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聖王伝  作者: 日和見


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遺跡の中へ

聖王伝 第33話 遺跡の扉が厳かに開かれた。まずは大盾をガッチリと構えた王国軍の兵士たちが先陣を切り、入り口周辺の安全を瞬時に確保する。その後、王国の公募に応じた探索者チームが、それぞれの旗を掲げて次々と内部へ足を踏み入れていく。僕たち『黒鷹の翼』は、全体の4番目という位置で突入の順番を迎えた。「はぐれるなよ、坊主」テイラーさんが僕の頭を少し乱暴にクシャクシャと撫でる。「はい!」僕は道具箱を背負い直し、力強く返事をして先輩たちの背中にぴったりとついていった。一歩足を踏み入れた瞬間、僕は奇妙な違和感に気がついた。「あれ……? 魔法の光も、松明もランプも使っていないのに、なんでこんなに中が明るいんだろう……」見上げると天井の1部が淡く青白い光を放って通路を照らし出していた。それを見たリーダーのガッハさんが、表情をピキリと引き締める。「――この遺跡、まだ『生きている』な。メディ、防衛機構トラップも当時のまま作動している可能性がある。頼むぞ」「任せて〜。私の目は誤魔化せないわよ〜」メディさんが鋭い視線を通路の奥へと滑らせる。全員が完全な戦闘態勢へと移行した。隊列は、先行するメディさんを筆頭に、重戦士のハオさん、荷物持ちの僕、魔法使いのテイラーさん、そして殿をガッハさんが固めるという、隙のない布陣だ。中央の通路を慎重に進んでいくと、広大な廊下のような通路の左右に、一定の間隔を開けて頑丈な石扉が規則正しく並んでいた。他のチームも一斉に足を止め、周囲を警戒する。僕たちはすぐに扉を開けようとはせず、一度メディさんが来た道を戻って王国軍の陣地へと状況を報告した。各チームのリーダーが集まって話し合った結果、まずは順番に一つずつの扉を開けて問題無ければ次の扉を開けていく方針に決まった。「カレハちゃん、一斉にすべての扉を開けちゃうとね、もし中に凶悪な罠や防衛機構、魔物が潜んでいたときに、お互いのカバーに回れなくなっちゃうのよ」メディさんが小声で優しく理由を教えてくれた。プロの徹底した危機管理能力に、僕は深く頷いた。いざ僕たちの番になり、割り振られた扉を開けようとしたけれど、これが錆びついているのか重い魔導仕掛けなのか、開けるだけで全員で四苦八苦する大仕事となった。ハオさんが自慢の怪力でこじ開け、ようやく中へ滑り込む。「……ここは、元々は倉庫だったみたいだね」ガッハさんが呟いた通り、広い部屋のあちこちには、長い年月を経てもなお形を保っている古代の武具や、用途の分からない不思議な魔導道具(遺物)が所狭しと置かれていた。「よし、カレハ君。僕たちが罠や危険がないかを慎重に調べるから、安全が確認できたものから順番に、外の王国軍の陣地まで運んでおくれ」「はいっ!」メディさんの安全確認を受け、僕は遺物を大切に抱え上げると、通路に構築された王国軍の受付へと走った。陣地では、僕が手渡した遺物に、兵士さんが素早い手つきで「番号の書かれた木札」を取り付けていく。そして、それと全く同じ番号が刻まれた対になる木札を、僕の手へと手渡してくれた。(なるほど……! これなら成果物が混ざることもないし、スムーズに預かってもらえるんだ!)受付の兵士さんが大きな台帳に、その番号と『黒鷹の翼』というチーム名をサラサラと書き込んでいく。「よし、確かに預かった。次に行っていいよ、少年。頑張ってきな!」「ありがとうございます!」兵士さんの優しい声に背中を押され、僕は再び倉庫へと全力で引き返した。歴史の遺物を、一つ、また一つと確実に後方へと届けるために。カレハは額に大粒の汗を浮かべながら、薄暗くも静かに熱を帯びる遺跡の中を、ひたすら往復し続けるのだった。

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