に光を失い、ただのガラクタへと変わって動かなくなった。「ふぅ……いやー、本当に助かった。俺たちは王都の公募で来た探索チーム『ワイバーンスレイヤーズ』だ。感謝する。……あんた達のチーム名は?」息を切らせたリーダーの男性が、ガッハさんに右手を差し出す。「僕たちは『黒鷹の翼』だ。よろしく」互いにがっちりと握手を交わし、倒した機械人形を後方へ運ぶ手筈を整える。ただ、僕たちが先に見つけた部屋の遺物を先に運んでしまおうということになり、『ワイバーンスレイヤーズ』の皆さんがお礼代わりにその場の手向け(見張り)として残ってくれることになった。僕はただ部屋の隅で見ていただけだったけれど、心臓が口から飛び出そうなほどドキドキが止まらなかった。本物のプロの戦闘。そして……。(それにしても……『ワイバーンスレイヤーズ(飛竜殺したち)』に『黒鷹の翼』かぁ……)緊迫した空気が引いたあと、僕は心の中でちょっとだけ思った。なんだか、この世界の探索チームの名前って、みんなちょっと格好いい名前ばかりで面白いな、と。僕もいつか、そんな格好いい名前のチームの正式な一員になれるのだろうか。手のひらに残る、初めて目にした「神聖魔法の輝き」の余韻を感じながら、僕は急いで床の遺物を抱え直すのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ