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聖王伝  作者: 日和見


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破格の探索条件

聖王伝 第31話 お供の人達が四方を固める貸し部屋の中で、ルダール子爵エスカリフは、いつもの優雅な笑みを張り付かせたまま、僕たちを見据えて口を開いた。「――国王陛下に、遺跡の件を早急に報告した。その結果、発見された古代施設の管理運営は、国がその責任をすべて負うとの決定となった。しかし、我が子爵家の発見および早急なる報告、そして適切な対応の功績が認められ、我がルダール家にも優先的な探索の権利が正式に付与されたのだ。諸君の健闘を期待するよ」子爵の言葉には国に全ての権利と責任を奪われた子爵は、自分に与えられた「探索権」という最後の果実を、『黒鷹の翼』を使って全力でぎ取りに来たのだ。その後、子爵とガッハさんの間で、詳細な契約条件のすり合わせが行われた。子爵が退出したあと、ガッハさんが僕に分かりやすくその内容を教えてくれたのだけれど、それは文字通りの「破格の好条件」だった。「基本として、今後の施設探索は、王国が認めた探索者と王国軍のみで行われる。そして、探索中に出土したすべての成果物は、まず王国の鑑定を受けることが義務付けられているんだ。そこで算出された価値をベースに、成果物をそのまま国に引き渡して『半額の報酬』を貰い受けるか、あるいは自分たちで『半額の価値』を国に支払って現物を手に入れるかを選ぶ権利がある」ガッハさんは黒板に数字を書きながら、丁寧に解説を続ける。「今回の契約では、出土した遺物をまず子爵家の鑑定員が見定めて、領地のために必要なものなら子爵家が引き取る。不要であれば、次に僕たち『黒鷹の翼』が引き取る権利を持つ。そして、国から得られた報酬や成果物の権利は、子爵家と黒鷹の翼で【5対5】の完全な等分で分けることになった。もちろん、それとは別に日々の探索費用や危険手当も子爵家から全額支払われるよ」これほど探索者側に有利な条件が通ったのは、ひとえに『黒鷹の翼』が高名で、過去にいくつもの難関遺跡を攻略してきた圧倒的な実績があるからだ。国軍や他の探索者たちが本格的に到着して状況が落ち着けば、条件は都度改定(引き下げ)されてしまうだろう。だからこそ、ライバルが少ない今のうちに一気に稼ぐ必要がある。「諸君、明日から本格的な施設内部の探索を始めてほしい」子爵からの強い要請を受け、ガッハさんは深く頷いて契約書にサインを交わした。いよいよ、明日から本番が始まるのだ。「カレハ君。明日からは遺跡の内部に数日間泊まり込みでの探索になる。当然、これまでとは比べものにならない危険を伴う仕事だ。今から君の家へ向かい、お母様に僕から直接、今回の状況を説明して了承を取り付けに行こうと思う」ガッハさんの真剣な提案に、僕は「はい、よろしくお願いします!」と頭を下げた。こうして、2日連続で『黒鷹の翼』のプロの探索者が我が家を訪問するという、なんとも異例の事態となった。僕はポケットの中の拳技のスキルをそっと確かめながら、時代の大きなうねりが、ついに僕たち家族の生活を完全に変えようとしているのを肌で感じるのだった。

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